今、日本の大きな課題は何でしょうか。衆院選の争点は政治改革と経済の再生でした。
敢えて、一つ取り残されていたと言えば、日本社会の劣化の問題でしょう。
日本社会は基本的には健全で安定した社会だと思いますし、海外からの評価でも、最近増え散るインバウンド人たちの意見でも、安定した社会とみられているのでしょう。
しかし、われわれ日本人から見ると、最近、従来は考えられないような事件も増え、毎日のニュースを見ていても、何でこんな嫌なニュースが次から次へと出てくるような日本社会になったのかと恐ろしくなることが多くなりました。
最近、夜、明かりをつけている家が増えたように思いますが、連続強盗事件を心配する家が多くなったからでしょうか。
毎日のようにマスコミが警告している特殊詐欺事件の被害額もなかなか減らないようです。投資を装った詐欺事件も報道が頻繁です。
書きたくはない事ですが、無差別殺傷事件、家族間の刑事事件など、異常な事件も大変気になるところです。
加えて言えば、企業内の検査基準を順守しないといった問題も頻発です。
もともと根は真面目で、社会規範を順守する気持ちの強い日本人がここまで劣化するとはまさに想定外ですが、現実は現実です。
原因は、バブルとその崩壊、その後の30余年にわたるゼロ成長、ゼロサム社会の中での不合理な格差拡大が日本人の心を荒廃させたからと感じている人は多いでしょう。
これからの問題は如何にしてそれを元に戻していくかです。
原因を順に遡れば、成長しない社会の閉塞感、その中での不合理な格差の拡大、やり場のない怒り、などなど、持っていきどころのない不満感が人の心の正常な感覚を蝕んできたのではないでしょうか。
今、政府も各政党も、日本経済の建て直しに的を絞っているようです。経済を建てなおせば、社会は良くなると考えているようです。
実はこのブログもそう考えています。経済の建て直しは30年来の重要課題です。問題は、「しかし、それは政府の仕事ではない」という事です。
税と社会保障制度の抜本改革で格差社会化を是正する、といった長年の懸案、その枠であるトータルの国民負担率の適正化は政府の仕事でしょう。
しかし、どこそこに補助金を出すとか、一時的な減税や給付金で消費を増やそうなどという事は考えない方がいいのです。
そうしたツギハギ政策はすべて、国民の合理的な経済活動を歪め、日本経済の効率を悪くするだけです。(政府の見える手)
昨年あたりから日本の企業も労使も、そうした問題に気付き、労使の配分の正常化、消費と投資のバランスの是正に連合・経団連も動き始めています。
政府は良きルールを作り、産業界はそれを生かす活動をするという本来に戻りつつあります。
そこで最も重要になるのが、これこそ政府の仕事、健全な国民負担率の設定と、社会保障を含むその適切な分配です。(その合理性、公正性が政府信頼の源泉です)
今、日本の国民が最も不安、不満を持っているのは、その適切な分配でしょう。税と社会保障の一体の抜本改革です。新たな日本の再生です。
それを全力で担当する政府は、清潔で合理的な政府でないとできないでしょう。
話を基本に戻せば、今までの自民党中心の政権が、明らかになってみれば泥沼の政治でした。権力とカネと保身の渦の中で総理は平気で国民に嘘を言っていました。
それを直すことから始めるのが基本でしょう。日本経済をよくするのも、日本社会をよくするのも、「日本の政治が清潔で合理的なものになって」初めて可能になるのです。汚れた手や心ではでは、それは出来ません。
繰り返しますが、政府は、まずすべての前提条件「クリーンな政治の実現」に十分な時間と労力をかけてください。国民は待っています。(密約や野合はナシ)
経済は民間産業界、労使の組織が政府の余計な手助けは不要と言っているようです。