言語の巻.Ⅰ章「想像の傾れ」
発作のように、衝動が起きると
起因する言語たちが
想像の傾れのように
ペン先に伝播してくる・・
稲妻のように
平穏を切り裂く雷光が
胸の空洞を掠めると
その亀裂に向かって
天上天下の周囲から
夥しい種類の、限りない数量の
言語片が降ってくる
僕はただ、黙々とその成り行きを
電信員のように
メモ用紙にタイプしてゆく
何処に潜んでいるのか行方不明だけれど
どんな奴なのか、正体不明だけれど
僕の裡なる僕は、唯
僕の右手の指先は
伝令を受け取った一兵卒のように
些かの戸惑いもなく
無の中に生じる刹那の有を
言語化してゆく・・
その可否の尊卑などお構いなく・・
その言語の有無など有耶無耶に・・
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