8日(水)。わが家に来てから271日目を迎え,タイガースのマスコット「トラッキー」に阪神の成績を尋ねるモコタロです
首位争いしてるって? 阪神半疑だな. ところで君 埃だらけだね
閑話休題
奥田英朗著「噂の女」(新潮文庫)を読み終わりました 奥田英朗の作品は当ブログでも何冊かご紹介してきました
奥田英朗は1959年,岐阜県生まれ.2004年に「空中ブランコ」で直木賞を受賞しています.「最悪」「マドンナ」「サウスバウンド」「ララピポ」などエンタテインメント小説を書き続けています
高校までは地味な存在だったが,短大時代に突然,自分の見えざる能力に目覚め,一介の事務員から高級クラブのママにのし上がった糸井美幸 雀荘で知り合った中小企業の社長を手玉に取り,睡眠薬を飲ませたうえで風呂でおぼれ死にさせる
色仕掛けで高齢者に取り入り保険金目当てに殺害する
肉体を武器にそうした犯罪を繰り返しながら着実に大金をせしめていく.ついに警察が嗅ぎ付けるが,そう簡単には捕まらない
糸井美幸は,最初は中古車販売店に勤めています.次に現われるのは麻雀荘のアルバイト.そして料理教室の生徒として登場し,パチンコ屋にも出没,遂には柳ヶ瀬の高級クラブのママに成り上がり,お寺の総代として登場します.資産家の相続人になるため子供まで生みます
新聞の三面記事を賑わした『保険金目当ての殺人事件』を題材にしていることは容易に想像が付きます が,新聞はあくまで『勧善懲悪』なので,噂の”容疑者”を徹底的に叩きますが,この作品の筆者はそうはしません
最初から途中までは,いかにも糸井美幸がひどい女であるか,と思わせておいて,最後には女性の立場に立って糸井美幸の擁護に回ります.その辺が,一般の小説と違うところです
そうは言うものの,深刻な推理小説ではありません.思わず笑ってしまうシーンがそこかしこに登場するのが奥田英朗ワールドです
地方に生まれ,平凡な生活を送り,平凡な結婚を強いられる女性たちから見れば,手練手管と肉体を使って男を踏み台にしてのし上っていく糸井美幸は,ある意味で憧れのヒロインなのかも知れません 気持ちは分かりますが,殺人が良い訳がありません
でも,そう言ってしまったら奥田英朗の小説らしくなくなってしまいます.これでいいのか?それでいいのだ