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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ノット+東響でブルックナー「交響曲第8番」を聴く/フックス+藝大でモーツアルト「グランパルティータ」を聴く

2016年07月17日 08時32分11秒 | 日記

17日(日)。わが家に来てから658日目を迎え,昨日の夕刊を見て日本の安全を憂いるモコタロです

 

          

          フランスのテロの後は トルコでクーデターだって 日本は大丈夫?

 

  閑話休題  

 

千葉県勝浦市在住の大学時代の友人S君から「海の幸」のセットが送られてきました S君の奥さまの実家が魚介類の卸問屋を営まれているとのことで,アジ,カマス,あこう鯛,カレイが所狭しと詰まっています わが家は子供たちが肉好きなので どうしても肉中心の食事になりがちですが,これをきっかけに魚料理をローテーションに入れることができると思います  持つべきは友だちだな S君ありがとう.また飲みましょう.魚を肴にして

 

          

 

 も一度,閑話休題   

 

昨日午後3時から東京藝大奏楽堂で「ヴェンツェル・フックスを迎えて~ハルモニームジークの愉しみ~」を聴きました 開演に先立って午後2時15分から「プレトーク」があるというので1時半には会場に着いて並びました  その結果,1階11列13番,センターブロック左通路側を押さえました フックス効果か,会場はほぼ満席です

ベルリン・フィル首席クラリネット奏者ヴェンツェル・フックスが藝大教授・山本正治と 通訳の横田揺子(クラリネット専攻・准教授)とともに登場し,プレトークが始まりました.山本氏がフックス氏にインタビューする形で進められました 要約すると

「ベルリン・フィルで演奏するようになってから24,5年になる 定期的に東京藝大に毎年来るようになって今年が5回目となる.現在,ジュリアード音楽院,マンハッタン,モーツアルテウムのほか,カラヤン・アカデミーでも教えている ベルリン・フィルのもう一人のクラリネット首席のオッテンザマーはそこで私のレッスンを受けた生徒だった 毎年夏に来て見ている東京藝大の学生はハイレベルだ.両親がオーストリアでスキー用具を販売する仕事をしていた関係で,スキーの道に進むべくその道の学校に通っていたが,スキーで足を骨折してしまい,考えた挙句スキー板をクラリネットに持ち代えることになった 父親はスキー板も作っていたが,かのトニー・ザイラーのスキーを初めて作ったのは父親だった ベルリン・フィルは各楽器にレベルの揃った首席が二人いるので半分は休める態勢にある.それで,今回の来日のように自由に行動できる面がある

このプレトークは素顔のフックス氏を知ることが出来て良かったのですが,通訳の横田さんが素晴らしかった 山本氏によると,フックス氏はドイツ語で話すと思ってドイツ語の通訳を用意したとのことですが,本人は英語を話していました.それでも少しも慌てず騒がず,横田さんは完璧に英語でこなしていました

さて,この日のプログラムは①モーツアルト「セレナード第12番ハ短調K.388”ナハトムジーク”」、②同「セレナード第10番変ロ長調K.361”グラン・パルティータ”」です 演奏は、クラリネット=ベルリン・フィル首席奏者ヴェンツェル・フックス、山本正治、オーボエ=小畑善昭、湯原由香、バセット・ホルン=福島広之、西澤いずみ、ホルン=日高剛、田中みどり、荻野谷美咲,岡田彩愛、ファゴット=岡本正之、古谷挙一、コントラファゴット=石井野乃香です

 

          

 

このコンサートのサブ・テーマにある「ハルモ二―・ムジーク」とはドイツ語で,通常は重い金管楽器や打楽器を含まない管楽器の重奏による音楽を意味します 最盛期は1780年代から1830年代までとされています.この日のプログラムはモーツアルトのセレナードのうち短調と長調の最高傑作のカップリングです

1曲目の「セレナード第12番ハ短調K.388”ナハトムジーク”」は,オーボエ,クラリネット,ホルン,ファゴット各2本から成る8人の編成で演奏されます「ナハトムジーク」とは「夜の音楽」という意味です.この曲は1782年(モーツアルト26歳)の時に作曲されました

