先日,大阪司法書士会における研修会の終了後,「会計監査人の重任による変更の登記の申請書に添付すべき登記事項証明書は,当該監査法人の従たる事務所の所在地においては省略できないと言われたが,どうなのか?」という質問があった。
不覚にも確答できず,「条文にあるのでは・・・」という答え方をしてしまったが,やはり商業登記法第54条第2項第2号ただし書によって,「当該登記所の管轄区域内に当該法人の主たる事務所がある場合を除く」とされている。
商業登記法
(取締役等の変更の登記)
第54条 【略】
2 会計参与又は会計監査人の就任による変更の登記の申請書には、次の書面を添付しなければならない。
一 就任を承諾したことを証する書面
二 これらの者が法人であるときは、当該法人の登記事項証明書。ただし、当該登記所の管轄区域内に当該法人の主たる事務所がある場合を除く。
三 これらの者が法人でないときは、会計参与にあつては会社法第三百三十三条第一項 に規定する者であること、会計監査人にあつては同法第三百三十七条第一項 に規定する者であることを証する書面
3・4 【略】
質問の趣旨は,「これまで添付省略が許容されていたのが,急に駄目出しをされた。どうして?」ということだったが,明文の規定がある以上,従たる事務所の所在地における添付省略は不可である。
登記事項証明書で何を証明するのかの問題であるが,例えば,清算中の監査法人が会計監査人に就任することは背理であろうし,それは従たる事務所の所在地の登記では不分明であるから,不可である,ということではないだろうか。
【追記】
本件について直接言及するものではないが,コメント欄で紹介した月刊登記情報2007年6月号に,土手敏行「会計監査人変更登記申請書の添付書面についての留意点Q&A」がある。