残暑お見舞い!!~ANATAe~
知らぬ間に、ANATAが
僕の周囲から姿を消してしまって
もう十五ヵ月もの月日と時分が過ぎました
当たり前の様に僕に届いていた
去年の夏の暑中見舞いの葉書や
今年の、優しい思惑の文字で埋まった年賀状や
それから、新しい年号「令和」になって
この夏の酷暑の日々になら、きっと齎されていた
洗い師の僕を気遣う見舞状も
とうとう届かない現実の容赦のなさに
改めて、ANATAの居ない移ろいの虚しさに
戸惑うばかりの僕です
此の重量のある欠落感は
月日の重さと比べても
なかなか軽くなりそうにありません
あれからも、生きて在る僕は
二冊の詩集を上梓しましたが
何時のトキにも、真っ先に宛名書きしたANATAの
書き記す住所のない淋しさは格別のもので
寂寥感を拭う術も浮かばない程です
確実に帰ってくる返信を
心を昂ぶらせて待った日時の鮮度も
葉書の表裏全ての空白を埋めて届く
そのANATAの言葉の数々も
今は、もう受け取れない切なさに
何時までも、心の迷路を彷徨う僕です
ともあれ
此の夏の異常さに少々へこたれている今なら
ANATAが居たら
何はさておいても、その口説きを長々と認めて
慰めてもらうために
弱音満載の手紙を書いていたでしょうに・・
世の中の移ろいは、砂時計の砂ですね
例え数秒のことも儘ならない無力感を
ANATAと存在した日日の奇蹟を通して
いつも感じてしまいます
ともあれ
ただ、律儀な微笑みを鮮やかにイメージして
その幻影のANATAへ
「残暑、お見舞い申し上げます!!」の
片道切手のletterです
R1 08/23 09:12 万甫