tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

GDP統計に騙されるな

2023年07月18日 12時05分08秒 | 政治経済
景気回復のせいか、それとも物価上昇のせいか、税収が増えているようです。

赤字財政続きで、財政再建の可能性がどんどん遠退いて絶望的になるような状況の中で、先ず防衛費を大幅に増やし、さらにその上に財源の見通しのないままに異次元の少子化対策を打ち出すと公約している岸田政権です。

理由は何であれ、税収が増えることは大変ありがたい事でしょう。
先ず税収増の半分は防衛費に、とかいろいろ算段を始めているようですが、国民は誰も巨大な防衛費の積み上げなど希望していないのに、何故そうなってしまうのでしょうか。

国民の希望としてはまず「異次元」という掛け声の少子化対策に使ってほしいし、高齢者は、介護などエッセンシャルワーカーの待遇改善を高齢者の拠出で賄うなどという「たこ足」政策の解消にというところでしょう。

それなのに先ず「防衛費」というのは、一体誰の希望なのでしょうか。防衛予算を増やして一番喜ぶのはアメリカだそうですから、アメリカに言われてか、アメリカの御意向を忖度してか、そのいずれにしても、国民よりアメリカという事だと考えてしまいます。

カジノもトランプさんから言われて、3か所作ろうということなったという情報はアメリカから漏れて来たとのことでしたが、カジノに賛成する国民は限られています。

ところで防衛費ですが、以前のGDP統計では戦闘機や戦艦や戦車の購入代金は「消費」に計上されていたのですが、今は「投資」に計上されるようです。

投資というのは、経済学では「労働生産性向上」に役立つものという意味を持っているはずで、ですから「労働生産性」は「資本装備率」に比例する、などと言われます。

F16戦闘機やイージス艦を装備すれば、日本の労働生産性が上がって賃金引き上げの原資が増えるのでしょうか。
戦争がなくて使わずに置いておくだけでは膨大な維持費がかかるだけで、労働生産性にはマイナスでしょう。

では、使えばいいのかと言いますと、使うのは戦争をすることですから、生産性が上がって人件費の原資が出来るかどうかは、今のウクライナの現実を見れば、巨大な経済的マイナス、加えて人命の毀損を生むだけだという事は明らかです。

防衛装備品を投資に計上するというのは、経済学の定義から逸脱した誤りでしょう。
今後防衛予算の巨大な積み上げが行われれば、それは内閣府が発表するGDP統計のかさ上げになるでしょう、数字の上では「日本経済が成長した」ように見えるかもしれません。

しかしそれが日本経済の成長の原動力になる「投資」であるとは、誰がどう考えても合理的な説明は出来ないものでしょう。

そしてそれを本当に活用する日が来たら、日本国土の一部か全土に、人命の損傷も加えて、壊滅的な影響を齎すことは必定でしょう。

これからの国民経済計算には騙されないようにしましょう。

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