広告代理店時代の後輩と久々の再開。
西麻布で待ち合わせ。
お互い、いい齢になりました。
西麻布、南麻布は、インバウンドの観光客も少なく、しっとりと落ち着いた場所。
路地に入ると、なかなか美味しいお店がたくさんあります。
ちょっと隠れ家が欲しい・・・という大人にはビオトープのようなスポットです。
彼曰く・・・「もう、疲れちゃったよね。そろそろ引退かな。」
連絡局から営業局へ、外資系になってラジオテレビ局へ異動。
その後、身体を壊して休職・・・そして復帰後、webマーケティングの担当へ。
「web広告の世界は、24時間労働。過労死しちゃうよ。特にアドテクノロジーの進化は、精神衛生上よくないね。」
昔々、テレビ広告の世界は、かなりいい加減な世界でした(笑)。
どれだけの範囲に届いたかというリーチ、何回届いたかというフリケンシー、視聴率を合計したGRPぐらいしかありませんでした。
しかも、それを測定するのが、電通系のビデオリサーチと今はなき外資系のニールセン。
調査対象は、首都圏のたった300世帯。
東京圏には3000万人以上いるのに、たった300世帯に機器を設置するだけで大丈夫なの?統計学的に有意なの?と当時も疑問に思っていました。
オンエアの翌日の昼頃にビデオリサーチやニールセンから紙資料がテレビスポット部に届き、これをシコシコ加工してクライアントに提供していましたっけ・・・本当にのどかな世界でした。
それが、いまやアドテクノロジーの世界。
ほぼリアルタイムで、広告の効果測定データが出てきます。
ICTのチカラ・・・恐るべし。
コンバージョン率、QDD、LPO、KPI、ARPU、CGM、Imp、SEAP、UI、SCM、LP・・・。
(紙ナプキンにしっかりメモしました・・・汗)
分かったのは、コンバージョン率だけ。
帰国子女と話をしているようで、ホント、通訳が必要です(笑)。
webの専門性がなければ、クライアントやベンダーと話が通じません。
今の広告の世界、40歳を超えると体力的にも専門的にもついていけないという彼の弁。
時代やテクノロジーの進化についていけなくなった・・・とのこと。
何となく分かるような気がします。
銀行業界のフィンテック、人事労務の世界もHRテック、AIやIoTが仕事の最前線に入りつつあります。
スマホやタブレットの普及で、人に届く情報量は、この5年で100倍になっているとも言われます。
グラスを傾けながら、彼のボヤキを聞いていました。
そして、結論。
「若い連中の仕事は邪魔しないようにしような。それが、マネジメントの役目だよな。」
思わず、予定調和のオヤジの着地点に落としてしまいました。
西麻布の夜は、さらに深けていきました。