tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

経済の先行き容易ではなさそうです

2020年03月09日 23時58分23秒 | 経済
経済の先行き容易ではなさそうです
 国連の常任理事国は、米、英、仏、露、中の5か国ですが、アメリカは「アメリカ・ファーストを標榜、中国は南シナ海についての仲裁裁判所の判決を紙屑と呼び、ロシアは力づくでクリミア半島を併合、といったのが現実に行動です。

 国連のガバナビリティーを支えるはずの常任理事国のこうした勝手な行動がまかりとおt4えいます。2度にわたる世界大戦の経験や教訓は世界平和が大事、世界の国々は協力し合うべきだと教えてくれたはずですが、いまその方向をかろうじて維持しているのはEUぐらいでしょうか。

 日本の戦後平和憲法を持ったのですが、今、改憲論議が持ち出されています。大国が勝手な行動をとれば、引きずられる中小国(日本も)が出て来るというのが最近の風潮でしょうか。

 今、新型コロナウィルスが世界で猛威を振るっています。昔なら、天が懲りない人類を罰しようとしていると考えたかもしれません。
 宗教も、原罪に対する天罰や因果応報、掟、などなど、人類は神や天の支配下にあると教えていますが、これも、人類社会をよくするには、人間は、経験(教えも知的経験)から学び、時に反省をすることが必要という現実を気付かせようとしているのでしょう。

 新型コロナが天罰といっても誰も信じないでしょうが、日本政府が、ここ2週間とか今が正念場と言っても、それにお構いなく、ウィルスの方は、世界中に急速に広がっているようです。
 世界的にはまだ初期症状なのかもしれませんし、東京五輪を控える日本では、たとえ日本の国内で新型コロナを抑え込んでも、参加国で広がっていれば、五輪開催はおぼつかないでしょう。

 トランプさんの言うように、「暑くなれば収まるよ」といっても南半球はどうなのでしょうか。今は、すべて物事は地球規模で考えなければならない時代に入ってしまっているのです。

 話は変わりますが、イベントだけではありません。経済の相互依存関係はより複雑です。
 最近の米中関係からも、その一端が知られましたが、アメリカが新型コロナの深刻化で株価の暴落を防ごうと(反論もあるでしょう)金融緩和をすれば、それはドル安政策としての効果を発揮し、日本にとっては大幅円高になることは、リーマン・ショックの経験で、お互い良く解っていることなのです。

 すでに、かつての2発の黒田バズーカで$1=¥80から$1=¥120となった2発目の効果は消えて、今日は$1=¥101円までありました。
 これを放置して100円を割り込めば、2012年までの深刻なデフレ不況の再来となるでしょう。

 前回も書きましたが、新型コロナの正念場も大事ですが、アメリカの利下げで、いま日本は金融政策・為替政策の正念場を迎えているのです。
 
 リーマン・ショックの時は、日銀には円高を良しとする意識が残っていて、大失敗をしました。今の日本は日銀も含めてその経験から十分学んでいるはずです。
 日本は「過度の円高」認めない国という信号を早期に明確にしないと、この所の様相は、明らかにリーマンショック時に似てきていると言えましょう。

円の独歩高放置は日本経済の破滅

2020年03月07日 22時38分04秒 | 経済
円の独歩高放置は日本経済の破滅
 金融の自主性を主張してきたFRBのパウエル議長もトランプさんの剣幕に恐れをなしたか、先月28日、金利引き下げを示唆しました。パウエルさんの説明では、新型コロナウィルスのアメリカ経済への影響を注視しつつ、必要に応じて適切な対策をとるという形の「示唆」ですが、株価が下がることにことのほか気を遣うトランプさん(選挙戦の真っただ中ですから・・・〕怒った顔も気になるところでしょうか。

 その後のアメリカのダウ平均は1000ドルレベルの乱高下で、日経平均も1000円レベルとはいきませんがアメリカに追随して乱高下です。
 
 株価下落を心配する人も、もちろん、多いでしょうが、本当に心配すべきは「実体経済」でしょう。すでに政府は新型コロナの影響で売上高激減の中小企業に対して無担保・無利子の融資をすると言っていますし、麻生財務相は、学校休校で収入減・支出増の過程には政府の責任で補助をすると言っています。