「セレナード」とか「ディヴェルティメント」は言わば「娯楽音楽」なので,短調で作曲するのは異例のことだったと思います それでも敢えて短調で作ったのですから,相当作品に自信があったのだと思います.それはこの曲を聴けば判ります

左からオーボエ(小畑,浅原),ファゴット(岡本,古谷),ホルン(日高,田中),クラリネット(フックス,山本)の態勢をとります

この曲は第1楽章「アレグロ」,第2楽章「アンダンテ」,第3楽章「メヌエット・カノン」,第4楽章「アレグロ」から成りますが,短調の魅力に溢れています 聴いていて特に印象に残ったのは第3楽章のトリオの部分です.オーボエとファゴットが各2本でカノンを演奏するのですが,素晴らしいアンサンブルでした

 

          

 

休憩後は,モーツアルト「セレナード第10番変ロ長調K.361”グラン・パルティータ”」です この曲は「13管楽器のセレナード」と呼ばれることがありますが,モーツアルトが自筆譜で指定していた最低声部の楽器はコントラバスでした したがって,正確には「12管楽器とコントラバスのセレナード」ということになります また「グラン・パルティータ」(大規模な管楽合奏曲)という愛称もモーツアルトが名付けたわけではなく,後世の人が付けたものです 作曲年代もあやふやで,1781年~82年頃とする説と1783年~84年頃とする説があるようです 自筆譜に年代の記入がないのです.楽器編成は1曲目の「ナハトムジーク」の八重奏曲に,バセットホルン2本,ホルンを2本(追加),コントラバス(今回はコントラファゴット)を加えた13楽器から構成されます  ところで,「バセットホルン」というのはホルンではなく,クラリネットに似た木管楽器です

編成は,後方にホルンが4人横に並び,前に左からオーボエ(小畑,浅原),ファゴット(岡本,古谷),コントラファゴット(石野),バセットホルン(福島,西澤),クラリネット(山本,フックス)という並びです

この曲は第1楽章「ラルゴーモルト・アレグロ」,第2楽章「メヌエット」,第3楽章「アダージョ」,第4楽章「メヌエット:アレグレット」,第5楽章「ロマンス:アダージョ」,第6楽章「主題と変奏:アンダンテ」,第7楽章「フィナーレ:モルト・アレグロ」から成ります

この曲の白眉は何といっても第3楽章「アダージョ」でしょう.ゆったりした分散和音に導かれ,オーボエがメロディーを奏で,クラリネットが引き継ぎます これを聴いた時「これは本当に人間が作った音楽だろうか」と感嘆しました

あの有名なピーター・シェーファー原作の映画「アマデウス」の一場面を思い出します モーツアルトとコンスタンツェがお菓子を食べながらイチャイチャしているのを,サリエリが陰で隠れて見ていると,隣室からこの世のものとも思えない神秘的なメロディーが流れてきます モーツアルトはコンスタンッェに言います「この曲は僕が作ったんだ」.それを陰で聞いていたサリエリは思います.「目の前でお菓子を食べながら悪ふざけしている不真面目な男が,あの素晴らしい音楽を書いただって とても信じられない.私は真面目に神のために人生を捧げて音楽を作っているのに報われない.不公平だ」.そして,サリエリは「モーツアルトは作曲者として神から選ばれた しかし,自分はモーツアルトが天才であることが判る者として選ばれたに過ぎない 復讐してやる」と決意するのです.ここからシェーファーは,サリエリによるモーツアルト暗殺説をなぞっていった訳です モーツアルトの天才を論じるのに一番ふさわしい音楽として,この「セレナード第10番K.361」の第3楽章「アダージョ」を選んだ故ピーター・シェーファーに敬意を表します

第7楽章「フィナーレ」は愉悦間に満ちた音楽です 13の楽器が良く鳴っています.フックスはもちろんのこと,オーボエの小畑氏を中心に素晴らしいアンサンブルでした

 

          

 

