起業やアントレプレナーがスポットライトをあびる時代。
華々しい新規性の高いビジネスモデルやITを駆使したニュービジネスが明日の日本を創る、日本経済を復活させるという言説が一般的です。
しかしながら、日本経済を支えているのは中小企業。
事業承継や経営革新など多くの課題を続けています。
開業率が廃業率を下回るというトレンドは普通のことになり、日本全国に散らばる中小企業数は減少傾向にあります。
キャッシュの流れが止まり金融機関等からの信用がなくなった時点で企業は、死を迎えます。
固定費を回収して損益分岐点を上回り利益をあげることが出来なくなり、慢性的な債務超過状態をむかえる・・・そして、資金繰りで詰まった時点でジ・エンドとなります。
近所の八百屋さんもクリーニング屋さんも、月初マイナスからのスタートになります。
トマトやキュウリの仕入れ、市場に行くトラックのガソリン代、値段を書くマジックペン代、そして親父さんの報酬・・・。
まずは、これらを回収するために近所のオバチャマに白菜やニンジンを威勢よく売りさばきます。
売上をあげ、損益分岐点を超え、オヤジサンは一安心。
「今月も何とかやっていけそうだ・・・。」
が、計画どおりに行くのは、さまざまな前提条件が満たされた場合だけです。
天候不順で野菜の仕入れ価格があがる、不況で主婦の財布の紐が硬くなる、近所に大型スーパーができる・・・。
この八百屋さんは大変です。
そうです。
会社や組織は、潰れるように出来ているのです。
年初、月初は、常にマイナスからのスタートになります。
つぶさないための努力が、マネジメントであり、能率という思想・道具ということになります。
マンネリ、ワンパターンという言葉どおり、人や会社は、いつしか現状に満足し固執したくなります。
そのほうが楽だからです。
痛みも感じず、心地よい状態におかれます。
「ゆでガエル」という例えがあります。
蛙は皮膚で温度を感じ取ることに鈍感。
熱い湯に蛙を投げ込むとすぐに飛び出します。
が、水の中に蛙を入れ、ゆっくりと熱していくと蛙が茹であがるというものです。
「いい湯だな~」と感じているうちに昇天です。
わかっちゃいるけどやめられない。
気持良い心地よい状況から自ら飛び出すことは、なかなか出来ないのです。
会社や組織も、改善や革新(イノベーション)をやり続けない限り、いつかは倒産します。
いつもマイナスからのスタートだからです。
しかしながら、心地よい状態で経営革新する企業は、ごくわずか。
多くが、かなり病状が悪化してからの対応となります。
行くところまでいくと民事再生法や会社更生法等の対象となります。
かなり病状が進んだ段階で、絶対にやらなければならないのが、事業再生に向けての取り組みです。
現状を客観的に分析し、そこから脱出するための具体策を出し、行動する。
今、多くの企業や組織で「事業再生」「企業再生」が必要だと考えます。
現在を否定することは、決して心地よいことではありませんが、これなしに明日はありません。
個人とて同じことです。
すごくツライ仕事ですが、まずは自分再生。
現状と目指すゴールをしっかりと認識し、そのギャップを埋める日々の努力をしていきたいと考えています。