 新型コロナの勢いは、未だにどこまで行くか不明で、これから保健所を通さにで検査が可能になれば、検査が増えることで感染者の増加も当然予想されます。

 「万全の手を打つ」のに、2700億円の予備費で足りるかどうかはこれからの話ですが、カネのない政府も、何としてでも危機突破といった姿勢のようです。

 確かに新型コロナに対しては、政府の意気込みは目に見えるのですが、関連してもう一つの大問題が発生しています。

 それは円高です。パウエルさんが利下げを示唆してから、円高が急速い進んでいます。この間まで、1$は110円~112円あたりと思いますが、現時点ではすでに105円台で、104円台を狙う情勢といった見方もあるようです。

 もしこの状況が続くようであれば、円高も面から日本経済は大打撃を受けることになると思います。冗談ではなく、新型コロナによる「肺炎」は怖い、しかし、アメリカの金融政策による「ハイ円」も恐ろしい。共に、国として全力で真剣に考えなければならない問題でしょう。

 円高がいかに日本経済にとって大きな問題かという事は、プラザ合意による円高、リーマンショックでアメリカがゼロ金利政策をとったための円高で、日本人は、解りすぎるほどわかっているはずです。

 これからアメリカの利下げが具体的になるかという中で、週明けからの円レートがどんな展開になるのか、我々には見当もつきませんが、政府・日銀が「そんな余計な心配をすることはありません。きちんと有効な政策を準備しています」と国民が、家計が、企業労使が、安心してみていられうような円レートの動きが実現されることを願いつつ、今後を十分注視したいと思っています。   

2020年1月の平均消費性向は出たけれど

2020年03月06日 20時50分08秒 | 経済
2020年1月の平均消費性向は出たけれど
 今日、総務省統計局から2020年1月分の家計調査が発表になりました。
 このブログでは毎月追跡している2人以上勤労者所帯の平均消費性向も当然出ています。

 早速数字を見てみましたが、残念ながら、前年同月に比べて大幅低下でした。
昨年10月の消費税増税の際は、政府は大変気を使って、軽減税率やキャッシュレス割引などやり、消費が落ち込まないように努力したのですが、やはり消費の反動減は厳しく、年末商戦もあまり盛り上がらない雰囲気でした。

 その雰囲気は何か1月に入っても持ち越されてしまったように感じていましたが、矢張り、今年1月の2人以上勤労者所帯の平均消費性向は78.9%と前年の84.8%を4.9ポイントも下回ってしましました。
 
 平均消費性向の数字は、家計調査の中でも、収入が確定する勤労者所帯しか取れないのですが、いわば、これが家計一般の代表的指標で、この数字が下がっていれば、国全体としての消費支出も低調と見て間違いないだろうというのが一般的な見方です。

 先の昨年12月分について取り上げた折、2020年1月からは。家計調査の調査表の改定の影響がなくなるので、統計のリンクのための修正の必要もなくなり、数字が解り易くなると指摘したところですが、解りやすくなった結果は大幅低下でした。

 もし、全所帯の平均消費性向も勤労者所帯と同様な低下と仮定すれば、民間消費支出はGDPの55%を占めていますから、経済成長率を2.7%ほど引き下げることになってしまいます。shouhi
 これは名目値ですが、消費者物価は消費増税で上がっていますから、実質消費の伸びの落ち込みはもっと大きく、政府の経済成長率の見通し「プラス1.4%」の達成には、今後余程消費が伸びないと追いつきません。

 ところが、2月からは新型コロナウィルスです。消費はさらに落ち込むでしょう。
 政府にしてみれば、新型コロナのせいで、世界中景気が落ち込んでいるので、日本の落ち込みも当然という事になるのかもしれませんが、実は1月段階から消費不振は続いているという事になります。

 現実の家計にとっての状況としては、将来不安による家計の緊縮、貯蓄志向の上に、消費のチャンスを失わせる新型コロナ禍という所ではないでしょうか。
 安倍さんの桜を見る会は疾うに中止になりましたが、民間の桜を見る会も軒並み中止でしょう。

 日本経済は弱り目に祟り目です。新型コロナウィルスの猛威も、恐らくいつかは終わるでしょうが、その時には、鬱積した消費意欲が改めて噴出してくれるでしょうか。それとも「おかげで将来への備えが少し増えた、さてもうひと頑張り!」という事で相変らずの消費不振の継続となるのか、国民が、日本経済の先行きにどれほどの期待を持てるかで決まってくるのでしょう。
 その辺りを見極めるまで、やはり平均消費性向の追跡はやめられないようです。

