法務大臣閣議後記者会見の概要(令和5年8月1日(金))
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00434.html
「まず、ODRの社会実装に向けた実証事業についてです。
この度、裁判外の紛争解決手続でありますADRの更なる利便性の向上を図るために、ADRにデジタル技術を活用したODRの社会実装に向けた実証事業を行います。
本実証事業は、公益財団法人日弁連法務研究財団に委託しまして、一つのデジタルプラットフォーム上で法律相談からADRまでをワンストップで行うことができるサービスを提供する事業を行い、その効果、課題及び対応策の分析・検証を行うものです。
この法律相談及びADRは、日本弁護士連合会ADRセンター運営の下で、弁護士が主にチャット機能を利用して行うもので、対象は養育費を含む金銭債権に関する紛争、利用料は無料、法律相談の受付開始は本年9月1日というふうにしております。
ODRは、時間や場所の制約を受けないなどの点で、ADRの利便性を高めるものですが、我が国におきましては、ODRの導入が十分に進んでいるとはいえない現状にあります。
ADR事業者等がちゅうちょすることなくODRを導入できる環境を整えるためには、多くの国民の皆様に、本実証事業のサービスを御利用いただいた上で、充実した分析・検証を行うことが極めて重要です。
報道機関の皆様方におかれましても、このような趣旨を御理解いただきまして、本実証事業の周知・広報への御協力をお願いできたらと思います。
〇 ODRの社会実装に向けた実証事業に関する質疑について
【記者】
冒頭発言にありましたODRについてお伺いします。ODRの実証事業を進めるとのことですが、実証事業の意義、どういった人に利用してほしいかなど、ありましたらお伺いしたいのと、今後のODRの利用拡大のために法務省として具体的にどのように周知・広報に取り組んでいきたいと考えていますでしょうか。
【大臣】
ODRは、ADRにデジタル技術を活用するということで、時間や場所の制約を受けずに、非対面で迅速に紛争を解決できる有用な手段であると考えておりまして、司法アクセスの向上に資する重要なインフラだろうと認識しています。
法務省では、ODRの一層の推進を図るために、昨年3月に策定したアクション・プランに基づいて、ADR週間等を設定した上での広報、相談機関とADR事業者との連携強化など、ODRの社会実装に向けた環境整備のための取組を順次行ってきているところです。
その取組の一環として、先ほど申し上げたODRの実証事業を行って、ODRを実装する上での課題、対応策等を検証・分析したいと考えています。
こうした検証・分析は、今後のODR推進の在り方等の検討に当たって有意義であるだけではなくて、その結果の公表を通じて、今、御指摘がありましたように、ODR導入を検討する民間ADR事業者等への支援となるものと考えています。
法務省としては、ADRが国民にとって、より利用しやすい紛争解決手段となるように、引き続き、デジタル技術の進展や国民のニーズを注視しながら、アクション・プランに従って必要な取組を積極的に進めていきたいというふうに考えています。
【記者】
ADR・ODRについてですが、法務省さんが推進している中でもなかなか利用数、あるいはそもそもやはり周知がなかなか進まないという現状がかなり続いていますけれど、大臣なりにどういったところがボトルネックになっていると、何かお考えがあればお聞かせください。
【大臣】
そもそも、ADRそのものをもっともっと推進していかなければならないという中で、対面することなくODRの形でできるということは、私は大きく前進させるきっかけになるのではないかというふうに考えています。いずれにしても、現状において、今ひとつ進んでいない、諸外国と比べても十分でないということを認識していますので、先ほど申し上げた実証試験を通じて、検証するだけではなくて広報もしっかりやっていきたいというふうに考えています。