人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

アンサンブル・ウィーン=ベルリン&新日本フィルでオール・モーツアルト・プログラムを聴く

2015年07月14日 07時07分08秒 | 日記

14日(火)。追い詰められたギリシャは「15日までに税制などの改革を法制化することや,国有資産を基金に移し売却して借金返済を加速させる」等の条件で,3年で820億ユーロ(約11兆円)の支援を受けることになったようです ドラえもんとクマもんが合体してドラクマに変身してもユーロには勝てないので、ギリシャが大幅に譲歩するしかなかったのだと思いますが、法制化されても新たな借金が出来る訳でマルク収まるかどうかユーリョしています ということで、わが家に来てから277日目を迎え,「モーツアルトとともに一年を」に接近するモコタロです 

 

          

                何でこの本がここにあるのかな???

 

  閑話休題  

 

昨夕、すみだトリフォニーホールで「アンサンブル・ウィーン=ベルリン&新日本フィル」のコンサートを聴きました オール・モーツアルト・コンチェルト・プログラムで,①ファゴット協奏曲変ロ長調K.191,②オーボエ協奏曲ハ長調K.314,③ホルン協奏曲第4番変ホ長調K.495,④フルート協奏曲第1番ト長調K.313,⑤クラリネット協奏曲イ長調K.622です

 

          

 

自席は1階15列4番,左ブロック左から4つ目です.会場は珍しく若い人も目立つ中,8割方埋まっている感じです 新日本フィルのメンバーが登場します.総勢約30名の小編成です.弦楽器の首席クラスを見ると,左からコンマスは西江辰郎,右へ堀内麻紀,第2ヴァイオリンは吉村知子,佐々木絵理子,チェロは川上徹,木越洋,ヴィオラは脇屋冴子,篠崎友美,コントラバスは城満太郎という陣容です.管楽器は,オーボエの古部賢一,森明子,ホルンの吉永雅人,藤田麻理絵がスタンバイします.私が応援する3人の新人(脇屋冴子のほか古日山倫世,松崎千鶴)も揃ってスタンバイしています

1曲目はファゴット協奏曲K.191です.ウィーン交響楽団首席のリヒャルト・ガラ―が指揮者のハンスイェルク・シェレンベルガ―とともに登場します ファゴット協奏曲を生演奏で聴くのはこれが初めてかも知れません.そうでなければ遠い昔のことで”忘れて”いるのかも知れません

この曲は第1楽章冒頭のすっとぼけた味わいが何とも言えない魅力です 1774年6月4日にザルツブルクで完成したといいますから,モーツアルトが18歳の時の作品です ガラーの演奏で聴いていると,世界中で認められた唯一無二のファゴット協奏曲の魅力がストレートに伝わってきます

最後の第3楽章の終盤で,シェレンベルガ―が先を急ぎ過ぎて指揮のフライングしましたが,さすが新日本フィルのコンマス・西江王子は”飛び出さず”に抑えました.オケのメンバーも併せました.流石です

2曲目はオーボエ協奏曲k.314です.アンサンブル・ウィーン=ベルリンの正式メンバーのジョナサン・ケリーが出演出来なくなり,代わりに来日したウィーン・フィルの首席クレメンス・ホラークがソリストを務めます ちょっと見がアメリカの大指揮者ミトロプーロスのような精悍な顔つきをしています

カラー・チラシが2種類ありますが,上のが本来のアンサンブル・ウィーン=ベルリンのメンバーで,下のが今回来日したメンバーです.オーボエを持っている人が違うのが分かりますね

第1楽章の冒頭を聴いた感想は,随分軽くて明るい音だな,ということです それが,聴いているうちに”軽い”が”軽快な”に変わってきました.とにかく速いパッセージも難なくこなし,華やかな雰囲気を醸し出します ちなみにこの曲をフルート用に編曲したフルート協奏曲第2番は,私のクラシック音楽入門曲です.その意味では楽しく聴かせてもらいました

3曲目はホルン協奏曲第4番K.495です.ベルリン・フィル首席のシュテファン・ドールが登場すると,会場から大きな拍手 が起きました.この人はメンバーの中で最も人気があるようです 後ろに控える新日本フィルのメンバーも笑顔で迎えています ひょっとして,ドールはモーツアルトの”悪友”でホルン奏者のロイトゲープのようなユーモア溢れる人なのかも知れません

この曲もファゴット協奏曲のように,どこかすっとぼけた味わいのある曲で,ホルンの特性がよく現われています ドールは余裕の表情でモーツアルトの愉悦の世界を奏でます.演奏が終わると,会場もステージ上も阿鼻叫喚,やんやの喝さいです

           

          

 

休憩後の最初はフルート協奏曲第1番K.313です.ソリストのカール=ハインツ・シュッツは日経ミューズ・サロンでリサイタルを聴きました ウィーン・フィルの首席で,ウィーン・リング・サンサンブルや,今回来日グル―プのメンバーでもあります オケはフルートが2本追加されます

シュッツの演奏は,とにかくべら棒に上手いのです 非の打ちどころのない完ぺきな演奏というのは彼のような演奏を言うのでしょう 名人芸の域に達しています

さて,最後の曲はモーツアルト晩年の傑作クラリネット協奏曲K.622です.亡くなる2か月前の1791年10月初めに完成したモーツアルト最後の協奏曲です.オケはオーボエが下がり,ファゴットが2本追加されます

ソリストのベルリン・フィル首席のアンドレアス・オッテンザマーが登場すると大きな拍手が起こりました この人もドール同様,日本では有名人で人気があります

第1楽章が軽快に始まります.オッテンザマーは身体全体を使って演奏します.まるで演技をしながら演奏しているような感じです 私は初めて彼の演奏を聴きましたが,こんなに楽しく動きの激しい人だとは思いませんでした と思って油断していると,第2楽章のアダージョに入ると,まったく異なった様相を見せました まるで天国の音楽を奏でているようです.聴いていると,モーツアルトがこの世に別れを告げているのが見えるようで,思わず目頭が熱くなりました

終演後,大きな拍手とブラボーが会場を満たし,なかなか鳴り止みません と思ったら,ステージの中央にスペースが空けられ,譜面台が5つ並べられました.さては5人のオール・スターによるアンコールか という期待で,会場は興奮の坩堝と化しました

5人の管楽プロフェッショナルは何とブラームスの「スラブ舞曲第15番」を超絶技巧による見事なアンサンブルで演奏,またまた拍手喝さいを浴びました

さて,この日の5つのコンチェルトを振り返ってみると,シェレンベルガ―はすべての協奏曲で第2楽章から第3楽章へは間を空けずに演奏しました この演奏スタイルはシェレンベルガ―の専売特許という訳ではないでしょうが,大きな特徴だと思います

モーツアルトの協奏曲が世界のトップ・レヴェルの演奏で一夜のうちに5曲も聴けるーそんな貴重な体験をしましたが,あらためて思うのは,生きてモーツアルトが生で聴ける幸せです こんな贅沢は滅多にありません.彼らを日本に呼んでくれた関係者に深く感謝します

 

          

コメント
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