愛社精神・・・昭和の匂いがプンプンします。
栄養ドリンクのコマーシャルソング「24時間、戦えますか?」のフレーズを知っているオジサン世代、オバサン世代の方は、身も心もカイシャに捧げました。
時代が変わりました・・・。
Z世代、ミレニアム世代と呼ばれる若者たちは、「愛社精神?何それ」と言って転職していきます。
カイシャよりも自分自身のキャリア、生き様、ワークライフバランスを大切にする世代には、愛社精神というコンセプトは通用しません。
日経ビジネス2024.7.22号の特集記事は「シン愛社精神 わがまま社員をファンにせよ」。
人手不足、いや人出枯渇の中、社員を引き留めるための各社の取り組みを取材しています。
Contents
Part1 米国でも愛社を模索 不買運動にも発展 社員の反乱を防ぐには
Part2 社長がまず行動 ファンづくりの処方箋
Part3 社員らをつなぐ家族愛 現代流で永続
この特集では、三菱マテリアル、物語コーポレーション、三陽工業、Sansan、伊那食品工業、京セラなどの取り組みが取り上げられています。
社内ラジオで想いを語る社長、朝から自主的に社員総出で近所の清掃をする社員、社長が毎日プログ発信する会社・・・様々な取り組みがなされています。
でも、「7・5・3」と言われるように、入社3年後、中卒の7割、高卒の5割、大卒の3割が転職、離職していく日本の若手労働者・・・。
社外からの遠心力が強まっていく中、魅力ある求心力を打ち出していかなければ、せっかく採用した人財のリテンションは維持できません。
最近はやりのパーパス経営。
儲かればいいというだけではなく、パーパス(会社の存在意義、目的)を打ち出して、社員をはじめとするステークホルダを惹きつけて行くスタイルの経営です。
そのためには、ESG(環境・社会性・統制)やSDGsを盛り込んだものにしていく必要があります。
単なる「お客さまのために」では、ダメです。
今からの経営者は、コピーライターの才能が必須になると思います。
今回の特集で興味深かったのが、米国の職場で起こっていること。
アメリカ社会で起こっている事象のキーワードが並んでいます。
1年以内に日本の会社の職場でも同様のことが起こってくると思います。
紹介させていただきます。
ワークライフインテグレーション・・・在宅勤務など仕事と私生活の境界をなくす
燃え尽き症候群・・・リモートワークでストレスや過度の仕事が身体を壊す
大離職・・・コロナ禍で目立った自発的に会社を辞めるたくさんの社員
グレートリシャッフル・・・コロナで増えた社内の人事異動やレイオフ
静かな退職・・・最低限の仕事しかしないヤル気の無い社員の増加
リスキリングとアップスキリング・・・新しいスキルや高度なスキルを習得し身を守る
ポリワーキング・・・複数の仕事を持ち多様な収入源を作る 副業、ギグワーク、リモートワーク
静かな退職・・・新規採用せず社員の能力開発や配置転換で人材需要を満たす
コーヒーパッシング・・・職場に短時間だけ顔を出して存在をアピールしてすぐ帰る行為 働かないオジサン
騒がしい退職・・・会社や職場への不満をSNSで表明
近接性バイアス・・・通勤時間が短い社員を優遇したり高評価を与える
有害な生産性・・・生産性を追求するあまり社員の心身の健康や人間関係を害すること メンタルヘルス不全
アメリカの会社、職場も大変なようです。
中国でも景気後退で就職もままならないニートの若者たちを、寝そべり族と読んでいるそうです。
この特集では、シン愛社精神時代の経営者の心得5カ条を提言しています。
1 立派な理念を持ち社員に熱く語るべし
2 理念に反する行為はするべからず
3 社員を思いやる気持ちを持つべし
4 社員の貢献意欲に付け込んで過重な労働を求めるべからず
5 ブラック企業と紙一重と心得よ
5番目の「ブラック企業と紙一重と心得よ」とは、なかなか鋭い指摘です。
最近、「ハラハラ」と言う言葉も流行っています。
ハラスメント・ハラスメントの略です。
何を言っても、「それってパワハラですよね」「セクハラじゃないですか」と言う若手に対するコトバのようです。
社員を、その会社のファンになってもらうためには、カイシャの「推し」活動をしてもらうということ。
経営者も管理職もアタマをひねらないといけません。
大変な時代になったものです。