13人はアンコールに「グラン・パルティータ」の第6楽章のフィナーレを演奏し,コンサートを締めくくりました この日のコンサートは極めて水準が高く,「生きてモーツアルトが生で聴ける幸せ」を十分に感じ取ることができた公演でした

さて,この公演の終了時間は午後4時42分.私は急ぎ足で地下鉄銀座線の上野駅に向かいました.目指すは溜池山王のサントリーホールです

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

サントリーホールに着いたのは午後5時25分.上野の東京藝大奏楽堂からサントリーホールまで,ドア・トゥー・ドアで43分でした

午後6時からサントリーホールで東京交響楽団第642回定期演奏会を聴きました プログラムはブルックナー「交響曲第8番ハ短調」(ノヴァーク版第2稿)です 指揮は音楽監督ジョナサン・ノットです

 

          

 

ブルックナーの第8番だからでしょうか.会場はいつもより聴衆の入りが多いように思います オケの態勢は,左奥にコントラバス,前に左から第1ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,第2ヴァイオリンという対向配置をとります 左サイドにはハープが3台スタンバイしています.コンマスは客員の林悠介です.ステージのそこかしこに集音マイクが立てられています.この公演を収録していつかどこかの番組で放映するのでしょうか

 

          

          

この曲は1884年7月~1887年8月に作曲され,1887年10月~1890年3月に改訂されています なぜ改訂したかと言えば,この間に2人の指揮者に「演奏困難」として指揮を断られてしまったからです 1人目はヘルマン・レーヴィ,2人目はレーヴィから推薦されたフェリークス・ヴァインガルトナーです.改訂版が初演されたのは1892年12月18日,ウィーンでハンス・リヒターの指揮でした

この曲は第1楽章「アレグロ・モデラート」,第2楽章「スケルツォ:アレグロ・モデラート」,第3楽章「アダージョ」,第4楽章「フィナーレ」から成ります この曲はマーラーが交響曲第6番で迷ったように,第2楽章と第3楽章の扱いで悩んだようです.初稿のスケッチ段階では第2楽章に「アダージョ」を,第3楽章に「スケルツォ」を想定していましたが,その後,現在の形に変更したようです.曲全体を聴く限り,第3楽章にアダージョを持ってきた方が第4楽章が生きると思います

ジョナサン・ノットが登場,第1楽章の演奏に入ります.管楽器も弦楽器も厚みのある音で迫ってきます 管楽器ではオーボエ首席の荒木奏美,フルート首席の相澤政宏,ホルン首席の上間善之を中心に素晴らしい演奏を展開していました 第2楽章「スケルツォ」を経て,第3楽章「アダージョ」に移りますが,弦楽器を中心に美しい音楽が会場の隅々まで響き渡ります 第4楽章のフィナーレは,ブルックナー自身がロシア皇帝の表敬訪問になぞらえて,弦楽器を「コサック兵の騎行」,金管楽器を「軍楽」,トランペットを「死の行進と(金管による)浄化を含むもの」と表現しています.文字通り受け取って良いものかどうか分かりませんが,聴いていると,その通りだと言いたくなるような曲想です

80分の長旅が終わり,ノットのタクトが下されると,若干フライング気味の「ブラボー」がかかり,万雷の拍手とブラボーの嵐が続きました

ノット+東響による80分の演奏を振り返って,思い出したのが,かつてユーゴズラヴィアの巨匠ロブロ・フォン・マタチッチがNHK交響楽団を振った「第8番」の演奏です あの演奏は狂気迫る”重い”演奏でした(私はテレビ録画でしか観たことがない).それに比べ,ジョナサン・ノットによる演奏は,21世紀のブルックナーを感じさせます.テンポが速く,スマートさを感じます どちらが良いか,という問題ではなく,演奏は時代を反映するということでしょうか 汽車や船が主な移動手段だった時代の演奏と ジェット旅客機が当たり前の時代の演奏では テンポが異なるのも当然かも知れません

コンサートのハシゴは出来るだけ避けたいと思っているのですが,今回は避けなくて正解でした

 

          

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