今回の選挙の結果で気になるのは、1つは当選すれば裏金問題の禊は終了ということになるのか、もう一つは減税や補助金、給付金などの公約が花盛りですが、それで本当に日本経済が良くなるのかという2つです。
国民がどう判断するかは解りませんつが、甘い選挙公約に乗せられずに、確りした国民の判断を見せてほしいと期待しているところです。
そんな中で連合が2025年春闘の賃上げ方針を出して来ました。要求は、初めてでしょうか「二本立て」で、基本的な賃上げ要求としては、昨年と同じ「5%以上」、それに加えて中小企業では「6%」という要求基準です。
格差社会化が進行している日本経済社会を意識して、二本立てにした事には、連合の格差拡大を止めようとする強い意識を感じ評価するところです。
日本経済の活性化に何が必要かという問題については、選挙戦の中で「政府に頼る」という意識が気になりますが、今までの実績が示していますように、政府に出来ることは限られていて、活性化のカギを握っているのは「民間産業界の活動」、端的に言えば、労使が少しでも高い賃金の上昇を志向し、その実現のために協力して技術革新、生産性向上のために知恵を絞り、汗を流すことを実践するという強い意識を持つことが必要なのです。
政府が、あれもやってあげましょう,これもしてあげますと言って、民間がそれを待つようになったら、日本は終わりでしょう。
政府はプレーヤーではなくてレフェリーなのです。活発な経済活動ができるような環境条件やルールを作り、それを確り見張ることが政府の役割です。
今年の春闘でたとえれば、労組が5%以上という賃上げ要求をして、経営側が出来るだけそれに応えることでいくらか雰囲気が変わりました。
今年政府のやったことで特筆すべきは、公正取引委員会の出した「原材料や賃金コストの上昇を価格に転嫁するというルールの明示です。
昔は、下請け企業は専属が一般的で、親企業は、下請けを育てることが大事な仕事でした。今は下請けを買いたたくことが多くそれが問題と考えて新たな行動を起こしたのでしょう。こういうのが典型的な政府の役割です。
それでもまだ、うまくいかないという事で連合は中小企業により高い賃上げ基準を打ち出したのでしょう。残念ながら、ここで取り残されているのは自己中心の大企業という事になるようです。
つまり産業活動というのは、その中の全ての部分が、夫々に望ましい生産性を上げられるような構造にしないとそこがネックになって全体が上手く回らなくなるのです。
これは親企業と下請けの関係だけではありません。素材産業と完成品産業、労組と経営者みな同じです、利益相反のように見えて、本当は最も合理的な関係が必要なのです。
政府と民間の関係も同じです。恣意的な補助金や給付金は、合理的な関係をゆがめ、健全な経済活動を阻害します。
経済活性化は、産業労使が力をつけることでしか可能にはなりません。その意味で、春闘における労使の緊張関係は大事なものです。
新しい政府は、そのあたりをよく理解して、日本経済の活性化のために何をすべきかを十分弁えてほしいと思うところです。