旬刊商事法務2017年12月25日号に,「民法(債権関係)改正に伴う会社法改正の概要~整備法(平成29年法律第45号)の解説~」が掲載されている。
そのうち,「4 法定利率に関する規定の改正に伴う整備」の項があり,会社法第117条第4項等の規定に基づき利息が生ずる場合についての経過措置について,「その利息の発生の契機となった株主総会の招集手続の開始等が施行日前にされた場合には,施行後も旧法(年6%の法定利率)を適用することとしている」旨の解説である。
そして,(注4)において,「整備法47条3項1号~3号および5号の「株主総会の招集手続が開始された場合」とは,株主総会の招集の決定がされた場合(会社法298条)」をいうものと解説されている。
この「株主総会の招集手続が開始された場合」については,いろいろ議論があるところである。
cf.
平成27年3月8日付け「株主総会の招集手続が開始された場合」とはいつ?(2)」
平成27年2月27日付け「株主総会の招集手続が開始された場合」とはいつ?」
平成27年2月6日付け「会社法の改正に伴う会社更生法施行令及び会社法施行規則等の改正に関する意見募集の結果について」
というわけで,今回の「株主総会の招集手続が開始された場合」の解釈については,「招集事項の全てが決定された時」であるのか,「必ずしも,そのすべての決定事項について決定がされることは要しない。すなわち,株主総会等の開催の日時および場所が決定されたにとどまる場合であっても・・・招集の決定として欠けるところはない」であるのか,明らかにされるべきである。
どちらかと言えば,前者の「招集事項の全てが決定された時」であるように思われる。
民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律
(会社法の一部改正に伴う経過措置)
第四十七条 施行日前に会社の他の会社に対する事業の譲渡に係る契約が締結された場合におけるその事業の譲渡については、前条の規定による改正後の会社法(以下この条において「新会社法」という。)第二十三条の二第一項及び第二項の規定にかかわらず、なお従前の例による。
2 施行日前にされた意思表示に係る設立時発行株式(前条の規定による改正前の会社法(以下この条において「旧会社法」という。)第二十五条第一項第一号に規定する設立時発行株式をいう。)の引受けについては、新会社法第五十一条並びに第百二条第五項及び第六項の規定にかかわらず、なお従前の例による。
3 次の各号に掲げる裁判所が決定した価格に対する利息については、当該各号に定める規定にかかわらず、なお従前の例による。
一 施行日前に旧会社法第百十六条第一項各号の行為に係る決議をするための株主総会の招集手続が開始された場合(同項各号の行為をするために株主総会の決議を要しない場合にあっては、当該行為に係る取締役会の決議又は取締役若しくは執行役の決定が行われたとき)におけるその行為に係る株式買取請求について裁判所が決定した価格 新会社法第百十七条第四項
二 施行日前に旧会社法第百十八条第一項各号に掲げる定款の変更に係る決議をするための株主総会の招集手続が開始された場合におけるその定款の変更に係る新株予約権買取請求について裁判所が決定した価格 新会社法第百十九条第四項
三 施行日前に旧会社法第百七十一条第一項の決議をするための株主総会の招集手続が開始された場合におけるその全部取得条項付種類株式の取得について裁判所が決定した価格 新会社法第百七十二条第四項
四 施行日前に旧会社法第百七十九条の三第一項の規定による通知がされた場合におけるその株式等売渡請求について裁判所が決定した価格 新会社法第百七十九条の八第二項
五 施行日前に旧会社法第百八十条第二項の決議をするための株主総会の招集手続が開始された場合におけるその株式の併合に係る株式買取請求について裁判所が決定した価格 新会社法第百八十二条の五第四項
六 施行日前に事業譲渡等(旧会社法第四百六十八条第一項に規定する事業譲渡等をいう。以下この号において同じ。)に係る契約が締結された場合におけるその事業譲渡等に係る株式買取請求について裁判所が決定した価格 新会社法第四百七十条第四項
4 施行日前にされた意思表示に係る募集株式(旧会社法第百九十九条第一項に規定する募集株式をいう。)の引受けについては、新会社法第二百十一条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
5 施行日前に取締役、執行役又は清算株式会社(旧会社法第四百七十六条に規定する清算株式会社をいう。)の清算人となった者の利益相反取引については、新会社法第三百五十六条第二項(新会社法第四百十九条第二項及び第四百八十二条第四項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、なお従前の例による。
6 施行日前に旧会社法第五百四十五条第三項に規定する時効の中断の事由が生じた場合におけるその事由の効力については、なお従前の例による。
7 施行日前に持分会社(旧会社法第五百七十五条第一項に規定する持分会社をいう。以下この条において同じ。)の社員となった者の当該持分会社の債務を弁済する責任については、新会社法第五百八十一条第二項の規定にかかわらず、なお従前の例による。
8 施行日前に持分会社の業務を執行する社員又は旧会社法第五百九十八条第一項の規定により選任された社員の職務を行うべき者(次項において単に「社員の職務を行うべき者」という。)となった者の報酬については、新会社法第五百九十三条第四項(新会社法第五百九十八条第二項において準用する場合を含む。)において準用する民法改正法による改正後の民法(以下「新民法」という。)第六百四十八条第三項及び第六百四十八条の二の規定にかかわらず、なお従前の例による。
9 施行日前に持分会社の業務を執行する社員、社員の職務を行うべき者又は清算持分会社(旧会社法第六百四十五条に規定する清算持分会社をいう。)の清算人となった者の利益相反取引については、新会社法第五百九十五条第二項(新会社法第五百九十八条第二項及び第六百五十一条第二項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、なお従前の例による。
10 施行日前に提起された除名の訴えに係る退社に伴う持分の払戻しについては、新会社法第六百十一条第六項の規定にかかわらず、なお従前の例による。
11 施行日前に合併契約、吸収分割契約若しくは株式交換契約が締結され、又は組織変更計画、新設分割計画若しくは株式移転計画が作成された組織変更、合併、吸収分割、新設分割、株式交換又は株式移転については、なお従前の例による。
12 施行日前に旧会社法第八百六十三条第一項各号に掲げる行為がされた場合におけるその行為に係る取消しの請求については、新会社法第八百六十三条第二項の規定にかかわらず、なお従前の例による。
13 施行日前に旧会社法第八百六十五条第一項に規定する行為がされた場合におけるその行為に係る取消しの請求については、新会社法第八百六十五条第四項の規定にかかわらず、なお従前の例による。