最近のオークションを見ているとローライ35Tはローライ35と同じような相場で出品されているようですね。35Tは35が生産終了した1971年から3年後に復刻されたモデルとのことですが、復刻を望む要望が大きかったのか、それともお家の事情なのか? 使用されているネジが+になったり距離リングの文字表現が簡略化されたりはしていますが、基本的には35と同じと見て良い作りです。返って、画像のチャージギヤが35の樹脂製から真鍮の金属製に置き換わったのは良いところです。カメラ店様からご依頼のこの個体は過去に分解歴がありますが、ギヤの噛み合わせをわざわざケガいているのに組立では1歯ズレているという首を傾げる組み立てをしてあります。
小さな割には重いカメラ(ホールドしにくい)ですのでカバーがアルミ製(黒アルマイトの上に黒塗装)と強度が無く、簡単にへこんでしまいます。これは修正をしておきます。
作業はいつものローライ35と同じです。ファインダーは過去に分解されていて、レンズやフレームには返って拭き残しや粘着物が付着しているという厄介な状態でした。最後に透明フィルムを貼って防塵しておきます。
35Tの良いところは生産が新しいので露出計など電気部品の劣化が少ないところ。メーターは元気です。
沈胴フェルトの調整とシャッター・レンズをメンテナンスします。
最初に気になっていたのですが、この色。何となくオイリーですね。過去に分解された形跡はありません。ただし、後玉のリングナットは緩めようとしてスリ割の塗装が剥げています。ここは工場で組み立て後につや消し黒塗装をされているので緩みません。
分解をしてみると・・内部に油が混入しています。↗のところだけ油があるのではなく絞り羽根まで全て油が付着していて飽和状態になって油溜りになっているのです。
絞り羽根の収まる部分にも油が付着しています。どこから来た油でしょう? すべて洗浄脱脂をしてから組み立てます。
それと、シャッター羽根の穴部がへこんでいますね。これは組立時にハウジングを被せる時、穴位置にピンが正確に入っていないのに強引にネジを締めた結果です。経験的に、これはドイツ製よりシンガポール製になってからの方が多いと感じます。へこみを修正して組み立てます。
ローライ35より生産が新しいのとチャージギヤが真鍮製となっているため、巻き上げ(殆どチャージ済を忘れて再度巻き上げすることでギヤにストレスを掛ける)に神経を使わなくて良い安心感はあるのかな?
トミーのリペイント (tomys800.sakura.ne.jp)
距離リングの逆転は出来ます。というよりは目盛りリングを前端のダイヤルで挟んでいるだけですのでどこでも固定できます。中古店様からの個体は海外仕入れも多いですから、ftをm表記に直しておくのはお約束の作業です。
20年くらい前にeBayでブラックのローライ35クセナー付きを落札して使っておりました。あちらではフィート表示がデフォルトだったようで上面がフィート、下面がメートルで、目測するのに調子が悪かったのを覚えています。そこでペンFTのTTLナンバーリングのように簡単に逆転できるのかと調べてみましたがそうではなかったみたいで諦めて、その後いろいろあって手放してしまいました。
ここのブログを見ていて当時の記憶がよみがえり、今更なのですが、しかも手元にもないカメラの話で恐縮なのですが、距離表示環の逆転は簡単にできたのでしょうか?教えてはいただけないでしょうか?