守田です。(20110802 23:30)
昨日から福島第一原発1号機付近でとんでもなく高い値の放射線が飛んでいる
ことが確認されて、騒ぎになっています。
まず確認されたのは、1号機と2号機の間にある排気筒の下部で、10シーベルト
超が計測されたことです。10シーベルトは浴びれば誰もが死んでしまう値です。
これに対して松本純一・原子力立地本部長代理は、3月12日に1号機のベ
ント(排気)を行った時に放出された放射性物質が主排気筒の内部に付着して
いる可能性があると述べました。
その後、今日(2日)になって、最初に発見されたところに近い別の場所から
も10シーベルト超の放射線が出ていることが確認され、さらに夕方になって、
1号機の建屋内でも5シーベルト超が計測されたことが報道されました。これ
は米国製ロボット「パックボット」の遠隔操作により計測されものですが、
このロボットは計測限界が5シーベルトであるため、もっと高い値である可能
性があります。
こうした事態に対して、昨日、京都大学原子炉実験所の小出さんが、早速、
ラジオ番組、「種まきジャーナル」でコメントして下さいました。小出さんは、
こんな高い値は、そばに使用済み核燃料があるとしか考えられないと語られま
した。水素爆発で、使用済み燃料プールの中の燃料の一部が飛び散っていて、
それが近くにあるのはないかという推測です。
http://t.co/lB1cI3u
ただこれは昨日、排気筒下部で10シーベルト超の放射線が確認された直後の
コメントであり、その後、1号機建屋内で5シーベルト超が測定されたことが
報じられる前のことです。
この推測が正しいとした場合、建屋の中でも高い放射線が観測されたこと、
しかも排気塔につながる配管がそこを通っており、その付近で観測された
とされていることから、問題の物質が配管内に存在していることが推測さ
れます。となるとこれは1号機の原子炉内部由来のものではないか。つまり
燃料の一部がメルトダウンする過程でエアゾル化したのではないか。
そしてベントされたときに配管を通して格納容器の外に押し出されていった。
その一部が排気筒下部や、建屋内の配管内に残ったと推測されるわけで
す。ということは反対に、ベントによって、粒子化した燃料の一部が、大気
中に激しく飛び出したことも推測されます。実は今回のことはこのことを
物語ってもいるのではないか。
なお燃料棒の一部がエアゾル化した場合、そこには核分裂性放射性物質と
ともにウランとプルトニウムが混じっている可能性が高いです。1号機はウ
ラン燃料で運転されていましたが、運転が進むとプルトニウムがどんどんで
きてきます。途中からこれも核分裂しだし、文科省の資料では、一般に3年間
運転すると発電の6割はプルトニウムに依存するようになるほどです。
もちろん突然、高い放射線が計測された可能性として、何らかの不測の変動
が起こっていることも考えられます。これは直接的には最も恐ろしいことで
あり、注意が必要ですが、東京電力のホームページを見ると、少なくとも
ここ数日、敷地内のモニタリングポストでの計測値に大きな変化がないこと
も見てとれます。油断は禁物ですが、急激な変化の兆候はここからは見えな
いこともおさえておく必要があると思います。
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/index-j.html
なおこうした報道に接するたびに思うことですが、そもそも放射線量とは、
それを計測した機器に当たった放射線の強さのことであり、それを発してい
る物質がどれだけの放射線量を出しているかを示しているものではありませ
ん。(その物質に直接に計測器をあてる場合をのぞいて)
なのでこれまでの最高値を計測といっても、そのときの計測が、放射線源か
らどれだけの距離があったのかを問題にしないと、それだけで放射線の強さ
を語ったことにはならない。反対に言えば、今回の計測も、放射線源にまで
いけばもっと高い値なのかもしれないわけです。
この点、東京電力がなんとも言えない写真を公開しています。排気筒下部の
計測時の写真です。作業員は約3メートルの棒の先に計測器をつけて測定して
いますが、この方が立っている場所の放射線値は、毎時40ミリシーベルトだ
そうです。3メートル離れると、10シーンベルトが40ミリシーベルトになる
