降って来るもの

写真と散文とぽえむ

晩秋の追慕

2018-10-27 05:53:27 | 随想

             晩秋の追慕


出来たばかりの詩集を

猪の一番に

アナタ宛てに贈る度に

一週間も経たないうちに

褒め言葉を満載して

必ず

届いた僕宛の葉書


それも

物理の教師らしく

葉書の裏と表に

数ミリの間隔で罫線を引き

そこに

誠実そのもののように

少し角張った几帳面な文字で

ビッシリと埋め尽くされた言葉

それは

まるで手紙のような葉書


そんな便りが届く機会を

永遠に失くしてしまった

この晩秋


新しい詩集は完成したのに

宛先も

帰ってくる葉書も

書き甲斐だったひとつの動機も

喪ってしまったこの秋


もう直ぐ

アナタから

途切れることなく届いた

それは

半世紀を凌駕して続いた

夏と冬の

いつでも

心待ちにしていた

暑中と年賀に纏わる

月日が来る


侘しくて、切なくて

しみじみと淋しい

追慕に明け暮れる

この晩秋よ

        2018 10/27 06:14 まんぼ

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