今週、すごいニュースが飛び込んできました。
広島県大竹市にある下瀬美術館がフランスのベルサイユ賞「世界で一番美しい美術館・博物館」賞を受賞したとのこと。
「ベルサイユ賞」は、世界中の空港や商業施設などを対象に、ユネスコが創設した建築賞。
今回は、インドや欧米の美術館との競合の中で一番をゲット。
本当に、すごいことです。
授賞式ではこの美術館を設計した建築家の坂茂さんが出られたとのことでした。
安藤忠雄さん、隈研吾さん一辺倒になりつつある日本の建築界に、坂茂さんが新風を吹き込みました。
美術品、展示品の入っているコンテナは、浮遊式になっており、移動式だそうです。
広島県伝統の造船技術が活かされています。
広島県の一番西にある大竹市にある下瀬(しもせ)美術館。
少し不便ですが、岩国空港を利用すると東京からの移動も便利だと思います。
対岸は、ユネスコ世界遺産「宮島」です。
下瀬美術館は、広島市にある建設資材会社が造った私設美術館です。
昨年、オープンしました。
常設展示では、ガレ、マティス、藤田嗣治、岡本太郎、加山又造、奥村土牛、モディリアーニ、キスリング、ローランサンの作品が展示されています。
洋風の庭園もあります。
こちらが美術館のロビー。
木を使った細工が美しいです。
お金持ちが富裕層のために造った美術館。
好きなものをコレクションする・・・体系立ててないところが、ゴージャス感があっていいですが、個人的には趣味ではありません・・・苦笑。
この美術館、おそらく十億円以上の建設費かかっているのではないでしょうか?
篤志家事業?税金対策?いろいろと考えてしまいます。
でも、こどもたちやシルバー層が気楽に美術品を鑑賞できる企画もある展は評価できます。
フィランソロピー、メセナ、ESGですね。
この美術館にはフレンチレストランが併設されています。
瀬戸内海に隣接したオーシャンビューの素敵な建物です。
ランチくらいは大丈夫かなと思っていました。
が、が、が・・・メニュー表を見てビックリ。
ランチの価格は、6000円、8000円、12000円の3段階。
さらには、ミナラルウォーターは、これとは別料金で500円とあります。
ディナーだと、一人4~5万円はするんでしょうね(ため息)。
なんだかなあ?という感じです。
世の中には富裕層がいるんですね(苦笑)。
星野リゾートの星野代表が「海外からのインバウンドの旅行客をターゲットとした超高級リゾートが日本にはない」と指摘されていました。
開館間もない下瀬美術館は、世界遺産・宮島に近く、インバウンドの旅行客が激増しています。
交通も不便です。
でも、今後ヨットハーバーを造ってクルーザーが係留できるようにすれば、富裕層を取り込むことが出来ると思います。
下瀬美術館には、コテージも10戸くらいあります。
瀬戸内海オーシャンビューのコテージは、一人一泊10万円以上・・・。
価格は東京・銀座のシティホテル並みです。
一体だれが泊まるんでしょうかねえ?
臼井宥文さんの「日本の富裕層」を読むと、富裕層の「お買い物ニーズ」は5つあるそうです。
5大ニーズ
1 資産防衛・・・資産は増やすより防衛したい
2 教育・社会活動・・・世界の王侯貴族と並ぶ教育を受けさせる
3 美容・健康・アンチエイジング・・・休暇は海外でアンチエイジング
4 エンターテイメント・・・ダイヤを身に着け、旅する
5 セキュリティ・・・住宅街にガードマン
やれやれ・・・です。
ニーズというよりは、お金持ちの悩みなんですね。
フレンチのランチはあきらめて、途中ロードサイドのお店で、熱々の天丼をいただいて帰路につきました。
ごちそうさま!
千円札一枚で大満足でした(笑)。
ただ、芸術、文化の世界は、昔から富裕層が支えてきました。
西洋のルネサンス、中世イタリアのパトロン、ドイツの王様、大富豪などが、芸術家や音楽家、画家や詩人を支えてきました。
広島にも、そんな私設美術館がある・・・それはそれで素敵なことだと思います。
ベルサイユ賞受賞、おめでとうございます!