新型コロナと高齢者:胸腺についての雑学

2020年03月04日 21時20分29秒 | ご警戒を
新型コロナと高齢者:胸腺についての雑学
 世の中、新型コロナウィルスでもちきりです。

 世界経済も新型コロナのせいで、成長率は下方修正、このブログも、本来の付加価値関連の問題、世界経済の成長(世界の付加価値生産の増加)予測改定といった問題を取り上げるべきなのでしょうが、今日も新型コロナの話題です。

 先日、親しい友人が、こんなことをメールしてきてくれました。
 「友人の医者から、新型コロナが流行りそうですが、簡単な自己免疫力を高める体操を教わったので、ご紹介します。何かのお役にたつのではないかと思います。」

 ということで、自己免疫力を高めるには、「胸腺」を刺激して、その働きを活発にすることが重要です。まず、両肘を横に張って後ろに引く、背中で「肩甲骨がくっつく」ように。これを3×3回ほど、それから「左右の鎖骨の真中の少し下」を軽く10~20回ぐらい拳で叩く。思いついた時にこれをやると良い、というのです。

 胸腺というのは覚えがあって、以前、大人になっても子供のようなことを言うと「お前は胸腺の発達しすぎじゃないか」などと言ったり言われたりしたものでした。
 胸腺は思春期に最も活発で、その後は急激に委縮してしまうものだと聞いていました。

 メールを見て、胸腺には自己免疫を高めるなどという役割があるのかとびっくりしてネットで見ますと、胸腺は大変な機能の持ち主でした。
 免疫機能を持つT細胞は胸腺の中で作られるというのです。病気のもとになるウィルスなどが入って来ると、このT細胞がやっつけてくれる(細胞性免疫)という訳ですから、胸腺は大事です。

 ところが、胸腺は思春期に最も活発に活動し、その後は急速に衰えて、「70歳ぐらいになるとほとんど機能しなくなる」というのです。
 
 それで納得したのが、新型コロナウィルスに感染すると高齢者ほど危険という現実です。子供は感染しても、風邪かな?で済んでしまう。しかし我々高齢者には危険極まりないウィルスという事なのでしょう。

 子供は軽症で済んでも、感染の媒介はするそうですから、毎日通勤電車に乗っている孫との付き合いも慎重にしなければならないのでしょう。

 そんなことで、上記の体操(療法)で、既に80代後半、多分痕跡器官化した私の胸腺に「頑張れ」といっても詮無いことと分かり、せっかく教わったのに残念でしたと思っていましたが、よく読んでみましたら、最後の所に、「この運動は自己免疫力を高めるだけでなく『誤嚥』の予防にも効果があります」と書いてありました。

 新型コロナは一時的の流行かも知れませんが、誤嚥は一年中の問題ですので、やっぱりこれは役に立っ運動だ、思い出したらやる癖をつけようと思っているところです。

石油危機の時の経験に似て来ました

2020年03月03日 23時29分30秒 | 経済
石油危機の時の経験に似て来ました
 「トイレットペーパーは大丈夫だ」、「マスクは増産中・・・」、と政府は連呼しています。思い出してみれば、こんな事がかつてもありました。
 ご記憶の方も多いと思いますが、昭和48年秋、OPECが原油価格を4倍に引き上げ、所謂「トイレットペーパー・洗剤パニック」が起きた時です。

 原油輸入が困難になったら、何が一番困るかという連想から、毎日使うとレットペーパーと合成洗剤がなくなるという風評で、今のマスクと同じように店頭から、たちまちにしてトイレットペーパーも洗剤も無くなりました。

 買い占め、売り惜しみのせいだ、メーカーや流通の倉庫を空けさせろということで、テレビカメラの砲列の前で倉庫が開けられましたが倉庫はカラでした。

 経済学者が「いつも1個買う所をみんなが2個買えば、生産量が2倍にならなければ間に合わないというだけの事です」(注)と説明してくれて、悪者がいたわけではないとみんなが理解して落ち着きました。〔(注)モノプソニー、買い手独占〕

