tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2024春闘出足順調、ホンダ、マツダ満額回答

2024年02月22日 14時14分17秒 | 労働問題

昨日のニュースで、大手自動車メーカーのホンだとマツダで満額回答が出ました。

ホンダは組合の要求「月例給(定昇プラスベア)で2万円、一時金(ボ-ナス)年間7.1ヶ月という要求で、これはバブル期以来の高水準でしたが、一発回答で満額といった感じです。

マツダは基本給の引き上げを16,000円(定昇プラスベア)、一時金は5.6か月分で前年プラス0.3か月という事で、一発満額です。

原則論では、月例給や基本給の引き上げは、企業の安定した成長に支えられるもの、ボーナスは一時的な業績を反映するものという基本視点に立てば、企業は順調に成長し、その上に円安などで一時的な収益改善効果があった事の結果という事でしょう。

企業の立場から見れば、今年の基本給や月例給の上昇の中の「ベア」にはこの所の物価上昇による実質賃金の低下を補うという意味の部分も勘案されているはずで、更には部品産業などの賃上げの価格転嫁分原材料費が上がっても、着実に支払える賃金水準という視点も入っているという賃上げでしょう。

そういう意味では、今春闘の結果は、これまでの積み残し分を企業として清算するという役割も持っているはずなのです。

そうした視点から言えば、企業にとって満額回答出来る程度の要求というのは随分と控えめで、組合側からすれば、頑張って勝ち取ったつもりが、それほどでもなかったというこ事にもなるのでは、という見方も在り得ましょう。

一方ではまた、春闘の結果が出るのは6月頃でしょうし、今年乃至今年度中に円レートがどこまで円高になるかが春闘結果の判断を左右する可能性も大きいでしょう。円高が進めば、今春闘の結果が企業にとって重いものになります。

この辺りはアメリカ(特にFRB)次第です。日銀はある程度の円高を予測して、ゼロ金利脱出を考えようという姿勢ですが、円高が10%進めばその分だけ日本企業の賃金負担は重くなるという関係は消えません。

春闘を取り巻く条件は多様ですが、連合も経団連も「毎年継続した賃上げ」が必要と言っていますが、それに必要なのは毎年日本経済の生産性が安定して上昇する事てあるという事は誰にも解っている事でしょう。

今年の春闘は、不足していた消費を増やし、日本経済がバランスのとれた成長型経済に入ることを目指して労使の分配をある程度労働側に有利にしようという労使共通の発想が出発点でした。

それが出来て初めて来年から「毎年賃上げが出来る」条件が整うのです。ですから、今年は労働への分配を増やす春闘、来年からは、経済成長(生産性上昇)に見合う賃上げを目指す春闘ということになるという基本的な視点を、忘れない事が大事のように思います。


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