14日(土).昨日の日経朝刊・文化面のコラム「文化往来」に「知られざるクラシック『猫音楽』を紹介」という記事が載りました.超訳すると
「クラシック音楽で猫そのものをテーマにしたものは意外に少ない そんな『猫音楽』の知られざる楽曲を紹介したアルバム『吾輩はピアノを聴く猫である』(カメラータ・トウキョウ)が出ている
アルバムはヘミングやクロアチアの画家の猫のイラスト42点が付いたCDブックレットの形式
ショパン『猫のワルツ』,コープランド『猫とネズミ』など多彩な12曲を収録した
数分程度の短い曲が多いが,怒りっぽさ,気まぐれ,いたずらっぽさなど,猫の感情や行動が音楽によって鮮やかに切り取られる
演奏者は岡田博美,高橋アキ,フジコ・ヘミングという猫好きで知られる3人のピアニスト
」
ショパンは「子犬のワルツ」の他に「猫のワルツ」も作っていたなんてキャット驚きましたか 「ワルツ第4番作品34-3」が「猫のワルツ」と呼ばれているのです
なぜ「子猫のワルツ」じゃないんだろう? という問題はさておいて,猫好きのクラシック愛好家にとっては魅力的なアルバムかも知れませんね
ということで,わが家に来てから今日で837日目を迎え,中国の貿易額が2年連続で減少したというニュースを見て 感想を述べるモコタロです
大国じゃなくて中国なんだから いつまでも貿易が拡大するわけがないと思うよ
閑話休題
昨夕,NHKホールでNHK交響楽団第1853回定期演奏会を聴きました プログラムは①ファリャ「歌劇”はかない人生”」~間奏曲とスペイン舞曲,②ロドリーゴ「アランフェス協奏曲」,③ドビュッシー「映像」~「イベリア」,④ファリャ「バレエ組曲”三角帽子”」第1部,第2部です
②のギター独奏はカニサレス,指揮はファンホ・メナです
オケの面々を見渡すと,コンマスは伊藤亮太郎ですが,ヴィオラの首席に新日本フィルの首席・篠崎友美さんの姿がありました 最近彼女の客員が多いようです.やっぱり実力があるんでしょうね
大柄な指揮者ファンホ・メナが登場します.彼は1965年スペインのバスク地方の生まれです ビルバオ交響楽団の芸術監督兼首席指揮者などを歴任し,2011年にイギリス・マンチェスターのBBCフィルハーモニックの首席指揮者に就任しています
私は数年前にラ・フォル・ジュルネ音楽祭で彼の指揮で聴いています
1曲目はファリャの歌劇「はかない人生」から間奏曲とスペイン舞曲です 「間奏曲」は第2幕の第3場と第4場の間奏曲です.「スペイン舞曲」は第2幕第1場の婚礼の宴で参加者たちがフラメンコを踊る場面の音楽です
いかにもスペインといった感じの曲想ですが,メナのN響デビューの名刺代わりの演奏と言えるでしょう
2曲目はロドリーゴの「アランフェス協奏曲」です これは実質的な「ギター協奏曲」です.ステージ中央にはギター奏者のスペースが設けられ,ギターのためにマイクが立てられ,すぐそばにはアンプ付きスピーカーが設置されます
ギターの音は小さいので会場の後方にも音が届くようにという配慮です
カニサレスがギターを携えて登場します.彼は1966年 バルセロナの生まれで,1989年から10年間 フラメンコの巨匠パコ・デ・ルシアのグループに参加しています 彼の演奏はメナ同様,ラ・フォル・ジュルネ音楽祭で聴いています
この曲は3つの楽章から成ります.第1楽章は小気味の良いリズムで開始されます サビは第2楽章の抒情的な旋律です.冒頭のコーラングレの演奏が素晴らしかった
第3楽章は一転キビキビしたテンポで音楽が進められます
全体として,ギターの音色を引き立てるためにオーケストレーションが控えめに書かれているので,その分物足りなさを感じます
主役が音の小さいギターなので,そもそも千人規模の会場で演奏することを想定していないのではないかと思われます
演奏は素晴らしいものがありましたが,曲自体に不満があるので複雑な心境です
こういう曲は,むしろCDで聴いた方が作品の良さが伝わってくるかもしれないと思いました
後半の1曲目はドビュッシー「映像」から「イベリア」です 第1曲「町の道と田舎の道」,第2曲「夜のかおり」,第3曲「祭りの朝」から成りますが,スペインの民族的な素材をもとに書かれており,カスタネットなどスペインを象徴する楽器が活躍します
最後の曲はファリャのバレエ組曲「三角帽子」第1部,第2部です 「三角帽子」の物語は,横暴な代官が美しい粉屋の妻を見初め,彼女を自分のものにしようと画策して粉屋を逮捕させるが,粉屋の妻に迫ろうとした代官は,橋から落ちてずぶぬれになってしまう
上着を着替えようと粉屋の家に忍び込み,粉屋のマント姿になった代官は,今度は留置場から逃げ出した粉屋に間違えられ,警官からひどい仕打ちを受ける
という内容です
こうした物語の内容を大雑把に頭に入れて演奏を聴くと,実に楽しく音楽を堪能できます そもそもこの曲はバレエ音楽なので,バレエ・ダンサーが音楽に合わせてどんな動きをしているのかと想像しながら聴く楽しみもあります
色彩感溢れたN響の熱演を振り返ってみると,ホルンの福川伸陽(最近ピアニストの三浦友理枝さんとのデュオが多い首席),オーボエの茂木大輔(ウィーン・フィルを聴いたことがない首席)は安定した実力を発揮していました
この曲を聴いて,やっと物足りなさから解放され,スカッとしました