tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

「レベニュー・ニュートラル」を思い出そう

2024年11月21日 15時34分09秒 | 政治経済

「レベニュー・ニュートラル」を思い出そう

前回は、アメリカの今後4年間のトランプ時代を考えると、今の日本にとって本気の「政治・経済の一体改革」が必要だという問題を提起したつもりですが「そんな事は疾うに解っているよ」と言われそうです。

「解っている」と言われる方が多いのは心強いものです。そこで皆様と一緒にその中身にもう少し入ってみようと思います。

自公の絶対多数がなくなって、与党の「決める政治」はなくなるのでしょう。野党の合意がないものは成立しません。当然与党も野党の共に責任を持つわけですから、国会決議の内容は良くなるでしょう。

政治はそれだけでも大きな進歩です。では、経済政策の中身はと言いますと、野党にもポピュリズムに陥っている部分もあるように思いますので、一番大事と思われる事だけでも書いておきたいと思います。

国会は、国家予算の規模とその配分の内容を決めることが出来ます。この権利を利用して、今まで絶対多数の与党は、国民が今日喜びそうなバラマキをやってきました。

コロナの時の1人10万円を筆頭に、種々の給付金補助金、今回も定額減税をやっていていますし、法人税では2012年から2018年に4回も減税をやっています。

それぞれに事情があってですが、減税は結局は国債が頼りで、国の国民への借金が増えるばかりです。まさに朝三暮四の好例の様なものでしょう。

毎年当初予算は「抑えて、抑えて」と言うのですが、新年度が始まるとすぐに補正予算をと言って、野党も賛成という事もあります。本当の問題は決算です。

そういえばこの頃「レベニュー・ニュートラル」ということばをあまり聞きません。MMT(モダン貨幣理論)などというのが一時はやって、いくら赤字財政をやっても大丈夫などという学者もいたのでその影響を受けたのでしょうか。

「レベニュー・ニュートラル」というのは税制を変えても歳入は増えないという意味で、減税の時はその財源は何らかの増税で差し引きチャラにするという考え方です。

日本でも最初に消費税を導入するときいは、この考え方を大事にし、年末調整の際に、消費税増税の分は所得税の減税で賄われている事を源泉徴収票に減税額を表示して国民の理解を得よという議論があり、実行されたと記憶します。

レべニュー・ニュートラルであれば国民の税負担総額は増えないわけで、これを経済成長分は増えてもいいとすれば、プライマリー・バランスと同じ思想になります。

政府の財政規模を無暗に増やさないという考え方は、自由経済の基本でしょう。

家計の消費支出を増やすのには、一時的な給付金や補助金などは、殆んど効果はなく、政府がやるなら恒久的な減税、最も望ましいのは賃金水準の上昇だという事は経験的に明白です。

こうした考え方を与野党は十分理解し、労使を経済活動の主役として活発な消費と投資を生み出すような環境条件を整えなければならないのです。アカデミアにはその理論的な背景についての国民の啓発を期待します。

与野党も労使も、それぞれ役割は違い、徹底した論争は必要ですが、最終目標は共通でなければならないでしょう。


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