tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

企業における人件費支払能力測定の実務:第3回 ―中期計画と目標の設定―

2017年02月15日 11時26分22秒 | 経営
企業における人件費支払能力測定の実務:第3回
―中期計画と目標の設定―
 今回から、人件費支払能力測定の具体論に入ります。

 まず最初に何をやるかですが、あなたの企業の「企業目標の設定」です。
 賃上げ交渉が差し迫っているのに、何を今から企業の目標設定かとお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、申し訳ありません、ここで論議しようという「企業の人件費支払能力」は、企業の将来、その命運を分けるものですから、企業経営の基本からの本格論議です。

 勿論、今年の労使交渉には、今年の事情があり、今年なりの対応策も必要でしょう。しかしその背後には透徹した、その企業の中期計画があり、その計画に沿った範囲での応用動作でなければならないはずです。

 多くの企業調査によれば、通常、企業の7割ぐらいは経営計画を持っているという回答になっています。その計画を応用して、具体的な数字を確定していけばいいと考えて頂ければ結構です。

 経営計画の目標数値としては、売上高や生産量などが良く使われますが、誰にもわかりやすいためには便利な数字です。
 しかし、本当の経営計画としては、企業の存続・発展のための基本的な指標を掲げる必要があります。それをベースに、売上高や生産量は算出されるべきでしょう。

 では、企業の存続発展のための基本的な経営指標とは何でしょうか。これは人間の成長でも、一国経済でも、企業やその他の組織でも、共通と思われますが、「成長の指標」と「体質の指標」です。

 企業の場合は特に重要ですが、「成長」と「体質」は往々相反します。企業成長を速めすぎると体質が弱くなる、企業体質改善ばかりを重視すると成長が遅くなる、という関係です。この2つのバランスを図りながら、経営計画を進めなければなりません。

 そうなると、当然のことながら、「経営数値で示す経営計画」は中期計画ぐらいが必要という事になるのではないでしょうか。出来れば5年計画、少なくとの3年計画ぐらい、長すぎても不確定要素が大きくなりすぎる。
 そして、この、例えば5年計画をベースに、年々リボルビングで新たな5年計画を立てるのです。その第1年度で、今春闘の人件費支払能力が測定可能になるのです。

 という事で、最初の作業は「5年後までの成長目標」と「ご年後までの経営体質改善目標」という事になります。

 そこで問題は、「成長目標の経営指標」として何を選ぶか、「体質改善目標の指標として何を選ぶか」になります。
 これは最も重要な指標ですから、是非皆様にもお考えいただきたいのですが、答えは『付加価値生産性』と『自己資本比率』とするのが最も適切ではないかと考えています。

 この2つの指標のバランスが取れれば、企業は安定的に成長発展していると判断することが可能で、ゴーイング・コンサーンとして、社会の役に立ち続けられることは確実だからです。