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カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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ドイツ初期のローライ35ブラックの巻

2024年11月14日 09時00分00秒 | ブログ

古いPENのお客様から初期のローライ35ブラックが来ました。初期にしては非常にきれいな個体です。入手してテスト撮影をすると・・

 

すみません。オーナーさんに無断で画像を使わせて頂きますが、中央横にスジが入ると言う症状です。

 

スプロケットからスプールに巻き取られる時、初期型の場合はフィルムレール中央にフィルムが接触をして巻き取られます。

 

点検すると、画像は突起物を爪で取り去ってしまった後の画像ですが、黒塗装が剥がれているので、材料が酸化をして盛り上がったところにフィルムが接触をしてキズがついたとの仮説です。

じつは過去にも同様なトラブルを経験していて、以後生産の個体では、この部分の形状が面取り形状に設計変更されています。何らかの問題があったために変更されたのでしょうから、今回の不具合の改善だったのかも知れませんね。

今回は画像数が多くなってしまうので、なるべく削りますが、外観的には沈胴が緩いのとfeet機ですので、組立時にmに変更する必要があります。

 

過去に分解歴はありますが、巻き上げレバーにガタがあります。3本のネジが緩んでいますが、ここのネジは組立時にネジロックをしておきませんと必ず緩みます。

 

巻き戻しダイヤルは初期の金属製です。底部もきれいですね。

 

トップカバーを開けてみると・・水油の臭いがプンプンします。前回作業をされた方の指紋があります。露出計はCdsが交換されていますね。初期型ですから仕方がないところです。配線部に絶縁テープがありません。

交換されたCds素子が定位置の中央にありません。これですと受光窓からズレますね。しかし、配線に余裕がなく直せません。

 

スプール軸周辺に大量の水油があります。

 

 

スローガバナーにも水油。

 

 

底部のチャージ機構にも水油。困ったものです。脱脂をします。

 

 

ドイツ製の#3030XXXですけど、上下カバーはアルミで巻上げレバーもアルミです。真鍮製に比べて軽くペラペラな感触。

 

電池室に絶縁シートを貼っておきます。

 

 

沈胴チューブの調整。

 

 

画像が多すぎなので絞りますがそれでも多い。フィルムゲートですが、左が初期型、右が以後のもの。形状に注意。

 

たまたま有った以後のタイプと厚みを測定してみましたが、0.01mmの差でした。かなりの精度で製作されています。本体には以後のタイプでも取り付けは可能。

 

シャッターの分解清掃。レンズは素晴らしく良好です。

 

 

トップカバーの洗浄。レリーズピンにグリスを塗布して取り付け、メーター窓の接着、レバーアテを熱カシメします。

 

清掃をしてグリスを交換した前玉をセットします。∞調整と距離リングなどの取付け。

 

巻き戻しダイヤルは絶対に初期の方が立派。以後の黒の樹脂製は白濁するし巻き戻し時、外れてしまう故障も多い。完全にコストダウン。

 

フィルムを装填してフィルムカウンターのテスト。初期型なので逆転防止爪に補助バネがないが、あまり使用されていないためか正常に36枚まで巻上げています。

 

私も良くは知らないのですが、過去のメモを見てみるとドイツの初期型のブラックはカバーの材質がアルミですね。真鍮に黒塗装の仕様もありますが、その辺の変遷が良く分かりません。また、今回の上下カバーは黒アルマイト処理のみですが、後期のシンガポールなどですと黒アルマイトの上に塗装がしてあると思います。それによって質感が違いますね。

トミーのリペイント

 

 

 

 

 

 



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