・・・ここから計算で分かることがありそうな気がしますが、僕には良く
分かりません。
なおこの方は4ミリシーベルトの被曝をされたそうです。いわばこれは被曝を
している証拠写真、いや被曝をさせている証拠写真です。公開されないより
公開された方が良かったと思いますが、東電の側にこれが被曝をさせている
写真であるという自覚があるのかどうか大いに疑問です。もっと棒を長くす
れば当然、被曝はもっと少なかったはず。色々な疑問が浮かぶ写真です。
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/images/handouts_110802_01-j.pdf
この問題に関するとりあえずの推測は以上ですが、今後、継続的においかけ
ていきたいと思います。そのために、この問題に関する報道を、時系列に
沿って3つ、貼り付けておきます。
********************************
福島第1原発:排気塔配管で10シーベルト 事故後最高値
毎日新聞 2011年8月1日 20時7分 更新:8月2日 0時47分
東京電力は1日、福島第1原発1、2号機の原子炉建屋の西側にある排気塔
下部の配管の表面付近で、計測器の測定限界に相当する事故後最高値の毎時
10シーベルト(1万ミリシーベルト)以上もの高い放射線量を計測したと
発表した。10シーベルトを被ばくすると、ほぼ全員が死亡し、福島第1原
発の事故対応に限って引き上げられた被ばく線量の上限値である250ミリ
シーベルトを約1分半で超えるほど非常に高い数値だ。
東電は「現場の半径数メートルを立ち入り禁止としたほか、鉄板などで遮
蔽(しゃへい)するため、事故処理作業に影響はない」と説明するが、他の
場所でも同様の高線量が見つかれば事故収束の作業にも影響が出る可能性が
ある。作業員の無用な被ばくを避けるためにも、他に高線量の場所がないか
詳細な調査を実施するなど、徹底した放射線の管理が必要だ。
東電によると、がれきの撤去作業後に線量の変化を測定していた作業員が、
同日午後2時半ごろ確認した。高線量の放射線が計測された配管は、非常時
に原子炉建屋内の気体が通るもの。原因としては、3月12日に同原発1号
機で、原子炉格納容器を破損から守るため圧力を下げるベント(排気)をし
た後、配管内部に高濃度の放射性物質を含む気体がとどまっているか、外部
に放射性物質の微粒子が付着している可能性があるという。現在、配管は使
用されていない。これまで事故後に計測した放射線量の最高値は、1号機原
子炉建屋1階の同4000ミリシーベルトだった。
計測にあたった東電社員3人の被ばく線量は最高で4ミリシーベルトと推
定された。またこれまで現場付近で作業していた作業員は少なく、大量に被
ばくした作業員は確認されていないという。【鳥井真平、河内敏康】
http://mainichi.jp/select/today/news/20110802k0000m040063000c.html
*****
福島第1原発:別の場所でも10シーベルト超
毎日新聞 2011年8月2日 13時18分(最終更新 8月2日 14時36分)
1日、福島第1原発1、2号機原子炉建屋西側の排気塔下部の配管付近で、
10シーベルト超の放射線量を計測した作業員=東京電力提供 東京電力福
島第1原発1、2号機の原子炉建屋の西側にある排気塔下部の配管付近で
事故後最高値の毎時10シーベルト(1万ミリシーベルト)以上の高い放射
線量が計測された問題で、東電は2日、近くに同様に10シーベルトを超え
る可能性がある高線量の場所があると明らかにした。東電は2日、現場付近
の写真を公開した。
東電は7月31日、がれきの撤去をした後の線量を確認するため、ガンマ
カメラと呼ばれる、空間の放射線の強弱を判定する機器で排気塔周辺を撮影
した。
その結果、排気塔底部の配管付近と、高さ約10メートルの配管付近で同
程度の高線量を示した。
底部は1日に作業員が線量測定した結果、測定上限の毎時10シーベルト
を超えた。
もう一方の地点は、1号機の非常用ガス処理系の配管とみられる。実際の
線量は作業員が測定しなければならないが、東電は「付近で作業予定がない
ので測定の予定はない」としている。【岡田英、足立旬子】
