バングラデシュの国旗は日の丸です。ただ日本の日の丸と違うのは白地に赤い太陽ではなく緑の地に赤い太陽です。この国旗の制定については、建国の父ラーマン氏が、日本の日の丸も参考にしたという話もあります。洪水の多いバングラデシュです。緑の大地に真っ赤な太陽というのも理解できます。
そのバングラデシュで、延べ20年、今回も、この8月5日まで15年にわたり首相の座にあった建国の父ラーマン氏の次女でもあるハシナ首相が国外逃亡し混乱状態に陥っているというニュースには驚きました。
バングラデシュには、2010年に行ったきりですが、その時の印象は、まだまだいろいろ苦労はあるだろうが、この国は順調い成長しているのではないかというものでした。
ダッカの町は人でいっぱい、車でいっぱい。どこへ行っても人混みと、車の渋滞でしたが、人は自然に人をよけ、車は少しでも間隙が出来れば先に突っ込んだ方が勝ちというルールのようでしたが、トラブルはあまり見かけませんでした。
日本に来た外国人が、渋谷のスクランブル交差点を見て、日本人はよくぶつからないとビックリしたなどという話がありますが、バングラデシュでも、人々は、狭い道でも自然と譲り合っているような感じを受けました。
そんな印象を持った国で、デモが起き、軍の出動で数百人の死傷者も出るような状況にまで発展したというのです。しかも直接の原因は,独立戦争の功労者の子弟を公務員に優先的に採用する制度の復活という、かつては国民の理解もあったであろう問題がきっかけというのです。
首をかしげるようことに感じられましたが、ピンと来たのは再任以来15年の長期政権になっていたという事でした。
少しニュースを拾ってみて、やはりと思ったのは、最近は経済情勢もあり、若者の就職環境が良くないなくなっているという実体があり、政権幹部その周辺の人々が就職も有利で、所得格差の拡大もあり、雇用、就業、所得格差等の不満が若者の間に鬱積してきていたと思われる社会情勢があるらしいのです。
このブログでは、長期政権は往々にして独裁化すると書いてきています。バングラデシュでも、最近は政治手法に強権的なことが増えてきていたなどとの解説記事もありますが、恐らく政治の硬直化による社会の硬直化、格差化に対する若者の反発が原点でしょう。
反発の対象はハシナ首相に向けられますが、ハシナ首相が独裁者であったのか、ハシナ首相を取り巻く利益集団がその利権の維持をはかって硬直化したのか、首相逃亡が示唆するのは何だろうかと考えてしまいました。
バングラデシュは「グラミン銀行」で有名です、発展途上国で農村の振興などのために如何にして生業を営む人たちの自主的な資本蓄積を可能にするかという文字通り「マイクロ・ファイナンス」事業を成功させ、世界で活用されるベースになったシステムです。
2010年に偶々現場を見る機会があり、「現場に見るグラミン銀行」を書きましたが、こうした活動を実践できる真面目さ勤勉さをバングラデシュの人々は持っているのです。
「グラミン銀行」というシステムを開発、普及し、ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏が、今回、バングラデシュ暫定政権の最高顧問に就任しました。
ユヌス氏はまず、「治安の安定化が最優先」と言われているとのことです。
バングラデシュの早期の安定・回復を願うところです。