銭湯のファンです。
週に一回は、タオルを持って銭湯に出かけます。
足を伸ばせる、熱めのお湯、ブクブクのジャグジー・・・ストレス解消、疲れを取るには最高です。
スーパー銭湯ではなく、街場のフツーの銭湯・・・入湯料は、わずか460円。
コスパも最高です。
近所にある2軒の銭湯に行くことが多いのですが、休日には表参道や目黒まで、電車に乗って出かけることもあります。
そんな銭湯に1枚のポスターがあり、釘づけになりました。
すごい!
ポスターに出ているパソコンのディスプレイ、電話機からして、10年以上前の作品だと思うのですが、そ
れにしても昭和の臭いプンプンのこのポスター・・・魅惑の1枚です。
作成したのは東京都公衆浴場業環境衛生同業組合さん。
東京都下の銭湯経営者の同業組合です。
銭湯は、江戸の文化の一つ。
その伝統を引き継ぐとともに、年々減少しつつある銭湯の経営のサバイバルを図ることがミッションだと理解しています。
URLの「1010(セントウ)」というのも素敵ですね。
この同業組合は、銭湯のプロモーションのために、なかなか素敵な月刊誌「1010」を発刊。
オールカラーのこの雑誌は、内容も濃く毎回楽しみにしているマガジンです。
「東京銭湯ぶらり湯めぐりマップ」も刊行しています。
本当に頑張ってほしい同業組合です。
キャッチコピーは七五調。
「ストレスを おふろで流す きょうもまた」
まさに昭和です。
「きょうもまた」というのが、プロっぽくなくていいですね。
ポスターのシチュエーションは、会社の事務室。
雰囲気からして下町の中小企業。
スリッパに履き替えてのワーキングスペースは、オーナー系企業を彷彿させます(スリッパ系の企業は、なぜか成長力が弱いというのが私の経験則です)。
係長らしきネクタイ姿の男性と3人のOLさん。
壁掛け時計は、17時2分44秒。おそらく午前8時始業で17時終業。
就業時間が終わったので、今から裏の銭湯に行こうという会話がされているように思います。
OLさんは、マイ桶と入浴グッズを持っています。
しかも木の桶。
まさに通です!
江戸時代であればセレブです。
会社に銭湯グッズを置いておくなんて本当に粋な会社です。
よく見ると、真ん中のOLさんは地図を持っています。
窓から見える銭湯ではなく、どこか別の銭湯に行く計画を立てているのかもしれません。
「今日は仕事もはかどって早く終わったし、残業もないので、隣町の銭湯でも行こうよ」
「うん、隣町のあそこの銭湯にはサウナがあるのよ」
「うん、行こう。行こう。」
といった会話をしているのかもしれません。
係長さんは、OLさんたちの話に割り込むことも出来ず、ちょっとドンビキ気味。
分かります、分かります、その気持ち・・・(笑)。
窓から見える、背景のクラシカルな煙突のある銭湯もちょっと角度が変。
トリミングしてあとから貼り付けた感じです。
また、時計の下にある風景画もホワイトスペースを埋めるために無理やり飾ったというところが、
全体のバランスを崩しています(苦笑)。
表面の油彩がひび割れた古いこの風景画・・・カメラマンの要望で、急きょそのあたりから調達してきた絵のようにも思えます。
さらに、細かな芸なのですが、パソコンのディスプレイの上には、黄色のアヒルちゃんが鎮座。
お風呂好きの定番グッズを、仕事中にいつでも見られるというのもなかなかのものです。
そして、不思議なのが、ポスター内にある黄色のワク。
デザイナーさんが、この強烈なビジュアルをさらに強調するために入れたのかもしれません。ちょっとくどいですが・・・。
この一枚のポスターは、デザイナーさん、カメラマンさん、クライアントの想いをめいっぱい詰め込んだ作品。
本当にスゴイです。
でも、OLさんたちは制服を着て、銭湯に行くんですかね。
ひょっとすると、この会社ではフリンジベネフィット、福利厚生の一環で、銭湯代の会社補助が出ているかもしれません。
一回行くと半額の230円補助とか・・・。
仕事終わりに、銭湯に行く・・・そんなワークライフバランスのある会社で働きたいと思わせるポスターでした。
こんな会社だと、ストレスもたまらないと思うのですが・・・。
心を癒してくれるこのポスターを作成した同業組合さん、デザイナーさんに、厚く熱く感謝です。