10日(火).わが家に来てから今日で833日目を迎え,おやつの合間に時間の流れの速さを身に染みて感じているモコタロです
2017年は早くも残り355日になってしまった 月日の流れは速いなあ
閑話休題
昨日,新宿武蔵野館でルキーノ・ヴィスコンティ監督「郵便配達は二度ベルを鳴らす」(イタリア,1942年製作)を観ました これはヴィスコンティ生誕110年 没後40年記念祭として上映されたデジタル修復版(モノクロ,140分)です
舞台は北イタリア.ポー川の食堂に風来坊のジーノ(マッシモ・ジロッティ)がやってくる.店主ブラガーナ(ファン・デ・ランダ)と 歳の離れた若く美しい妻ジョヴァンナ(クララ・カラマイ)が住んでいた ジョヴァンナはジーノに一目ぼれし,彼が店に居られるよう店主をけしかける.自動車の故障を直したジーノは店主に認められ しばらく滞在することになる 二人は店主が留守の間に肉体関係を持ち,駆け落ちしようとするが,ジョヴァンナは途中で罪悪感に襲われて引き返す ジーノは彼女を忘れるために一人で放浪するが,旅先の港町でブラガーナ夫妻と再会し,再び店に戻ることになる 愛し合う二人はブラガーナの殺人計画を立て,自動車事故を装って実行する
しかし,ジーノがブラガーナの面影が残る店を売り払って他の場所に移ろうと主張するのに対し,ジョヴァンナは彼と放浪するのが不安で 店を手放したくないと主張し,気まずい生活が続く そして,ジーノは街で知り合ったアニータ(ディーア・クリスティア―二)のところに通うようになる.そんな折,警察は新たな目撃者の証言からブラガーナの死は事故ではなく殺人だと疑いを持ち,二人を指名手配する ジーノはジョヴァンナが自分を密告したのではないかと問い詰めるが,彼女は否定する.そして彼の子を身ごもっている事実を知り二人で再出発することを決意する しかし,車で旅立とうとする矢先,トラックと接触して車が大破,ジョヴァンナは息を引き取る
この映画を観て 不思議に思ったのは,一度も郵便配達がベルを鳴らすシーンが出てこないことでした 調べてみると,この映画の原題はイタリア語で「Ossessione」(妄執),原作はジェームズ・M・ケインの『郵便配達は二度ベルを鳴らす』だが,原作者の許諾を得ることなしに映画化された違法な作品であることが分かりました したがって,イタリア公開時に数日で上映禁止となり,長い間「幻の処女作」と呼ばれていたそうです 現在では,『ネオレアリズモの先駆的作品』と呼ばれているとのことです
それでは,なぜ「The Postman Always Ring twice」なのかということですが,調べによると「Postman」は「郵便配達夫」の他に「重要な知らせを持ってくる者」という意味があり,「Ring Twice」は「二度鳴らす」以外に「受け取らなければならないもの」「拒否できないもの」の象徴としての意味があるとのことでした つまり,ジーノとジョヴァンナとの出会いは宿命的なものであり,2度(Twice)の自動車事故による死も必然的なものだったということです
この映画には「のど自慢大会」のシーンが出てきますが,ビゼーのオペラ「カルメン」のアリアが素人によって歌われ,ブラガーナがヴェルディのオペラ「椿姫」からアリアを歌います さすがはイタリア映画,ヴィスコンティだと思いました