日経ビジネス誌2018.3.26号の特集は、「成功する副業 会社と個人の新たな関係」。
日経ビジネスが副業について取り上げたことに驚きました。
小職は、副業懐疑派。
中途半端、アブハチとらずは、キャリア開発の大敵と考えています。
キャリアドリフトやプランドハップンスタンスセオリーなども学者さんの作ったモデルに過ぎないと考えています。
「成功する副業 会社と個人の新たな関係」PART1 広がる闇副業 知らないのは社長だけPART2 ひとごとでなくなる8人の副業ライフPART3 慎重派が多数でもあえて解禁する理由PART4 企業と個人が直面する4大リスクPART5 会社には頼らない 社員は縛れない
経団連の会長は、副業について慎重論を主張されています。
日本企業の強みであるチームワーク・和を崩す、本業がおろそかになる、企業機密が漏洩する、労働時間が伸びて健康を害するなど、日本型経営にとって副業は馴染みにくいもの。
いっぽうノリノリなのが霞が関のお役人さん。
プレミアムフライデーやワークライフバランス、働き方改革に副業推奨・・・。
そりゃー、お上なら、花金でも、有給休暇取得でも、イクメンでも何でも出来るでしょうが、
多くの人が働く中小企業では、ほとんど無理!という現実があります。
日本という国を支えているマジョリティ(多くの人たち)に現実的でない指針やポリシーを上から目線で言われても、逆に否定したくなるのではないでしょうか?
パラレルキャリア、ポータブルスキル、プロボノといった個人のキャリア防衛であれば、何となく理解できます。
しかしながら、本業と副業という並列を考えると、マルチスキルを持った天才でない限り、どちらも中途半端、アブハチ取らずで終わる可能性が高いと思います。
個人にとって、中途半端というのが一番のリスク。
専業を突き詰めながら、次の時代に対応できる能力開発、リカレント学習を進めていくことが大切です。
お役人さんは、副業でイノベーションが起こせる、人手不足が解消する、人生100年時代に対応・・・といった美しい言葉を並べます。
労働の現場からすれば、「そんなこたーねーよ!」だと思います。
さらに、副業は、長時間労働のリスク(時間外割増賃金は2社目が支払う)、労働災害や健康被害リスク(副業の際に労災に合うと安い労災給付)、情報漏洩や企業機密流出リスク、そして何よりも組織への忠誠心が低下、職務専念義務違反となるリスクがあると思います。
一部のICT企業、ゲーム企業などのソフト分野を除くと、副業解禁というのは難しいと思います。
経営としては、社員の処遇や幸福の向上に向けて努力し続けると言う前提で、
組織防衛のために、就業規則や労働契約で、組織と個の関係を法的に縛っておく必要があると考えます。
最低限、次の5つの取り決めを労働契約の中に入れておかなければ、
ブラック企業のレッテルを貼られるリスクがあります。
1.民法の雇用契約から派生する職務専念義務(本業に専念するため自ら体調管理、スキル開発をしてベストな労働を提供する義務)
2.企業機密・トレードシークレットを守るための守秘義務
3.労基法に抵触しないように1日、週、年の労働時間の報告義務
4.健康管理のための産業医への報告相談義務
5.年20万円を超える副業の場合は、マイナンバー照合で納税する義務
これから先、クラウドソーシングでの副業が大ブレークして起業した・・・副業が会社にバレて解雇・・・副業収入を確定申告せずに税務署から呼び出し・・・副業先の会社に企業機密が流出して裁判沙汰・・・といった副業まわりのニュースが流れるんでしょうね。