冬休みの積読クリアランスウィーク。
暖かい部屋で珈琲片手に至福の読書です。
カリスマ経営コンサルタントと言えば、田辺昇一さんや船井幸雄さん、そして、最近では大前研一さん・・・コンサルタントではありませんが、稲盛和夫さんや永守重信さんも有名です。
日本の社長、経営者に多大な影響を与えてきました。
そんな中、表通りに出ず、地道に経営指導を続けた伝説のコンサルタント、一倉定(いちくら・サダム)さん。
ユニチャーム、ドトールコーヒー、トステム、サンマルクカフェなどの創業者をコンサルティングしてきました。
1918年4月に群馬で生まれ、4社でサラリーマンを経験した後、経営コンサルタントに転身、1999年3月に亡くなるまで「社長専門のコンサルタント」として活動しました。
伝説のコンサルタント一倉定の社長学
作間信司著 プレジデント社 1800円+税
厳しい人だったようです。表紙の写真も、ちょっとコワイです(笑)。
社長を怒鳴りつける、経営がうまくいかないのはすべては社長の責任、机上のベキ論を嫌い徹底した現場・現実主義を押し通したコンサルタントでした。
「喝!」を入れる鬼軍曹・・・薄氷の下は冷たい海・・・経営の厳しさを「叱る」ことで伝えてきた昭和の異色コンサルタント。
個人的には、あまり指導を受けたくありませんが・・・笑。
目次
第1章 「社長の教祖」一倉定
第2章 社長の教祖がカミナリを落とすとき
第3章 社長とは事業を経営する人である
第4章 一倉社長学を支える経営の両輪
第5章 高収益の事業構造に我社を作り変え続ける
第6章 資金こそ事業の命 長期目標バランスシート経営
第7章 鬼の一倉、仏の一倉
第8章 先代創業者から後継社長へ、一倉イズムの承継
今の時世、一倉さんのような人はあまりいないように思います。
コンサルタントのみならず、社長でも管理職でも「怒鳴る」「叱る」「鬼になる」人は絶滅危惧種になっているように思います。
ヘタをすると、パワハラって言われる時代になりました。
MBAホルダーがよくやるような横文字を駆使して美しいスライドを造ってスマート、みんな仲良くコミュニケーションしながら仕事をしていく・・・そんなもの分かりが良い人ばかりになってきた感じがします。
同書の中にも、一倉名言がたくさん出てきます。
相手は社長です。
「あんたには何も教えることがない!」・・・怒って帰る・・・
「一倉にそんなことが分かるか!」(怒号)
「郵便ポストが赤いのも電信柱が高いのも社長の責任」
「民主主義経営ほど恐ろしいものはない」
「間違った決定より、あいまいな指示、先送りが最悪の結果を招く」
「輸入物マネジメントは百害あって一利なし」・・・胸が痛いです
「会社は潰れるように出来ている」
「マネジメントは利益を漏らさない工夫でしかない」
「BSとは社長の意思でつくるもの」 目標貸借対照表(ドリル付)・・・冬休みしっかり勉強します!
「節税貧乏という病気」
「活きカネを使える社長になる」
昭和の鬼コンサルタントを垣間見ることが出来る一冊。
理論や理屈だけでは経営は出来ない・・・気合と根性が大切・・・そんなことを気づかせてくれます。
会社経営をしている社長、そして、横文字やパワポのスライド、Excelスプレッドシート、MacPCなどに囲まれている方に読んでいただきたい一冊です。
先週の八重洲ブックセンターのビジネス書分野で一位になりました。