能率技師のメモ帳 経済産業大臣登録中小企業診断士・特定社会保険労務士の備忘録

マネジメント理論、経営理論を世のため人のために役立てるために

働き方改革と労働時間・・・生産性向上とか1人当たりGDPといった議論もありますが、要は自分自身の価値観やキャリア観が重要であると思います

2021年12月08日 | マネジメント

最近、働き方改革やワークライフバランス、プレミアムフライデーや健康経営などなど、昨今、働くこと、労働することについての議論が活発になってきています。

コロナ禍もあり、身の回りにいる人たちの労働時間も減っているように思います。

電通事件に代表されるメンタルヘルス問題、過労死の事件が、これらの動きを後押しし、働くことに対する見直し、再定義がなされるようになってきました。

個人的には、「働き方改革」は、「働かせ方改革」のような気がしていますが・・・笑。

働き方改革は、大きく、同一労働同一賃金と労働時間短縮という2つの文脈で語られます。

戦後の日本…労働時間は減少傾向にありますが、今問われているのが、労働の量のみならず、労働の質ということだと思います。

労働の生産性を上げて、同じ労働時間の中で、より高い付加価値を上げていく・・・。

働くことの喜び、充実感、達成感を高めて、やりがい、働き甲斐、モチベーションを上げていく・・・

働く時間を減らし、家族や友人、プライベート等での「ライフ」を充実させ、社会の経済を発展させる・・・

そんな流れに持っていくことが出来ればベストだと思います。

放送大学の道幸客員教授は、時短政策のために押さえておくべきこととして、5つの観点をあげています。

1.今までの日本は、生産性向上による労働条件の改善を、時短ではなく、賃上げで実現してきたという伝統がある。若年労働者を除き、時短のニーズはそれほどなかった。

2.勤労礼賛、競争至上主義のための長時間労働自体が美徳とするビジネス志向的な文化。

3.生産、流通システムのネットワークで、一社だけ時短することが難しい。

4.業務命令内容の不確実性。ホワイトカラーのサービス残業や上司が居残れば先に帰宅しにくいという職場の雰囲気。

5.長時間労働に対する歯止めが適切に機能していない。形骸化している36協定やチカラ不足の労働基準行政。

特に、1の「賃上げから時短」という視点は、これから必要なように思います。

働くことの生産性、効率性をあげたとしても、それが、新たな仕事に割り当てられれば、労働時間は、さらに増えていくように思います。

 

また、道幸教授の5つの視点に加えさせていただくと、現在の企業では、次のような実態があります。

1.ICTのインフラ化・・・労働者は、パソコンや携帯電話、タブレットやスマホで、極端な話、24時間連絡が取れる状況におかれている。

2.コンプライス業務の急増・・・ISOやプライバシーマーク、内部統制や稟議制度などなどビルトの仕事は年々増え続けるものの、スクラップはほぼない日本の会社。誰も読まない書類や文書を一生懸命作っています。

3.なんでもカスタマイズ病・・・競争、競合会社と差異化するためのカスタマイズ業務増大による仕事量の増加。しかも、手間暇をかけるカスタマイズによる値上げは出来ないというのが一般的です。

これらが、進展していけば、最後はホワイトカラーエグゼンプションにも踏み込まなければならないと思います。

大正時代の工場法を土台としてパッチワークを続けてきた労働基準法では、対応できないからです。

特に、労基法第32条、第37条あたりは、次第に機能しづらくなっています。

ただ、働くことが尊重、尊敬されること、一所懸命労働する人が一定の処遇を受けることは、日本の良き文化。

これは、守らなければなりません。

その上で仕事と生活のバランスが取れていることが出来ればベストだと思います。

働き蜂、ワークワークバランスでもいい・・・

プライベートの趣味に生きるのもいい・・・

残業代を稼いで家族を支えるのもいい・・・

要は、自分自身の価値観やキャリア観が重要であると思います。

その多様性、ダイバーシティに対応できる働き方改革が必要だと考えています。


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