 今回のマスクは、もう少し深刻ですね。相手が感染症ですし、普段は何かという時だけしか使わないものを、毎日使う、それもウィルスのついたものは再使用できませんから毎日新しいのを・・・。

 これでは店頭から消えても当然です、しかも大製造元の中国が最も深刻で、国内のメーカーで間に合うのかといった心配は募ります。
 国内の電機メーカーがクリーンルームを利用してマスク製造を始めると新聞に出ていました。ますます心配する人もおられるでしょう。

 私も高齢者ですから新型コロナにやられたら「アウト」かもしれないのですが、定期的に病院・診療所にも行かなければなりません、混んでいて待たされます。病院は怖いとも聞きます。もちろん、バス・電車にも乗ることにいなります。

 抽斗を探したらマスクは10数枚ありました。家内と2人で、これを大事に使うことにしました。
 結局使い捨てにしないと決めて、3つほど方法を考えました。
① 洗って再使用、テレビで、洗えば界面活性剤がウィルスを洗い流すと言っていました。
② 何度も洗うとボワボワになるので、見たところが綺麗ならばアイロンをかける。アイロンの熱でウィルスは死ぬでしょう。
③ 忙しい時は、ヘアドライヤーの熱風をマスクの裏表に吹き付ける。これでもウィルスは死ぬでしょう。

 毎日外出というわけではないので、これで今のところ何とかなっています。素人判断ですので、ご専門の方のご意見をお聞きしたいと思っています。

株価やCovid への政府対応にみる問題点

2020年03月03日 00時41分53秒 | 政治
株価やCovid への政府対応にみる問題点
 週明けの今日、株価はやっと下げ止まりの様相をみせました。
 直接の原因は、日銀の黒田総裁が緊急談話を発表、市場に潤沢な資金を供給する金融緩和策として5000億円の国債買い入れで市中にお金を流すと発言したことでしょう。

 安倍さんが、学校の休校を指示し、財務相はそれでコストの増える家庭には補助金を出すと言い、厚労省は資金繰りの詰まる中小企業には雇用調整助成金で面倒を見るという状況に、即時に反応するという動きでした。

 本来の事の起こりは新型コロナウィルスの流行ですが、米中摩擦やシリア、イラン問題といった人災で経済不振になっていたところに、新型感染症という天災が人類に新たな脅威をもたらしという事にあるのです。

 ダイヤモンド・プリンセスでの対応では、種々、酷評に近い発言が複数の国から聞かれていましたから、日本政府としても、これからの対策は早期に徹底を図りCovid(新型コロナウィルス性肺炎)収束に先陣を切りたいところでしょう。

 唐突に休校を要請したり、派生する家庭の問題に給付金を出したり、株価の下落阻止のために金融緩和をしたりというのは、あくまでも副次的な経済・経営の混乱を軽度に収める対症療法で、問題の根本解決策ではありません。
 確かに株価自体も、一時日経平均が400円も下がったようですが、その後冷静になり、終値は201円の値上がりでした。明日はまだ不透明です。

 Covidには、エボラ出血熱対応で開発された国産(富士フイルム)のアビガンの治験が始まっていますが、効果が期待されるところです。望むべくはこうした開発で先陣を切り、本来の問題の解決に道を開く日本の高い開発力の発揮です。

 国民の賢明な協力で、この天災克服の先鞭をつけることができた時、初めて問題の本当の解決があるわけで、これには、社会的行動面や研究開発面で、如何に国民や企業の本気の協力を引き出せるかが最も大事なことではないでしょうか。

 政府、日銀のとった政策はあくまでも、当面の弥縫策でしょう。本来の対策は、学校や企業、国民すべてが、納得して協力体制を組めるような、コンセンサスとやる気を持つような政策の「あり方」ではないかと思う所です。

 国民が効果には半信半疑で対応策に苦慮したり、従来から研究開発予算は削りに削るような状況の中で、国民は政府に従えばいいと言われても、挙国一致という事にはなりそうもありません。

 真面目な日本人の事ですから、それなりに種々工面して適切に対応するとは思いますが、本当の本気で取り組むのと、状況に迫られてやらざるを得ないというのでは、成果は違ってきます。

 もう少し、国民が納得して行動できるような政策の在り方に心を配るような政府であってほしいという意見は強いようです。