6日(水).わが家に来てから今日で1071日目を迎え,5日午前10時ごろ,埼玉県蕨市にあるJR東日本の変電所の点検・修繕作業中に作業員が機器の操作を誤ったため,大規模な停電が発生し,山手線など首都圏の7路線で一時電車の運転が出来なくなった というニュースを見て感想を述べるモコタロです
現代は停電になるだけで何万人もの人が移動できなくなってしまう 世の中 便利?
昨日,夕食に「鶏のしぐれ煮」「生野菜とアボカドのサラダ」「冷奴」を作りました 「鶏の~」は大根おろしを10センチくらい下ろします
昨日,東銀座の東劇で「 METライブビューイング アンコール2017」のロッシーニ「セヴィリアの理髪師」を観ました これは2007年3月24日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演された公演のライブ録画映像です キャストは,ロジーナ=ジョイス・ディドナート,アルマヴィーヴァ伯爵=ファン・ディエゴ・フローレス,フィガロ=ピーター・マッテイ,バルバロ=ジョン・デル・カルロ,ドン・バジリオ=ジョン・レイリ―.管弦楽・合唱=メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団,指揮=マウリツィオ・ベニーニ,演出=バートレット・シャーです
こんなに楽しいオペラがあるのだろうか,と思うくらい楽しいオペラです これに匹敵するのはモーツアルト「フィガロの結婚」しかありません しかもこの公演は当時の最高レヴェルの歌手が勢ぞろいで,バートレット・シャーの演出もシンプルかつオーソドックスで最高です ステージの特徴としては,客席への張り出し舞台があり,通路の舞台がオーケストラ・ピットを囲むような形になっており,歌手は指揮者の後方に回って歌うシーンが数多くあります 最前列の客席からは歌手はすぐ目の前です.これほどの贅沢なないでしょう
まず最初は序曲です.この序曲は前述の「フィガロの結婚」の序曲に匹敵する,オペラの内容をすべて語った見事な音楽です 聴いているだけで楽しくなります.ベニーニのテンポ感は抜群です
歌手陣では,アルマヴィーヴァ伯爵を歌ったファン・ディエゴ・フローレスは当時 最高のテノールと言っても良いでしょう 喜劇,悲劇のどちらも完璧に役柄を歌える歌手ですが,とくに喜劇でのユーモアあふれる演技は他の追随を許しません
彼は2011年9月のボローニャ歌劇場来日公演の「清教徒」でアルトゥーロを歌うはずでしたが,声帯を痛め,急きょ来日中止となり,代わりにアントニーノ・シラクーザが代役と務めました 私としては何としてもフローレスを生で聴きたかっただけに本当に残念でした
ロジーナを歌ったジョイス・ディドナードは若い 何しろ10年前ですからね それにしても容姿端麗だし,コロラトゥーラ・ソプラノも完璧だし,演技も自然だし,申し分ありません
そしてもう一人の主役と言えるのが「町の何でも屋」フィガロを歌ったマッテイです 彼の歌を聴くと,「出来ないことは何もない」と思わせる力強さがあります 彼はその後のMETライブで,ワーグナー「パルシファル」のアムフォルタス(2013年3月),チャイコフスキー「エフゲニー・オネーギン」のオネーギン(2017年4月:ディミトリ・ホヴォロストフスキーの代役)などを歌っていますが,私にとっては,フィガロ役のマッテイが最高です
幕間のインタビューでも話題に出ましたが,バートレット・シャーによる今回の演出で一番大きな特徴は,ロジーナの後見人バルトロを前面に押し出したことです バルトロはこのオペラの唯一の悪役ですが,「悪役がいるから喜劇が引き立つ」というのがシャーの考えです バルトロを演じたジョン・デル・カルロは恰幅も良く,ユーモアあふれる演技は”どこか憎めない悪役”といった感じです 早口言葉による歌唱も見事にこなし聴衆の喝采を浴びます
バルトロの女使用人ベルタが第2幕で歌うアリアは,彼女の歌う唯一のアリアで,「年寄りは妻を求め,娘は夫を持ちたがる.一人はせっかち,一人はきちがい,二人とも縛っておけばいいのに.だけど,みんなを夢中にする恋とは一体なんだろう?」という内容ですが,若くはない女使用人の悲哀と恋への憧れが軽快な音楽に乗せて歌われていて,何度聴いても飽きません 歌手名は分かりませんが,素晴らしい歌唱です
この公演の演出では,男の使用人ロベルトも登場しますが,彼は1曲も歌わないのに,客席を沸かす重要な役割を担っています いつも居眠りしていて,騒ぎが起こるとその中心にいたりします どうやら本物の役者さんのようですが,シャーの演出ではオペラの進行にスパイスを与えています
モーツアルトのオペラと同様,アリアもデュオも六重唱も美しく楽しさに溢れていますが,とくに第1幕と第2幕のフィナーレでの六重唱は興奮の坩堝です
METライブのこの公演(2007年)を観るのは,記憶が正しければ今回が3度目ですが,何回観ても飽きません 観るたびに新たな発見があったりします このアンコール上映は9月25日(月)18:30からが今年最後となります.上映時間は休憩・インタビュー等を含めて3時間21分です.絶対後悔しません.お薦めします
それから,今回のアンコール上映で是非観ていただきたい公演がもう一つあります それは2009-2010シーズンで上演されたプッチーニ「トゥーランドット」です マリア・グレギーナのトゥーランドット姫,マルチェッロ・ジョルダ―二のカラフという最高の歌手陣,アンドリス・ネルソンズの指揮,そして何よりフランコ・ゼフィレッリによる絢爛豪華な演出・舞台が最大の魅力です 東劇での上映は9月11日(月)18:30~,同19日(火)14:30~,同23日(土・祝)11:00~の3回です 上映時間は3時間4分です.私はコンサートの予定が入っていて観に行けませんが,観て絶対後悔しません.お薦めします