人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

アレクサンドル・ヴェデルニコフ+東響でシベリウス「交響曲第1番」,ストラヴィンスキー「詩篇交響曲」他を聴く~第653回定期演奏会 / 東響プログラム Symphony 9月号から「休憩」表示へ

2017年09月17日 09時52分15秒 | 日記

17日(日)その2.よい子は「その1」から見てね   モコタロはそちらに出演しています

昨日午後6時からサントリーホールで東京交響楽団第653回定期演奏会を聴きました   プログラムは①ヒンデミット:バレエ音楽「気高い幻想」,②ストラヴィンスキー「詩篇交響曲」,③シベリウス「交響曲第1番ホ短調」です   ②の合唱は東響コーラス,指揮はアレクサンドル・ヴェデルニコフです

 

     

 

ヴェデルニコフはモスクワ生まれで,モスクワ音楽院を卒業後,モスクワ放送交響楽団(現チャイコフスキー交響楽団),ロシア・フィル(創立指揮者),ボリショイ劇場管弦楽団などの指揮者を歴任し,2009年からデンマーク・オーデンセ交響楽団の首席指揮者に就任しています

オケはいつもの配置,コンマスは水谷晃です

1曲目はパウル・ヒンデミット(1895-1963)のバレエ組曲「気高い幻想」です   この曲は1937年に「アッシジの聖フランチェスコの回心」をテーマに11曲から成るバレエ音楽を作曲し,翌年のロンドンでの初演の直後に,5曲を選抜して組曲としたものです   第1楽章「導入部とロンド」,第2楽章「行進曲と牧歌」,第3楽章「パッサカリア」の3楽章から成ります

全体的に宗教的な雰囲気の曲想ですが,いかにもヒンデミットらしいな,と感じたのは第3楽章のパッサカリアです   金管楽器が輝かしいテーマを奏で,19の変奏が展開されますが 宇宙的な響きを感じます   ヴェデルニコフはスケール感たっぷりに演奏を展開しました

2曲目はイーゴリ・ストラヴィンスキー(1882-1971)の「詩篇交響曲」です   演奏に先立ってステージの弦楽奏者の席が大幅に模様替えされます.ヴァイオリン,ヴィオラは退場,弦楽器で残るのは右サイドにチェロとコントラバスのみ   センター左サイドにグランド・ピアノが2台並び,近くにハープがスタンバイします.後方に管楽器群と打楽器が入りますが,クラリネットがいません.P席には120人の東響コーラスのメンバーが入りますが,男声は男声と女声は女声と固まらず,男女男女と入り乱れて文字通り男女混声合唱の並びです

この曲は1930年に作曲されましたが,ラテン語による旧約聖書の「詩篇」がテキストになっています   第1楽章「前奏曲」,第2楽章「二重フーガ」,第3楽章「交響的アレグロ」の3つの楽章から成ります

プログラム冊子の中に,音楽学の池原舞さんが「ストラヴィンスキーと『詩篇交響曲』~鎧を着た戦士の戦い」という論考を寄せていますが,それによると,この曲は「『春の祭典』のストラヴィンスキーというラベルをいかにして剥がし,それが偶然の産物でなかったことを証明し続けなければならないプレッシャーにあった中,生き残りをかけた戦いの中で要になったのが『詩篇交響曲』だった」とのことです.ストラヴィンスキーは指揮者のクーセヴィツキーから ボストン交響楽団の創設50周年を記念して1930年から翌31年にかけてのシーズンで演奏する交響曲を書いて欲しいという依頼を受けて,ここがチャンスとばかりに作曲したのがこの『詩篇交響曲』だったとのことです

曲を聴きながら,「えっ,これが交響曲」と驚くエキセントリックな場面が多くありましたが,それこそがストラヴィンスキーだと思い直しました   何しろ その初演が音楽界に大混乱をもたらした『春の祭典』のストラヴィンスキーですから

 

     

 

プログラム後半はシベリウス「交響曲第1番ホ短調」です   この曲は1898年4月から翌99年初めにかけて作曲され,1900年に改訂されました   第1楽章「アンダンテ・マ・ノン・トロッポ~アレグロ・エネルジコ」,第2楽章「アンダンテ・マ・ノン・トロッポ~レント」,第3楽章「スケルツォ:アレグロ」,第4楽章「フィナーレ:アンダンテ~アレグロ・モルト」の4つの楽章から成ります

第1楽章冒頭は,ティンパニによるトレモロで開始され,クラリネットが印象的なソロを演奏しますが,エマニュエル・ヌヴ―の演奏はしみじみとして素晴らしいものがありました   ここでコケると全曲が台無しになるところでした   その直後,第2ヴァイオリンに導かれて第1ヴァイオリンが第1主題を奏でますが,この部分は感動的でした   北欧の冷たい空気を感じさせる爽やかな演奏でした   この第1楽章だけで,この演奏は成功だと確信したくらいです.その通り,第2楽章以降もオーボエ,フルート,クラリネット,ファゴット等の木管楽器群をはじめ,ホルン,トランペット,トロンボーンら金管楽器群,そして弦楽器群が渾身の演奏を展開しました   ヴェデルニコフの指揮はスケールが大きく,いかにもロシアの大地に根を下ろした指揮者だと思いました

 

                                           

 

東京交響楽団のプログラム冊子 Symphony 9月号から,各公演のプログラムの前半と後半の間に「休憩20’」が表示されるようになりました   この日の休憩時間に東京交響楽団広報本部のTさん(名札で確認)にお礼を申し上げておきました

「休憩」表示までの経緯について詳細をお知りになりたい方は,7月17日付と同22日付のtoraブログをご覧ください

 

     

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チョン・ミョンフン+イム・ジュヒ+東京フィルでベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番」「交響曲第3番”英雄”」を聴く~文京シビック・響きの森クラシック・シリーズ

2017年09月17日 08時06分28秒 | 日記

17日(日)その1.わが家に来てから今日で1082日目を迎え,安倍首相が年内に衆院を解散する検討に入ったと与野党幹部に伝えた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                民進党がスキャンダル  都民ファーストが不安定  森友も加計も解散で吹き飛ばせ!

