来春闘はいよいよ,日本経済が長期不況からの脱却に成功するかどうかの正念場になるような気がしますが、それは今年から来年にかけての賃上げと消費者物価指数の動きにかかっているという見方が議論の中心になりそうです。
このまま消費者物価が沈静していけば、今春闘の賃上げでも実質賃金低下は止まります。今年に入ってボーナスの効果もあり実質賃金の連続低下は中断しましたが、まだその帰趨ははっきりしません。このブログでは、何とか黒字化の方向に行くのではないかと見ていますが、賃上げ幅の平均賃金押上が、あまり大きくなかったので、 頼りにするのは物価の安定化に大きく依存する状態です。
そんな訳で全国の消費者物価指数に先駆けて発表される東京都区部の消費者物価指数の示す沈静化傾向と今後の全国指数の関係を見てみようと数字を並べてみました。
先ず「総合」そして「生鮮食品を除く総合」、そして鎮静傾向の明瞭な「生鮮食品とエネルギーを除く総合」の主要3指標のグラフを見て頂きたいと思います。(資料「総務省」)
資料:総務省「消費者物価指数」
ご覧いただきますと、主要3指標とも、それぞれ中身が違いますから、多少の違いはありますが変化の動き方は、ほぼ同じと言えそうです。
上の2つはエネルギーが入っていますから、輸入物価の影響と、政府の補助金政策で変動が大きく影響して実態が解りにくくなっていますが、純粋に国内要因で動く一番下の「生鮮とエネを除く」の鎮静傾向ははっきりしています。
注目は10月の東京都区部では3指標が同じ1.8%の上昇と安定化を示していることです。
大手スーパーの一部が、この2年ほどの異常な物価上昇からでしょうか、一部商品の値下げ路線に転換したようです。この延長線上で考えれば、政府、日銀の2%インフレ目標は達成の域に入るのではないでしょうか。
この可能性を大事にして、生産、流通、消費、各段階が、差し当たって2%インフレ目標に協力する体制で、経済活動を行いたいものです。
<追記>
1、海外物価の変動は世界共通な範囲で国内経済に織り込むことで問題はないでしょう。
2、物価上昇を主要国(特に基軸通貨国)に比し、日本があまり抑え過ぎると、円高要請が起きる可能性があるので、この点には十分留意が必要です。