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110802k0000e040080000c.html
*****
福島第1原発:1号機建屋で5シーベルト 立ち入り禁止に
東京電力は2日、福島第1原発の1号機原子炉建屋2階で、毎時5シー
ベルト(5000ミリシーベルト)以上を計測したと発表した。建屋内での
放射線量では、6月に1号機原子炉建屋1階で記録された毎時4シーベルト
を上回り最高となる。東電は有効な遮蔽(しゃへい)方法がないとして、部
屋を立ち入り禁止にした。今後の作業への影響が懸念されそうだ。
5シーベルト以上が計測されたのは、空調機室内にある配管前。原子炉格
納容器を破損から守るため圧力を下げるための「ベント」の際、容器内の空
気はこの配管を通って1、2号機の原子炉建屋の間の屋外にある排気筒から
外部に出ていく。1日には排気筒下部の配管で毎時10シーベルト超が計測
されている。東電はいずれも、3月12日のベント時の微粒子が付着したこ
とが原因になった可能性があるとみている。
5シーベルト以上の高線量は、米国製ロボット「パックボット」の遠隔操
作で見つかった。搭載装置は5シーベルトまでしか測定できないため、正確
な線量は不明という。空調機室に接するタービン建屋内でロボットを操作し
ていた作業員は9人で、最大被ばく量は0・2ミリシーベルトだった。松本
純一原子力・立地本部長代理は「工程表への影響はない」と語った。
また、東電は2日、高濃度汚染水を蒸発させて塩分を取り除く新しい淡水
化装置2台を導入し試運転を始めた。10月までに計8台を稼働させ、約4
割だった汚染水の淡水化率を約8割に向上させる予定。淡水は原子炉の冷却
に用いる。
このほか、集中廃棄物処理施設のプロセス主建屋に隣接する「サイトバン
カ建屋」に汚染水約700トンが流れ込んだ原因を発表した。両建屋をつな
ぐ階段の扉の止水工事が不十分だったという。【久野華代、岡田英】
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/nuclear/news/20110803k0000m040118000c.html
昨日から福島第一原発1号機付近でとんでもなく高い値の放射線が飛んでいる
ことが確認されて、騒ぎになっています。
まず確認されたのは、1号機と2号機の間にある排気筒の下部で、10シーベルト
超が計測されたことです。10シーベルトは浴びれば誰もが死んでしまう値です。
これに対して松本純一・原子力立地本部長代理は、3月12日に1号機のベ
ント(排気)を行った時に放出された放射性物質が主排気筒の内部に付着して
いる可能性があると述べました。
その後、今日(2日)になって、最初に発見されたところに近い別の場所から
も10シーベルト超の放射線が出ていることが確認され、さらに夕方になって、
1号機の建屋内でも5シーベルト超が計測されたことが報道されました。これ
は米国製ロボット「パックボット」の遠隔操作により計測されものですが、
このロボットは計測限界が5シーベルトであるため、もっと高い値である可能
性があります。
こうした事態に対して、昨日、京都大学原子炉実験所の小出さんが、早速、
ラジオ番組、「種まきジャーナル」でコメントして下さいました。小出さんは、
こんな高い値は、そばに使用済み核燃料があるとしか考えられないと語られま
した。水素爆発で、使用済み燃料プールの中の燃料の一部が飛び散っていて、
それが近くにあるのはないかという推測です。
http://t.co/lB1cI3u
ただこれは昨日、排気筒下部で10シーベルト超の放射線が確認された直後の
コメントであり、その後、1号機建屋内で5シーベルト超が測定されたことが
報じられる前のことです。
この推測が正しいとした場合、建屋の中でも高い放射線が観測されたこと、
しかも排気塔につながる配管がそこを通っており、その付近で観測された
とされていることから、問題の物質が配管内に存在していることが推測さ
れます。となるとこれは1号機の原子炉内部由来のものではないか。つまり
燃料の一部がメルトダウンする過程でエアゾル化したのではないか。
そしてベントされたときに配管を通して格納容器の外に押し出されていった。
その一部が排気筒下部や、建屋内の配管内に残ったと推測されるわけで