 

                                           

 

昨日,午後3時から文京シビックホールで「響きの森クラシック・シリーズ」コンサートを,午後6時からサントリーホールで東京交響楽団第653回定期演奏会を聴きました   ここでは「響きの森クラシック・シリーズ」について書きます

オール・ベートーヴェン・プログラムで,①ピアノ協奏曲第3番ハ短調,②交響曲第3番変ホ長調”英雄”です   ①のピアノ独奏=イム・ジュヒ,管弦楽=東京フィルハーモニー,指揮=チョン・ミョンフンです

このシリーズは人気があり,年間会員を継続するリピーターの割合が高いと聞いています   それに加えて,この日は東京フィル名誉音楽監督で,シュターツカペレ・ドレスデン首席客員指揮者も務める韓国の指揮者チョン・ミョンフンがタクトをとりベートーヴェンを振るとあって ほぼ満席です

この前日,私がサントリーホール「ブルーローズ」で「チェンバーミュージック・ガーデン」のオープニング・コンサートを聴いていた時,隣の大ホールではチョン・ミョンフン指揮東京フィルがマーラーの「交響曲第2番」を演奏していたので,彼らは2日連続で別プログラムでの出演ということになります

 

     

 

オケのメンバーが入場し配置に着きます   弦はいつもの通り左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,その後ろにコントラバスという並びです.コンマスは三浦章宏です

1曲目はベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番ハ短調」です   5つのピアノ協奏曲の中で唯一の短調,しかも第5交響曲”運命”やピアノ・ソナタ”悲愴”と同じハ短調が選ばれています   劇的とでも言うべきこの調性を選んだ段階で,ベートーヴェンがハイドンやモーツアルトの影響から脱しようという意欲を感じます   この曲は1796年頃から構想され1803年に完成,同年4月に初演されました   第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」,第2楽章「ラルゴ」,第3楽章「ロンド:アレグロ」から成ります

ソリストのイム・ジュヒは2000年10月韓国ソウル生まれの弱冠16歳です   2010年6月,ゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団と2夜にわたりカバレフスキー「ピアノ協奏曲第3番」を共演,2016年にはチョン・ミョンフン指揮アジア・フィルとベートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番」を韓国国内各地で演奏しています   このベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番」は2014年5月に同じコンビにより演奏しているとのことです

拍手に迎えられ,イム・ジュヒが純白のドレスで登場,ピアノに向かいます   チョン・ミョンフンのタクトで第1楽章が開始されます   この曲はこの時代の他の作曲家の協奏曲と同様,冒頭 長い序奏が演奏され なかなかピアノが出てきません   その間,肩まである髪を後ろで束ね,キリッとしたイム・ジュヒの横顔を見ていたら,フィギュアスケートの浅田真央さんによく似ているな,と思いました   意志の強そうな顔つきです.その顔つきの通り,ベートーヴェンの揺るぎない意志を感じさせる演奏を展開します   とても16歳の女子が弾いているとは思えないメリハリのある感動的な演奏です

第2楽章「ラルゴ」では,非常に落ち着いた抒情性豊かな演奏を展開しました   第3楽章に入ると一転,快活でリズミカルな演奏でベートーヴェンの推進力を感じさせました

大きな拍手に,アンコールの演奏に移りました   メロディーは確かにヨハン・シュトラウス2世の「トリッチ・トラッチ・ポルカ」なのですが,目先がクルクル変わる超絶技巧曲なのです   まさかリストが編曲したとかじゃあるまいな   と思って,後でロビーの掲示を見たら「アンコール曲:ヨハン・シュトラウス2世『トリッチ・トラッチ・ポルカ』(ジョルジュ・シフラ編曲)」とありました.なるほどと納得しました   イム・ジュヒは「トリッチ・トラッチ」の題名通り「おしゃべり」な曲想を早口言葉のごとく鮮やかに演奏し,満場の拍手喝さいを浴びました

 

     

 

プログラム後半はベートーヴェン「交響曲第3番変ホ長調”英雄”」です   この曲は1803~04年に作曲され,1805年に公開初演されました   当初,ナポレオンへの共感から作曲したものの,彼が皇帝に即位したことから激高し,スコアに書き込んだ献辞を掻き消し,新たに「ある英雄の思い出に捧げる」と書いたと言われています   第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」,第2楽章「葬送行進曲:アダージョ・アッサイ」,第3楽章「スケルツォ,アレグロ・ヴィバーチェ」,第4楽章「フィナーレ,アレグロ・モルト」の4楽章から成ります

チョン・ミョンフンのタクトで第1楽章が開始されます   力強い2つの和音が会場に響き渡ります.その直後,雄渾な第1主題が演奏されます   このテーマが全体を支配します.チョン・ミョンフンの指揮は明快で,揺るぎないものがあります   第2楽章「葬送行進曲」は様々な「葬送行進曲」の中の最高峰だと思います   昭和天皇の崩御の時はNHKがこの曲を1日中流していたのを思い出します.宮内庁御用達の曲といったら不謹慎ですね

第3楽章のスケルツォでは,ホルンの三重奏が印象深く響きました

チョン・ミョンフンは終始テキパキとした指揮で,東京フィルから 交響曲の歴史を変えた「英雄交響曲」のエッセンスを引き出していました

 

     

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