tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

1月の緊急事態宣言で消費落ち込み

2021年03月10日 22時23分32秒 | 経済
1月の緊急事態宣言で消費落ち込み
今日2021年1月分の家計調査が発表になりました。やっぱり再度の緊急事態宣言の影響が出たようです。

例年、1月は、いわば年の初めで、2人所帯の全所帯の平均の消費支出は28万円台か29万円台には乗るのですが今年は26万円台止まりでした。
  一昨年1月は296345円、昨年1月は、287173円でしたが、今年は、267760円でした。昨年同月比6.8%の落ち込みです。

 今日現在は、それからもう2か月と10日がすぎて、全面解除の時期が近付いているのですが、矢張り議論になるのは、経済活動の停滞を心配する声と、コロナの感染者の増加を心配する声の確執です。
 
 確かに緊急事態宣言をすれば、上のように消費は落ちるでしょう。消費は総ての経済活動の源泉ですから当然経済活動は停滞します。しかし、それが、感染者の増加を防ぎ、少し長い目で見れば、早い経済回復につながる可能性もあるのです。

 本当のことを言えば、緊急事態宣言を解除するときは、解除してもいい「何か」が必要なのです。決定的なのはワクチンでしょうが、ワクチンがなければ、感染を防ぐ生活習慣の徹底でしょう。それなくしての解除は、事態を「ふりだし」に戻すだけです。

 そんなことで、緊急事態宣言の解除と継続の綱引きになるのですが、今回は新しい展開の芽があります。それはワクチン接種です。

 ワクチンが成功すれば、ワクチン自体が最強の対策ですからマスクも3密や営業時間短縮も不要になり、社会は徐々に平常に戻るでしょう。

 今後はワクチン接種が早く一般化することを願いつつ消費動向を追いかけるように早くなりたいところです

ところで、2人以上の所帯合計では、収入の方は取れないので、収入の把握できる勤労者所帯の方に目を移しますと、2人以上勤労者所帯の実収入は
  一昨年1月は471124円、昨年1月は、484697円でしたが、今年は、469254円でした。昨年同月比3.2%の落ち込みです。

ちなみに、平均消費性向の分母となるか可処分所得(手取り収入)は
  一昨年1月は384005円、昨年1月は、395821円でしたが、今年は、384921円でした。昨年同月比3.0%の落ち込みです。
勤労者所といの消費支出をみますと
  一昨年1月は325768円、昨年1月は、312473円でしたが、今年は、297629円でした。昨年同月比1.4%ポイントの落ち込みです。

 自営業などの不安定に比べて勤労者所帯の方は、消費の多少落ち込みは少ないですが矢張りマイナスです。コロナ不況は影を落としています。

 ところで定点観測の平均消費性向はどうだったかといいますと、
  一昨年1月、84.8% 昨年1月、78.9% 今年は、77.5%と年々の低下です。
 
 私の印象では我が国の平均消費性向は、アベノミクスで低下傾向になり、その果てに、新型コロナが追い打ちをかけて、下げ続きとなり、日本経済の徹底的な下押し圧力になっているように感じられます。

 これでは、日本経済の回復はとても望めません。日銀がいくら金融を緩めても、緩んだカネは、株式相場などのマネーゲームに行くばかりで、菅総理が「3万円は、目標の、目標の、目標だった」と喜んでも、庶民は、そう単純には喜べないという状況なのではないでしょうか。 

 コロナが過去の話になり、平均消費性向も上昇に転じ、実体経済が活況を呈するのはいつになるのか、本気で待ち遠しいですね。