今日はちょっと書きにくいことを書いています。
政治の世界は普通の世界とは違い、いろいろと過去の経緯や党利党略があり、そうしたことの背後にそれぞれの政党としての思想信条があるという事になっています。
共通の思想信条の組織・集団であってみれば、所属する政治家の思想や思考形態、そして行動も、所属する政党、さらには派閥という組織の枠組みに従い、基本的に同質であるはず(あるべき)だというのが重要な規範かもしれません。
そうした考え方は、組織の統制上は好都合かもしれません。しかし、組織の構成員一人一人の選択や行動を尊重する視点からすれば、必ずしも合理的とは言えないでしょう。そんな前提で、今回の衆議院の首班指名の決選投票の数字を見てみましょう。
最初の投票では、石破221票、野田151票で1位、2位共に過半数233票に届かず、なりました。
決選投票は、当然、石破、野田のご両人で、それ以外の名前を書けば無効票です。
国民民主党では、玉木党首が、決選投票になったら玉木雄一郎と書くと宣言しました。
これには違和感を感じた人も多いと思われます。玉木の名は、決選投票にはありません。書いても無効票です。
決選投票というのは、候補者2人の中から良いと思う方の名前を書いてくださいというのがルールです。
ですから勝手な名前を書くのは、与えられた権利(責任)が嫌だから、面倒だから果たさない、つまり「逃げる」ことになります。
そのうえで、自分の名を書くという事は全く意味がありません。意味があるとすれば、それをマスコミに言う事で、自分のPRになるかどうかということでしょう。
日本維新の会もそれに倣ったのか全会一致で馬場代表の名前を書くことに決めています。
決選投票の結果は、石破票221で変わらず、野田票160,無効票84で、無効票は決選投票の趣旨から逃げた国会議員の数でしょう。
野党から石破への票はなかったようで。野党からの野田票が9票増えています。84の無効票は、国民民主党、日本維新の会その他、決選投票のルールを逸脱した票という事になります。
巷の意見では、折角自公の過半数割れで、政権交代のチャンスが来たのに、野党内の足並み不揃いで、政権交代はなくなって残念だとの声もあったようです。
無効票の中身は解らないので、あとは憶測ですが、国政に責任を持つ国会議員が投票すると言っても、多くの国会議員は、国民の声を聞き、そこから自分の考えを固め自らの判断に従って投票するというより、組織の方針を鵜呑みにするという事が多いのではないかと感じてしまうところです。
無効票というのは、結局は「勝者に賛成」という意思表示になるのです。自分の意思を行使できるという自由が面倒だからと(難しいからと)逃げた結果が国民に押し付けられることになるような気がしています。