寺田寅彦は<文明が進めば進むほど天然の暴威による災害がその劇烈の度を増す>(『天災と国防』)と述べている。人の住んでいない場所が大地震などに見舞われても、被害は限られる。しかし、人が住むところ、その営みが高度になれば災害も大きくなる
▼人間の宇宙での活動にも当てはまるようで、最近は「宇宙災害」という言葉を目にする。宇宙線などによる地上の通信機器の障害や宇宙飛行士の健康被害、人工衛星の故障などさまざまな懸念が浮上しているようだ。宇宙空間には、人工衛星の残骸など「ごみ問題」も存在していて、その危険性が指摘されることも増えた
▼天然の暴威にとどまらないやっかいごとも、人の営みのあるところにはついてまわるもののようだ。宇宙で初めてとなる犯罪が起きた可能性があると、数日前の新聞で知って、驚かされた
▼米国航空宇宙局(NASA)の女性飛行士が、国際宇宙ステーションから不正に銀行口座にアクセスしたと訴えられているそうだ。離婚訴訟中の同性パートナーの口座らしい。女性飛行士は、容疑を否定しているそうだが、これもまた、科学技術の進歩と人間の活動の産物なのであろう
▼米国では二十九日、宇宙軍が正式に発足している。中ロに対抗するため、トランプ大統領は、組織を拡大していく方針なのだという
▼度を増すばかりの文明国同士の争いである。
先日、小布施観光に行きました。道の駅に新鮮な果物が沢山並んでいるので、思わず幾種類も買ってしまいました。店番の農家のおばさんは「この辺は昔から洪水が多かったので、土が肥沃で何の果物でも出来るのです」と言いました。以前、テレビで四国の藍の町のことを放映していました。そこでも、吉野川の洪水が肥沃な土地をもたらす と報じていました。洪水自体は悲劇ですが、土地のひとは洪水の恩恵もうまく利用しながら生きて来たようです。
でも、最近は自然災害に「文明の進化」が加わって被害を大きくしているような気がしてなりません。
過日の北九州でも、洪水に合わせて油が流れ出し、海まで及んでいると言います。災害と文明の端的な悲劇が、大津波に人災が加わった福島原発事故です。
災害以上に人々を苦しめているのが領土や宗教、石油などの利権をめぐる対立です。貧困、難民をめぐる人災は世界中に拡散しています。
人災の最たるものが、「戦争」だと思います。アベ政権には、防災訓練と同時に、「戦争をする国造り」を直ちにやめて欲しいと思います。それが、防災の日に感じた私の願いです。