13日(金).昨日の日経夕刊・くらし面に「座り過ぎは寿命縮める? 心臓病や糖尿病のリスク上昇」という見出しの記事が載りました.超訳すると
「2012年にオーストラリアのグループが,1日に座っている時間が11時間以上の成人は,4時間未満の成人に比べて総死亡のリスクが1.4倍高いと発表した 15年にはカナダのグループが各国で実施された研究を統計的に統合し,心臓や血管の病気やガン,糖尿病などと,座り過ぎの習慣との間の関連が確認されたと結論づけた
16年にノルウェーなどのグループが健康リスクを減らすのに必要な運動量を検証した.軽いジョギングやテニスのような『中等度強度』の運動を1日60~75分すれば,座り過ぎによるリスクはほぼ相殺できる
しかし,実際にこれほどの運動をしている人は少数
座り過ぎはなぜ体に悪いのか? はっきりとは分かっていないが,下肢の筋肉を長時間使わないこととの関係が有力視されている
長時間座らなければならない場合は,30分に1回を目安に立ち上がり,連続して座らないようにするといいという
最近の研究によれば,単に立ち上がるだけでなく,少し歩いたり体を動かしたりすることが効果的である
」
こういうデータは一番困るのです コンサートを聴くにしても,映画を観るにしても,本を読むにしても,長時間ほとんど座りっぱなしで行う行為だからです
コンサートを聴いている最中,あるいは映画を観ている最中に,30分経ったから と言って立ち上がるわけにはいきません
せいぜい,聴き終わった(観終わった)後は,喫茶店で座ってコーヒーを飲んだりレストランで食事を取ったりするのを控えて,電車に乗って立ったまま帰途に着くのが関の山でしょう
行きつけの整体のA院長はいつも言っています.「人間は本来,寝ているか,立っているかの動物だったのです それが長い歴史の中で,座るという行為を覚えました.それが腰痛の原因になっています
出来るだけ座る時間を少なくしましょう
」と.分かっています.植木等じゃないけれど「分かっちゃいるけど止められない」んです
まあ,出来ることからやるしかないですね
現在は1日最低8,000歩歩くのがノルマですが,家に居るときは何をやるにも出来るだけ立ってやるようにしましょう.もちろん,料理は立ってやっていますが,例えば新聞を読むときとかも
ということで,わが家に来てから今日で836日目を迎え,トランプ次期米大統領が中国,日本,メキシコとの貿易赤字を問題視した というニュースを見て 感想を述べるモコタロです
立って記者会見やってるね 名指しされた日本は立場がない?
閑話休題
昨日,夕食に「牛肉と大根の煮物」と「生野菜とアボガドとサーモンのサラダ」「豆腐のウズラ卵乗せ」を作りました 「牛肉と~」は40分煮込んだので味が良く染み込んで美味でした
も一度,閑話休題
昨日,渋谷の東急文化村「ル・シネマ」で「ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿」を観ました これはルカ・ルチ―二監督による2015年 イタリアのドキュメンタリー映画(102分)です
この映画は,238年の歴史を誇るオペラの殿堂「ミラノ・スカラ座」の魅力を,指揮者や歌手へのインタビューや過去の写真・映像などのアーカイブによって紹介した貴重なドキュメンタリー映像です
映画はスカラ座の内部を映し出し,口笛によるヴェルディの歌劇「ナブッコ」から「行け わが想いよ 黄金の翼に乗って」から始まります イタリアの第2の国歌とも言われるこの曲から始まるのは,いかにもイタリアです
この曲は後に,本来の合唱曲として映画の中で歌われます.次いで,フルートによる緩やかなメロディーが奏でられ,世界のディーヴァ,マリア・カラスの声が流れてきます
ベッリーニの歌劇「ノルマ」から「清らかな女神よ」です.背筋が寒くなるほどの感動を覚えました
次いで,映画は毎年12月7日にシーズンの幕開けを迎える「ミラノ・スカラ座」の2014-2015シーズンの開幕公演,ベートーヴェンの歌劇「フィデリオ」の準備に追われる劇場スタッフの姿を追います そして,かつてスカラ座で活躍してきた歌手や指揮者がアーカイブ映像で紹介され,数々のエピソードが語られます
指揮者ではオペラ座ゆかりのクラウディオ・アバド,リッカルド・ムーティ,ダニエル・バレンボイム,リッカルド・シャイーらがインタビューに答え,スカラ座が”特別な場所”であることを語ります 現在の音楽監督バレンボイムは「『カラスが歌ったこの場所で 私など とても歌えない
』と ここに来る歌手は不安になる.誰もがその恐怖を抑えられるわけではない
」と語ります
歌手ではプラシド・ドミンゴ(テノール),ミレッラ・フレーニ(ソプラノ),レオ・ヌッチ(バリトン),フィオレンツァ・コッソット(メゾソプラノ)などがインタビューに答えています フレーニは1963年,ゼフィレッリの演出でプッチーニの「ラ・ボエーム」のミミを歌った際に,指揮者のカラヤンが舞台に上がってきて,涙を流しながら彼女にキスして『私が涙を流したのは母が死んだとき以来だよ』と言ってくれた,と思い出を語っています
映画では,イタリア・オペラの歴史の中で いかに指揮者アルトゥーロ・トスカニーニの存在が大きかったかについて言及しています 彼は1898年からオペラ座の音楽監督も務めましたが,それまでのイタリア中心のレパートリーに加えてワーグナーなど外国のオペラを積極的に取り上げたほか,オーケストラ・ピットを低くし,女性客に帽子を取らせ,アンコールを禁止したことで,聴衆の注目を歌手や作曲家から指揮者へ移させるなど,イタリア・オペラに革命的な変化を与えた大指揮者だったことを紹介します
オペラ界で紀元前(B.C)・紀元後(A.D)と言えばマリア・カラスの「ビフォア・カラス,アフター・ディーヴァ(カラス以前,歌姫以後)」ですが,カラスもトスカニーニの口添えでスカラ座屈指のスターとなるキッカケを掴みました 1950年2月,体調不良で降板したレナータ・テバルディの代役として出演したヴェルディ「アイーダ」でスカラ座デビューを飾り,翌51年9月にはスカラ座と契約しています
その後の活躍は周知のとおりです
この映画で初めて知ったのは,世界の歌劇場の中で一番最初に電気照明を導入したのは「ミラノ・スカラ座」だったということです.これは意外でした
この映画では,ストーリーの要となるベートーヴェンの「フィデリオ」のほか,モーツアルト,ロッシーニ,ヴェルディ,ワーグナー,プッチーニ,ビゼーなどの音楽がふんだんに流れます オペラ好きにはたまらない映画です.音楽好きに強くお薦めします