す。ということは反対に、ベントによって、粒子化した燃料の一部が、大気
中に激しく飛び出したことも推測されます。実は今回のことはこのことを
物語ってもいるのではないか。
なお燃料棒の一部がエアゾル化した場合、そこには核分裂性放射性物質と
ともにウランとプルトニウムが混じっている可能性が高いです。1号機はウ
ラン燃料で運転されていましたが、運転が進むとプルトニウムがどんどんで
きてきます。途中からこれも核分裂しだし、文科省の資料では、一般に3年間
運転すると発電の6割はプルトニウムに依存するようになるほどです。
もちろん突然、高い放射線が計測された可能性として、何らかの不測の変動
が起こっていることも考えられます。これは直接的には最も恐ろしいことで
あり、注意が必要ですが、東京電力のホームページを見ると、少なくとも
ここ数日、敷地内のモニタリングポストでの計測値に大きな変化がないこと
も見てとれます。油断は禁物ですが、急激な変化の兆候はここからは見えな
いこともおさえておく必要があると思います。
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/index-j.html
なおこうした報道に接するたびに思うことですが、そもそも放射線量とは、
それを計測した機器に当たった放射線の強さのことであり、それを発してい
る物質がどれだけの放射線量を出しているかを示しているものではありませ
ん。(その物質に直接に計測器をあてる場合をのぞいて)
なのでこれまでの最高値を計測といっても、そのときの計測が、放射線源か
らどれだけの距離があったのかを問題にしないと、それだけで放射線の強さ
を語ったことにはならない。反対に言えば、今回の計測も、放射線源にまで
いけばもっと高い値なのかもしれないわけです。
この点、東京電力がなんとも言えない写真を公開しています。排気筒下部の
計測時の写真です。作業員は約3メートルの棒の先に計測器をつけて測定して
いますが、この方が立っている場所の放射線値は、毎時40ミリシーベルトだ
そうです。3メートル離れると、10シーンベルトが40ミリシーベルトになる
・・・ここから計算で分かることがありそうな気がしますが、僕には良く
分かりません。
なおこの方は4ミリシーベルトの被曝をされたそうです。いわばこれは被曝を
している証拠写真、いや被曝をさせている証拠写真です。公開されないより
公開された方が良かったと思いますが、東電の側にこれが被曝をさせている
写真であるという自覚があるのかどうか大いに疑問です。もっと棒を長くす
れば当然、被曝はもっと少なかったはず。色々な疑問が浮かぶ写真です。
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/images/handouts_110802_01-j.pdf
この問題に関するとりあえずの推測は以上ですが、今後、継続的においかけ
ていきたいと思います。そのために、この問題に関する報道を、時系列に
沿って3つ、貼り付けておきます。
********************************
福島第1原発:排気塔配管で10シーベルト 事故後最高値
毎日新聞 2011年8月1日 20時7分 更新:8月2日 0時47分
東京電力は1日、福島第1原発1、2号機の原子炉建屋の西側にある排気塔
下部の配管の表面付近で、計測器の測定限界に相当する事故後最高値の毎時
10シーベルト(1万ミリシーベルト)以上もの高い放射線量を計測したと
発表した。10シーベルトを被ばくすると、ほぼ全員が死亡し、福島第1原
発の事故対応に限って引き上げられた被ばく線量の上限値である250ミリ
シーベルトを約1分半で超えるほど非常に高い数値だ。
東電は「現場の半径数メートルを立ち入り禁止としたほか、鉄板などで遮
蔽(しゃへい)するため、事故処理作業に影響はない」と説明するが、他の
場所でも同様の高線量が見つかれば事故収束の作業にも影響が出る可能性が
ある。作業員の無用な被ばくを避けるためにも、他に高線量の場所がないか
詳細な調査を実施するなど、徹底した放射線の管理が必要だ。
東電によると、がれきの撤去作業後に線量の変化を測定していた作業員が、
同日午後2時半ごろ確認した。高線量の放射線が計測された配管は、非常時
