人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

第157回直木賞受賞作:佐藤正午著「月の満ち欠け」を読む~生まれ変わりの物語 ・・・ 「早稲田松竹」も出てきます

2017年09月15日 07時50分57秒 | 日記

15日(金).昨夕,文京シビック小ホールで作曲家・加藤昌則クラシック入門講座「開門!クラシックのとびら第2回『ソロ』」を聴く予定だったのですが,どうやら風邪を引いたらしく,喉が痛く時々咳が出ます   一昨日のヒューイットの演奏を聴いている時から調子が悪かったので,昨日病院に行こうかと思ったら 行きつけのクリニックが休診日だったので,家で本を読んで過ごしました   今夕,明日とコンサートが続くので,午前中に病院に行くつもりです

ということで,わが家に来てから今日で1080日目を迎え,国際オリンピック委員会(IOC)が13日,ベル―・リマで開いた第131次総会で,2024年夏季五輪の開催地をパリ,28年大会はロサンゼルスとすることを正式に決めた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      東京みたいに決定後にゴタゴタしないよう きっパリと時間のロスを無くしたいね

 

                                           

 

昨日,夕食に「豚こまのしょうが焼き」「マグロの山掛け」「生野菜サラダ」を作りました   「豚こま~」は玉ねぎを使います 

 

     

 

                                            

 

佐藤正午著「月の満ち欠け」(岩波書店)を読み終わりました   佐藤正午氏は1955年8月長崎県佐世保市生まれ.北海道大学文学部中退.1983年「永遠の1/2」で第7回すばる文学賞を受賞.2015年「鳩の撃退法」で第6回山田風太郎賞を受賞,今年,この「月の満ち欠け」で第157回直木賞を受賞しました

 

     

 

この小説の主人公は八戸生まれの小山内堅.東京の大学を出て就職し,梢と結婚しごく普通の生活を送っていた   娘の瑠璃が生まれたが, 小学校2年生の時に1週間も高熱が続き,回復した瑠璃はすっかり大人びていた   知るはずのない昔の出来事を語り,生まれる前の歌謡曲を口ずさんだりした   その後,梢と瑠璃は地下鉄事故で命を落とす   しかし,その後,この小説には瑠璃という名前の少女や女性が複数登場する.小山内瑠璃のほかに玉木瑠璃,緑坂ゆいの娘るり.3人の瑠璃は「生まれ変わり」だという   前世の記憶を持った女性が,新しい女性に乗り移って別の人生を生きるという

佐藤正午氏は「オール読物9月号」の中の直木賞受賞記念対談で,映画監督の竹下昌男氏を相手に次のように語っています

「『月の満ち欠け』では,娘が,知らないはずの古い歌を知っているとか,高級ライターの名前を知っているとか,そういうのを小出しにやって,『何か変だ』という感じをだんだん盛り上げていく   細かいことを積み重ねて,何か現実では起こりえないはずのことが起こっていると周りを納得させるやり方は『Y』と共通している

つまり,佐藤氏は「生まれ変わり」などあり得ない荒唐無稽な話だと思われがちなテーマを,細かい仕掛けをほどこして「そういうことも ないではないかも知れない」と思わせる筆力で迫っているのです   さらに言えば,「生まれ変わり」は瑠璃という名前の女性に限らない,という意外性が最後に感動を呼ぶことになります

東京ステーションホテル2階のカフェから始まるこの小説は,322ページに及ぶ長いストーリーが語られますが,小山内が帰りの新幹線に乗るまでのわずか2時間あまりの物語なのです   計算し尽くされたプロット,冴えわたる筆力を改めて感じます

ところで,この小説には,高田馬場のレンタル・ビデオ屋でアルバイトをしている学生の三角が,一度会った女性(瑠璃)に遭えることを期待して映画館に行くシーンがありますが,私が時々通っている「早稲田松竹」でした   佐藤正午氏は大学は北海道だし,住んでいるのは長崎県だし,いつ「早稲田松竹」に行ったのだろうか,と考えたりしました

これからこの小説を読もうとしている方にアドヴァイスすると,続けて読み通すのが(できれば一気読み)ベストだと思います   同じ名前が出てきたり,過去を遡ったりとストーリーが複雑に展開するので,人と人との関係を把握しておくことが重要だからです

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする