tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日米首脳会談:安倍総理の手土産と忘れ物

2017年02月03日 10時38分49秒 | 国際関係
日米首脳会談:安倍総理の手土産と忘れ物
 今朝はまた大変なニュースが入ってきました。安倍総理が2月10のトランプ大統領との会談で、信頼関係の構築に役立つようにというのでしょうか、50兆円の対米投資で、米国に70万人の雇用を創るという手土産を持っていくという事のようです。

 トランプさんとの信頼関係を促進するためには、このぐらいの事をしなければというのかもしれませんが、信頼関係というのは、手土産の大きさによるものなのでしょうか。
 日本は黒字国ですが、日本の政府には金がありません。毎年大幅赤字で、「2020年にプライマリー・バランス回復」という見通しも絶望的です。

 その政府が50兆円をどこから捻出するのかですが、民間企業に対米投資促進を言うのならまだしも(判断は民間企業がしますから)、まさか増税や国債発行という訳にもいきませんでしょう。報道によれば、外為特別会計や公的年金積立金の流用まで考えているようです。

 外為特別会計は、トランプさんが「日本は為替操作国だ」と言いそうなので、その口封じという事かもしれません。 
 しかしタダでも足りない公的年金の積立金という事になると、安倍総理の頭の中はかなりおかしなことになっているように思えてなりません。

 これは国民からの借金です。政府債務です。GPIFの株式運用で損を出せば政府は非難されます。非難だけではなく、国民の将来不安を増幅するのです。日本経済に大きなマイナスです。

 安倍さんは「アメリカの再建に協力すれば、必ず大きなリターンになって返ってくる」と言うつもりかもしれません。しかしそんなのは夢のまた夢です。
 リターンを伴って返って来る可能性と、日本の対米投資失敗という可能性とどちらが大きいか、よほど慎重に考えなければならないでしょう。トランプ流のビジネス勘定が必要でしょう。

 具体的問題は山ほどあります。事の中身は次第に明らかになるのでしょうが、現状では、年金で生活する一人の国民として、朝刊を見た途端に、朝食の量が半分に減るほどの不安感に襲われたことを報告するにとどめたいと思います。
「忘れ物」については、次の機会に回したいと思います。