明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(220)「生活保護をどうする」「食い倒れの大阪へ」(派遣村テレビシンポ第3回)

2011年08月08日 23時30分00秒 | 明日に向けて8月1~31日
守田です。(20110808 23:30)

すでに二回にわたってご紹介してきた「清水ただしの派遣村テレビ」公開収録
シンポジウムの第三回目が先週土曜日にオンエアになりましたので、ご紹介し
ます。ぜひ下記をご覧下さい。
http://hakenmura.tv/

今回の話題の第一は「生活保護をどうする」です。

まず村長から今回の大災害を受けた被災者に義援金や補償金が払われたときに、
収入として生活保護をストップするという動きがあることが紹介されました。
これに対して、大前弁護士がマイナスの損害を元に戻すものだから、収入とは
みなされない。ストップするのは法的におかしいという解説が。

しかしともこさんがつっこみ。一生懸命働いている側からすると、それで得た
のと同じ収入を生活保護の人が得ていると、ずるいという感情も湧いてくる。
村長は働いている人と生活ほどの受けている人の逆転現象がでてきていること
が問題と提起。僕もそもそもあまりに賃金が安すぎることが問題と話しました。

続いて、生活保護の申請をさせない「水際作戦」のひどさが紹介されました。
この点で大変、説得力があるのが、弁護士の大前さんの話です。大前さんは何
度も生活保護の申請に同行しているそうです。そうすると窓口はすぐに受け入
れてくれる。弁護士さんがいるとただそれだけで低姿勢なのです。

ところがその部屋の隣で、「あんた真面目に仕事探せい」などと怒鳴っている
声が聞こえてくるのだそうです。これに困った職員さんが、「ちょっと失礼し
ます」と隣の部屋に何かいいにいくとどなり声が止む・・・。これが窓口の実
態ですが、リアリティを知るためにぜひ大前さんの話を直接聞いてください。

最近は大阪市では職員が増えたそうです。ところがそのほとんどが非正規雇用。
ケースワーカーがワーキングプアで、その人たちが生活保護に来ている若い人
に厳しくあたる傾向があると言う。この点はコータロさんが説明してくれまし
た。ちなみに職員が増えたのは、コ―タローさんたちの要求の成果でもあります。

村長も大阪市の仕事でフルタイムで働いていも、生活保護費に満たない現実を
話してくれました。コ―タローさんは、さらに生活保護には税金がかからない
けれども、普通に働けば多くの税金がとられてしまう現実も説明。そのため、
若い人で生活保護に頼らざるを得ない人が増えているといいます。

ただしこうした生活保護を申請している人の割合は実は権利のある人の2割。多
くの人が、我慢して働いている現実があります。これに対し、村長がヨーロッ
パに比べてあまりに低い日本の社会保障制度の在り方をなんとかしなければい
けない、それが政治の役割だと話をまとめました。


最後の話題は、「食い倒れの大阪へ」でした。

これは「清水ただしの派遣村テレビ」のメインテーマです。村長は江戸時代に
大阪でおこった大塩平八郎の乱を説明しました。飢饉が起こり、大阪に行き倒
れが発生した時、大塩与力は私財を投げうって窮民救済に立ちあがりますが、
それでも足りずに富豪に寄付を募りました。

しかし富豪たちが応えてくれない。これに業を煮やしてやがて米蔵を破り、窮
民に配ったのです。私たちは米蔵を破るわけにはいきませんが、やはり行き倒
れを出していはいけない。(もう出始めています)それが「行き倒れ」ではな
く「食い倒れ」の大阪へというメインテーマの主旨だそうです。

では大阪はどうすれば元気になるのだろうか。村長はまずは仕事を増やさない
といけない。雇用を増やして、町を元気にしなければいけないと提起しました。
大前弁護士も、今、本当に大阪は元気がない。弁護士としても商売があがった
りだという相談をたくさん受けているといいます。

大前さんは、そういう状態に対してはっきりものを言っていくのが大阪らしい。
大塩平八郎もこんなことはあかんとはっきり言った。そうして自由闊達にもの
を言っていくのが大阪らしい。だから今、大企業ばかり優先しているあり方に
こんなのはあかんと声をあげていこうと話しました。

