tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日米首脳会談:安倍総理の手土産と忘れ物 (つづき)

2017年02月04日 17時09分02秒 | 国際関係
日米首脳会談:安倍総理の手土産と忘れ物 (つづき)
 公的年金積立金をアメリカに投資するという報道でビックリしましたが、昨日安倍総理が、衆院の予算委員会で「そんなことは私一存でできるはずがない」と答弁していましたから、まあ一安心です。しかし、もともとGPIFは、海外株式にも投資するのですから、アメリカ株も買うでしょう。今後も損しないように願いたいものです。

 ここで本当に言いたいことは、アメリカに協力したいという安倍さんの気持ちは大事ですが、2つほど問題があるという事です。
 1つは、アメリカは世界一豊かな国だという事です。日本の経済協力を欲しい国は世界中に沢山あります。皆日本より貧しい国です。経済協力は貧しい国優先でしょう。

 世界一豊かな国が、赤字だからと言って、巨額な経済協力をする必要があるのでしょうか。このブログでは NGRという概念を提唱していますが、本当はアメリカが自身の生活態度を改め、黒字の国にして、世界に貢献できるようになることが必要なのです。

 そのために本当は黒字国日本が、赤字国アメリカに黒字国になるためにはこうしましょうと「カネ」ではなく「ノーハウ」を提供することが重要なのでしょう。
 企業の例でいえば、かつてトヨタが、GMの最悪の工場といわれたフリーモント工場をNUMMI という形で立派に建て直したようなことを、国レベルでやることでしょう。
 
 但しそのためには、赤字国が黒字国に学ぶ気になることが必要で、トランプさんのように「アメリカは被害者だ」という意識の塊では望み薄です。

 2つは、世界一豊かなアメリカが、「稼ぎより支出が多く」、赤字を何十年も垂れ流していて、一向に改まらないという状況の下で、いくらアメリカにカネをつぎ込んでも、投資の収支が黒字になる可能性は小さいという事です。

 50兆円の投資がどれだけのリターンを生むか採算のめどが立つのかどうかです。金融機関が融資や投資をするにしても、頼まれたからとか、いろいろお世話になっているからとか、気の毒だから、などという事でしたら、経営者は背任という事になるのではないでしょうか。
 金融機関には、再建計画の提案や指導、実施状況の把握など指導・監督が求められます。

 こう考えてみると、報道からしかわかりませんが、安倍総理訪米の中で、の忘れ物と思われるのは、「アメリカは世界のために損ばかりしている」という被害者意識でアメリカを纏めることではなく、アメリカ自身が世界最大の経済力を持ち、「覇権国」「基軸通貨国」としての役割を担う責任感を持ち、自らを律して、世界から尊敬される国になることが何よりも大事だという事を、トランプさんに気付かせるような「知恵や仕掛け」を、手土産と同時にもっていくことなのではないでしょうか。
 安倍さんにそこまで要求しては酷かな?