tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

G20共同声明:アメリカへの「配慮」か「 敬遠 」か

2019年06月09日 23時15分29秒 | 国際関係
G20共同声明:アメリカへの「配慮」か「 敬遠 」か
 福岡での財政金融のG20、つくばでの貿易とデジタル経済のG20はともに教「共同声明」を採択して閉幕しました。

 今回のG20は、アメリカがトランプ大統領の「アメリカ・ファースト」という従来のアメリカの自由経済、国際協調という路線と違った自国中心主義の主張がエスカレートする中で行われたわけですから、議論の行方には当然注目が集まります。

 会議が終わってみれば、結局、アメリカ以外は入れたかったと思われる「保護主義に対抗」という文言は入りませんでした。貿易摩擦による世界経済の下振れリスクへの懸念を表明し、その場合は「さらなる行動」(中身は不明)をとるといったところでとどまっています。

 アメリカに配慮することが、アメリカの孤立を深め、自体一層悪化させる可能性に配慮した大人の態度というべきでしょうか?(触らぬ神に祟りなしですか)
 世界中がアメリカに困っているという現実が浮彫りになったという見方もあるようです。

 米中貿易摩擦以外の問題では、前進したものも多くあるようです。デジタル貿易についての課税問題、経常収支の不均衡の多国間での解決の方向、途上国のインフラ投資の問題(債務の罠につながるよな:中国は納得)。また貿易問題ではWTOの機能改善が盛り込まれ、WTO事務局長がこれを歓迎という報道もありましたから、これも一歩前進でしょう。

 これからも、閣僚級のG20は、エネルギー、農業、観光、保健、などなど続くようですが、こうした個別問題については、会合を重ねることが大きな意味を持つことも事実でしょう。
 議長国としての日本が、何処から見ても「公正・適切」と感じられるような采配をすることが強く望まれるところです。

 また、いささか余計なことを付け加えますが、世界の巨大問題である「米中摩擦」の行方は、大阪サミットで何かが見えてくるのかもしれませんが、貿易では受け身の中国が、南太平洋(日本とは尖閣問題)、北極海、宇宙開発、軍事力などでは、一貫して覇権国への道を進めているように見えます。

 貿易問題は、さらに巨大な覇権問題の前哨戦なのかもしれません。
 仕掛け人(国)のアメリカも、そしてトランプさんも歴史は浅く問題は当面の事象に集中するようですが、中国は4000年の歴史を持ち、「愚公山を移す」といった超長期までの目を持っているのかもしれません。だからでしょうか、事はそう簡単ではないという方が多いように感じるところです。
 tnlaboの願いですが、これが「争いの文化」ではなく 「競いの文化」のレベル、より高次元の活動として進められることこそが、人類社会全体にとって、真に望ましい事ではないでしょうか。

日本はどこまで世界の役に立てるか

2019年06月09日 00時20分47秒 | 国際関係
日本はどこまで世界の役に立てるか
 サミットが目前に迫り、その前段としての2つのG20、財政金融のG20、これは麻生財務相と黒田日銀総裁が共同議長、貿易とデジタル経済のG20世耕経産大臣が議長が始まりました。

 そして月末には大阪サミット、その前に、安倍総理のイラン訪問、混乱する国際関係の中で、まさに日本の力量が試されるような状況が立て続けに起きることになっています。
 
 既に2つのG20は今日から始まり、アメリカのあまりにも勝手な通商問題への対処に対し、多国間の交渉を重視した国際的民主主義を重視するする政策に大方の意見は集約されるような状況にあります。

 もちろん、アメリカ代表はトランプさんの腹心でしょうから、簡単に話し合いがまとまるとは思われませんが、議長国の日本がどこまで筋を通せるか、その力量が問われていることは確かでしょう。

 デジタル貿易などの場合はまだ定義もあいまいな面を残し、総論賛成といったシャンシャンも可能と思われますが、貿易でも為替レートに関わるような極めて具体的な問題になりますと、意見の差は歴然とする可能性もあります。

 典型的には二国間交渉方式の中での為替条項といった問題です。アメリカは為替条項に固執する姿勢を見せていますが、その背後にあるのは、ドル安の実現を必要とするアメリカの経済情勢があるのでしょう。

 他国の為替介入を認めないという姿勢は、ドル高を避けるという姿勢の裏返しと思われます。
 本当にどの国にも為替介入を認めないというのであれば、かつてアメリカが最善の選択と考えた「固定相場制」があるわけで、固定相場制が最も公平ということになります。

 公平であるべき議長国としては、固定相場制導入にはいつでも賛成する用意があります位のことは、言ってもいいのではないでしょうか。

 もう一つ大きな問題は、サミット前の、安倍総理のイラン訪問です。安倍・トランプ会談で、どんな話になっているのは解りませんが、日本を友好国として頼りにしているイランに行くのですから、日本は、まさに日本なりの、世界の平和と安定に着実に貢献することを目指しているという、日本としての態度を正確に表明することが重要なのではないでしょうか。まさかアメリカの代弁で終わるとは思いませんが・・・。

 幸運の女神には前髪しかないそうです。このまたと無いかも知れないチャンスを日本がいかに着実に捉えられるか、安倍政権の力量が問われているのが現実ではないでしょうか。