衆院選挙が終わって、政界の地図にも変化が起きて、何か新しい動きが起きて来るだろうと期待する人も多いと思います。
そして、その動きの第一波がさっそく見えてきました。103万円の壁を崩そうという動きです。
国民民主党の主張は手取りを増やそうという言い方でしたが、税制を変えれば家計の手取りは増えますという方法、賃上げとは別の方法で家計の収入を増やすという可能性を指摘することになります。
勿論、報道されていますように、基礎控除を103万円から178万円に引き上げれば、7.8兆円が家計の手取りとなり、その分税収が減ると早速財務省が試算をしました。
財政の工面は政府がやれというのが国民民主党の意見のようで、自公国3党協議に入っているようですが、家計には賃上げと同様な恒久的な手取りの増かが保証されることが大事なようです。
というのは、これまでの家計の消費支出の態度を見ますと、かなりガードが固く、一時的や不安定な収入が増えても「消費は増やさないという傾向が強いからです。
実はこのブログでは名目の手取り額の増加と、消費支出の関係を見てきているのですが、物価が上がって実質消費が減ったという現実もありますが、手取り収入が増えても名目の消費支出を増やさないという超堅実、将来不安に備えての貯蓄志向という状況が、かなり強く見えるのです。
資料:総務省「家計調査」
上のグラフを見ると明らかですが、2017年あたりから、勤労者家計(二人以上)の可処分所得は増えているのです。可処分所得というのはまさに「手取り収入」ですが、賃金水準は上がっていませんから、増加の原因は、配偶者など家族が働きに出るとか、内職、資産収益、さらには公的給付金などのようですが、消費支出の方を見ますと、ほとんど変化のないフラットな状態が続いています。
手取り収入の赤い線がこれだけ上がっても、消費支出の青い線はほぼ横ばいという事は・・、と考えますと、家族な頑張ったり政府からの給付金があったりしても、そうした収入は安定収入ではないから、家計としての経常支出(消費支出)で使うことは控え、貯蓄に回しておこう。これからの日本経済も、恐らくあまり変わらないだろうし、年金財政などは悪くなることはあっても良くなる事はないだろうといった将来不安が先に立つという事ではないでしょうか。
日本経済の回復は民間消費支出の増加にかかっているというのが、経済学者、評論家の一致した意見のようですが、このグラフを見ますと、日本の家計にお金を使わせるのはかなり難しい事のように思われます。
ご参考までですが2000年以降の平均消費性向のグラウを載せておきます。100%に足りない部分は平均貯蓄性向です。
資料:上に同じ
衆院選の結果が、こうしたグラフの動きの方向を変えるまでには、今までの自公連合では出来なかった、更にいろいろな事が必要なようです。