作業が一段落したので午後遅くから自転車のVブレーキ交換を始めました。(画像が暗い)新車に付いていたテクトロを良く騙しながら使って来たものです。ブレーキを解除しても片方のシューがリムから離れない。調整も限界なのでシマノの廉価版を付けましたが調整がばっちり出ます。早く交換しておけば良かったです。後輪ブレーキとシフトワイヤーの交換が残っていましたが、風が強く寒くなって来たので今日はお仕舞です。
で、PEN-Sの前に公開予定のなかった「マミヤ6オートマット」と言うカメラです。本当はお店から私のところに来るはずではなかったようです。このカメラは国産スプリングカメラにセルフコッキング機構を装備した優秀なカメラみたいです。そのセルフコッキング機構が機能しない。機構は底部に入っていました。修理をしましたが画像がありません。レンズはなんと私たちにはなじみの深いオリンパス・Dズイコー(3群4枚)ですよ。オリンパスのレンズ特有な後玉の曇りも多いそうです。この個体は幸い清掃できれいになりました。
シャッターは精工舎MXで信頼性が高いです。セルフコッキングの他に手動チャージが出来るノブがありますね。
フォーカスレバーを回すとフィルム面が動くバックフォーカスシステムです。
フィルムを通して白丸にSTARTを合わせます。裏蓋を閉じて巻き上げダイヤルを回せばシャッターはチャージされます。
ファインダーの清掃をしますが、ハーフミラーは古い金コートですので清掃は出来ません。交換は可能ですが今回はそのままとします。で、問題は、距離計の∞が出ない。画像右下のレバー(調整ネジ)による調整範囲を超えているのです。
本題のPEN-Sは #1229XXと初期型を仕入れて来ましたね。初期型かぁ~。1960年の12月製と思います。シャッターは一応作動するので当然途中で分解されています。
初期型の特徴は異常とも思えるぐらいレリーズボタンのバネが軽い。駒数カニ目ネジのカニ目孔は貫通していない。よって組立が非常にやり難い。駒数ガラスも部分的に曇っていますので研磨をします。
過去の分解でシボ革が切れています。初期のシボ革は硬化もしているので、剥離の場合は慎重にしなければなりません。
スプロケット軸を組んで行きますが、初期の頃は各部品の勘合精度が良くなく、調整用のワッシャーが入っていることがあります。(画像)リングナットのスリ割が側面も初期の特徴。以後は表面のスリ割になります。
外観からは見えませんが、スプールのスリップ機構が三光ペンと同じでスプール内面に拡張バネが仕込まれたタイプ。これそのうち割れます。以後は軸側にコイルばねを仕込んだタイプになります。
レリーズボタンのバネが線径が細く条数も多いタイプなので非常に弱い。シャッターユニットも地板の加工などに違いがある他に、各部品の仕上げ精度が何となく甘い頃。
↑のバネだけでなく、シャッターユニット内の戻りバネも線径が細く弱いのがレリーズボタンが弱い原因になっています。これらを適時改良して安定した仕様になって行きます。
シンクロ接点は半田付けです。組立工程に半田付けが入ると工数が増えるので以後はねじ留めになります。
右側のシボ革に欠損がありましたね。同じ共生地から切り出して補修します。
カム板の彫刻文字は「COPAL」で「X」が入りません。コパルの社内的には別モデル扱いなのでしょうか?
ファインダーの遮光カバーは取り外された形跡がありましたが、レンズを分離しての清掃はしてありませんでした。駒数ガラスの曇りを研磨して接着しますが、初期の駒数ガラスは以後の個体のようにクラックが入りませんね。
トップカバー横のM1.7ネジが+になっていました。+ネジになるのは3.5の途中からですのでオリジナルの丸頭ネジに交換して組みます。
巻き戻し軸も変更前の上下ガタをワッシャーの厚みで調整するタイプ。ガタ量によって厚みの異なるワッシャーを組み合わせて入れるので工数が掛かる。
初期の頃の内面黒塗装は艶消しが強くありません。圧板が腐食していましたので研磨をして取り付けます。
オーバーホール済みの初期型が欲しい方に購入して頂きたいですね。レンズは非常にきれいで特に弱点の後玉曇りもありません。なぜか初期のレンズの方が状態が良い印象です。このパンフレットの写真の説明を読むと、なんと「あなたのお名前なんてぇの?」(若い方は知らないか)で有名のコメディアン、トニー谷さんの撮影でした。戦後の米軍基地のナイトクラブなどで芸を磨き、晩年はハワイに在住でしたかね。おそ松くんのイヤミのモデルになった方です。