なぞなぞとはいえ,実例に基づくもの。ただし,私が直接関与している株式会社ではないので,推測に過ぎないことをお断りしておく。
この株式会社の定款には,次の定めがあった。
○ 取締役の任期は,選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
○ 当会社の事業年度は,毎年1月1日から翌年12月31日までの年1期とする。
平成21年3月30日開催の定時株主総会において,取締役全員及び会計監査人の選任議案と,定款の一部を次のとおり変更する議案を付議しようとした。
○ 当会社の事業年度は,毎年7月1日から翌年6月30日までの年1期とする。
そして,事業年度を変更した後の最初の事業年度を平成22年6月30日まで(すなわち1年6か月)にしようとした。
しかし,この場合,取締役及び会計監査人につき,「選任後1年以内に終了する事業年度」が存しないことになってしまう。法務局に相談しても,「そんなことはできない」とにべもない返事。
cf.
平成22年1月20日付「こども司法書士「解決!TV」」
さて・・・どうする?
というわけで,平成21年3月30日開催の定時株主総会においては,取締役及び会計監査人の選任議案のみを付議し,定款変更については,別途臨時株主総会を開催することとした。
平成21年4月28日に臨時株主総会を開催し,定款の変更の決議を行ったが,定款変更の効力が生ずるのと同時に,取締役及び会計監査人が任期満了となるので,同時に選任議案も付議し,決議を行った。かくして,設問のような登記がされることとなった次第である。
暫くして,このようなケースにおいても,定時株主総会において,①定款変更,②取締役及び会計監査人の選任,の順序で決議をすれば,変更後の事業年度が選任後1年以内に終了しないときでも当該事業年度に関する定時株主総会の終結の時に退任する,という取扱いをすることができる,とする東京法務局事務連絡が発出された。
cf.
平成22年3月18日付「会計監査人の選任(重任)の登記の留意事項について」
平成22年2月10日付「事業年度の変更と会計監査人の任期」
というのが,私の謎解きである。
コメントにあるようなパターンも確かにあり得るが,「定時総会」であれば,決算承認の関係で,もう少し後日付にならざるを得ないであろう。