僕はこう話しました。僕は東京の生まれですが、小学校の高学年から中学生の
ときを大阪で過ごした。父も大阪で育ち、商売人の家で育った。なので大阪と
言うと商売人の町だと言う気がする。挨拶でも「儲かりまっか。ぼちぼちでん
な」と言う。それが大阪らしいと思う。

その場合の商売は、汗水たらして、人に喜ばれるものを売って、対価を得るも
ので、まっとうなものを行き交わせていた。そこに活気があった。ところが今
の「商売」は、金融ゲームだとか、カジノだとか言われるように、お金を入れ
て利子をとるだけになっている。それがよくないと話しました。

ではどうすればいいのか。ともこさんよりここで一発元気になるためにという
ことで、都構想が出てきていることが紹介されました。大阪府と大阪市と堺市
を一緒になるという構想のことです。そうなれば東京に負けないのではないか
と言われている。

僕はこれには反対だと言いました。大阪は東京に負けているという意識がある。
でも「勝っている」東京はどうなのか。マネーゲームでどんどん太っているわ
けです。それにまっとうな商売をやっていた大阪は勝てない。ならどうすれば
いいか。東京のようにやろうといったら大阪の心を潰してしまうと思うのです。

村長も、やはり中小企業とそこで働く人々を大切にしない世の中を変えていか
ないといけない。貧困の源にあるのは格差。それを生み出しているのは、ヨー
ロッパに比べてあまりにも経済のルールがない現実にある。その意味では大阪
都を作れば元気になるわけではないと思うと語りました。

僕は東京も同じだと話しました。僕の母の実家は東京の大田区にありました。
そこはかつて中小企業の工場がひしめいていて、どんなに難しい部品でも、企
業の社長の親父さんたちに相談するとどこかでできてくると言われていた。そ
の高度な技術が高度経済成長を支えた。

その頃町には、そうした工場で働く人が溢れていた。ところがその町も今は
元気がない。それが東京の現実なのです。村長も例えば東大阪の中小企業が
人工衛星を打ち上げる技術を持っていることなどを紹介。日本の中小企業の
技術力は高い、それを大事にして力を発揮すればいいのだと言葉を続けます。

そのためにはもの凄く設けてきた大企業が、もっと社会的責任を果たすこと
が大事。大企業は250兆円の内部保留金を持っていると村長。といってもこれ
がどれぐらいか分からないから、毎日100万円使ったら使い切るのに何年かか
るかとクイズ。(これは面白いのでぜひ見てください)

答えはなんと1兆円を使うだけで2740年です!しかもこのお金は、物を売って
貯めたものだけではなくて、中小企業を泣かせ、環境も破壊し、政治家に献金
して税金をまけてもらってため込んだお金。だとしたらそれを社会に還元す
べきだし、そうしたらまた人々が大企業の商品も買う。

村長は、ぜひこれからもこの派遣村テレビでその問題を訴えていきたい。今日
よりも明日がよくなるという展望や希望を与える番組として、頑張っていきた
いとしめくくりました。

以上、3回におよぶシンポジウムが終了しましたが、この場に出させて頂いて、
たくさんのことが得ることができたように思います。村長の清水ただしさん、
アシスタントの清水ともこさんを初め、スタッフのみなさん。視聴者のみなさ
んに感謝いたします。どうもありがとうございました。


なおこれまでの番組のアドレスを貼り付けておきます。
○7月23日シンポ第1回。「新たな貧困」「まだまだ続く派遣切り」
http://www.youtube.com/watch?v=M59Ltsmsi5E&feature=player_embedded
○7月30日シンポ第2回。「子どもたちを守れ」「原発ゼロへ」
http://www.youtube.com/watch?v=gI1M-a2Xxbs&feature=mfu_in_order&list=UL

○4月30日 福島原発事故について
http://www.youtube.com/watch?v=s5jKoYRBQ08&feature=related
○6月11日 事故対策、チェルノブイリ事故との比較、
正常性バイアスなど 
http://www.youtube.com/watch?v=xf1hyRqd_qc&feature=related
○6月25日 核兵器開発の副産物としての原子力発電と、
放射線から身を守る方法 
http://www.youtube.com/watch?v=GNEhFjWWOp8&feature=related



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