tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アメリカの利上げ遠退く、日本は?

2017年02月07日 12時48分03秒 | 国際経済
アメリカの利上げ遠退く、日本は?
 アメリカの金融政策の正常化は昨年12月順調に進み始めたかに見えましたが、今年に入って、また先行き不透明になったようです。

 今年は3回の利上げなどと言われていましたが、最近の報道では3月は取りやめになる様で、足元の雇用は堅調で、物価も2%強の上げ基調ですが、、政治の混乱は当分続きそうという事で、先行き見通しを固めることは容易ではないでしょう。

 昨年来の雇用堅調というのも、経済実態を反映しての事なのか、トランプ発言で「雇用創出」が連呼されるのを先取りした形なのか、読み切ることは難しいでしょうから、雇用と物価を判断材料にという利上げ方針も、安易な判断はできないというところではないでしょうか。

 トランプ発言を先取りしてでしょうか、米国各地で最低賃金の大幅な引き上げがみられたりといった動きもあるようですが、ただでもコスト高のアメリカで、「偉大なるアメリカ」の掛け声に反応して、雇用や賃金に対する先取り現象が出るようであれば、トランプ経済政策には黄信号が出かねないでしょう。

 3月の金利引き上げがなさそうということで、ドル安・円高になっているようですが、トランプ大統領は、アメリカの貿易赤字の原因という事で、日本も為替操作国に入れてしまったようです。
 
 為替操作国の定義は難しいでしょうが、リーマンショックの後、異次元金融緩和、2%インフレ目標という政策を打ち出したのはアメリカで、そのお蔭で円は$1=¥120から80円に大幅円高になりました。

 黒田日銀の異次元金融緩和はまさにそのコピーですが、アメリカならOKで、日本がやると為替操作になるというのがトランプ大統領の判断のようです。
 現実には、トランプ大統領のツイッター次第で、$1=¥は1~2円容易に動きますが、これも結果的には為替操作と思う人は多でしょう。

 少し余計なことを書いてしまいましたが、前にも書きましたが、 矛盾の多いトランプ経済政策では、アメリカ経済の安定的な成長、黒字国への転換は容易ではないように思われ、漸進的、着実な経済と金融の正常化を目指しているFRBの路線と整合的に動くことは、短期の思惑はともかく、中長期には極めて難しいでしょう。

 アメリカが利上げを着実に進めるというのであれば、そうは円高にならないという見通しも立ちましょうが、アメリカが混乱を極める中で日本は、経済政策、その与件となる為替政策をどうするのか、ますます問われそうな気がして心配しています。