に原子炉建屋内の気体が通るもの。原因としては、3月12日に同原発1号
機で、原子炉格納容器を破損から守るため圧力を下げるベント(排気)をし
た後、配管内部に高濃度の放射性物質を含む気体がとどまっているか、外部
に放射性物質の微粒子が付着している可能性があるという。現在、配管は使
用されていない。これまで事故後に計測した放射線量の最高値は、1号機原
子炉建屋1階の同4000ミリシーベルトだった。
計測にあたった東電社員3人の被ばく線量は最高で4ミリシーベルトと推
定された。またこれまで現場付近で作業していた作業員は少なく、大量に被
ばくした作業員は確認されていないという。【鳥井真平、河内敏康】
http://mainichi.jp/select/today/news/20110802k0000m040063000c.html
*****
福島第1原発:別の場所でも10シーベルト超
毎日新聞 2011年8月2日 13時18分(最終更新 8月2日 14時36分)
1日、福島第1原発1、2号機原子炉建屋西側の排気塔下部の配管付近で、
10シーベルト超の放射線量を計測した作業員=東京電力提供 東京電力福
島第1原発1、2号機の原子炉建屋の西側にある排気塔下部の配管付近で
事故後最高値の毎時10シーベルト(1万ミリシーベルト)以上の高い放射
線量が計測された問題で、東電は2日、近くに同様に10シーベルトを超え
る可能性がある高線量の場所があると明らかにした。東電は2日、現場付近
の写真を公開した。
東電は7月31日、がれきの撤去をした後の線量を確認するため、ガンマ
カメラと呼ばれる、空間の放射線の強弱を判定する機器で排気塔周辺を撮影
した。
その結果、排気塔底部の配管付近と、高さ約10メートルの配管付近で同
程度の高線量を示した。
底部は1日に作業員が線量測定した結果、測定上限の毎時10シーベルト
を超えた。
もう一方の地点は、1号機の非常用ガス処理系の配管とみられる。実際の
線量は作業員が測定しなければならないが、東電は「付近で作業予定がない
ので測定の予定はない」としている。【岡田英、足立旬子】
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110802k0000e040080000c.html
*****
福島第1原発:1号機建屋で5シーベルト 立ち入り禁止に
東京電力は2日、福島第1原発の1号機原子炉建屋2階で、毎時5シー
ベルト(5000ミリシーベルト)以上を計測したと発表した。建屋内での
放射線量では、6月に1号機原子炉建屋1階で記録された毎時4シーベルト
を上回り最高となる。東電は有効な遮蔽(しゃへい)方法がないとして、部
屋を立ち入り禁止にした。今後の作業への影響が懸念されそうだ。
5シーベルト以上が計測されたのは、空調機室内にある配管前。原子炉格
納容器を破損から守るため圧力を下げるための「ベント」の際、容器内の空
気はこの配管を通って1、2号機の原子炉建屋の間の屋外にある排気筒から
外部に出ていく。1日には排気筒下部の配管で毎時10シーベルト超が計測
されている。東電はいずれも、3月12日のベント時の微粒子が付着したこ
とが原因になった可能性があるとみている。
5シーベルト以上の高線量は、米国製ロボット「パックボット」の遠隔操
作で見つかった。搭載装置は5シーベルトまでしか測定できないため、正確
な線量は不明という。空調機室に接するタービン建屋内でロボットを操作し
ていた作業員は9人で、最大被ばく量は0・2ミリシーベルトだった。松本
純一原子力・立地本部長代理は「工程表への影響はない」と語った。
また、東電は2日、高濃度汚染水を蒸発させて塩分を取り除く新しい淡水
化装置2台を導入し試運転を始めた。10月までに計8台を稼働させ、約4
割だった汚染水の淡水化率を約8割に向上させる予定。淡水は原子炉の冷却
に用いる。
このほか、集中廃棄物処理施設のプロセス主建屋に隣接する「サイトバン
カ建屋」に汚染水約700トンが流れ込んだ原因を発表した。両建屋をつな
ぐ階段の扉の止水工事が不十分だったという。【久野華代、岡田英】
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/nuclear/news/20110803k0000m040118000c.html