人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン」の「ストルツマンと日本の仲間たち」公演を聴く~小菅優のパワーが炸裂

2017年09月24日 08時33分17秒 | 日記

24日(日)その2.よい子は「その1」から見てね モコタロはそちらに出演しています

昨夕,デザートに息子がゼミ合宿のお土産に買ってきた上州沼田名物「焼まんじゅう」を食しました   原材料は小麦粉の割合が多く 食感としてはパンに近いものがありましたが,味噌味(信州味噌)で美味しかったです

 

     

 

                                           

 

昨夕,サントリーホール「ブルーローズ」で「サントリーホール  チェンバーミュージック・ガーデン」の「ストルツマンと日本の仲間たち」公演を聴きました   プログラムは①モーツアルト「クラリネット三重奏曲変ホ長調K498”ケーゲルシュタット”」,②ブラームス「クラリネット・ソナタ第1番ヘ短調」,③同「ヴィオラ・ソナタ第2番変ホ長調」,④ブルッフ「8つの小品」から第2曲,第3曲,第6曲,第4曲です   演奏は,クラリネット=リチャード・ストルツマン,ヴィオラ=磯村和英,ピアノ=小菅優です

クラリネットのストルツマンは1942年アメリカ生まれ.ピーター・ゼルキンらと1972年に室内楽ユニット「タッシ」を結成しました   ヴィオラの磯村和英氏は1969年に結成された東京クァルテットの創設メンバーの一人です   小菅優さんは2005年にカーネギーホールで,翌06年にザルツブルク音楽祭でそれぞれリサイタル・デビューを飾り,世界的に活躍するピアニストです

 

     

 

自席はセンターブロック6列目の右側です.会場は土曜の祝日ということもあってか満席に近い入りです

1曲目はモーツアルト「クラリネット三重奏曲変ホ長調K498”ケーゲルシュタット”」です   モーツアルト(1756-1791)は故郷のザルツブルクを離れウィーンに出て活躍したわけですが,間もなくクラリネットの名手アントン・シュタードラー(1753-1812)に出逢います   モーツアルトは彼から刺激を受けて「クラリネット協奏曲」「クラリネット五重奏曲」「グラン・パルティータ」などの傑作を作曲しましたが,このK.498のクラリネット・トリオもその一つです   「ケーゲルシュタット」というのは,「九柱戯」(ボーリングの前身)の遊びの名称で,モーツアルトはこれで遊びながらこの曲を書いたという逸話からこの愛称が付けられました   第1楽章「アンダンテ」,第2楽章「メヌエット」,第3楽章「ロンド:アレグレット」の3楽章から成ります   ここで気が付くのは「アレグロ」がないということです

ストルツマン,磯村和英氏と小菅優さんが登場し配置に着きます   小菅さんはいつもオシャレです.エレガントな衣装で登場です   ストルツマンを見て,「ああ,タッシのストルツマンも歳を取ったなあ」と思いました.さっそく演奏に入りますが,若い小菅さんのパワフルなピアノに,磯村氏もストルツマンも圧倒されながら演奏しているように見受けられます   この作品は好きなので十分楽しめました

2曲目はブラームス「クラリネット・ソナタ第1番ヘ短調」です   ブラームス(1833-97)晩年の傑作です   ブラームスは晩年にマイニンゲン宮廷楽団のクラリネット奏者リヒャルト・ミュールフェルト(1856-1907)と出逢い,再び創作意欲が湧き出て作曲したものです   この二人の出会いから生まれた作品には「クラリネット三重奏曲」「クラリネット五重奏曲」と2つの「クラリネット・ソナタ」があります   モーツアルトにしてもブラームスにしてもクラリネットの名手との出会いが名曲を生むことになったわけです

この曲は第1楽章「アレグロ・アパッショナート」,第2楽章「アンダンテ・ウン・ポーコ・アダージョ」,第3楽章「アレグレット,グラツィオーソ」,第4楽章「ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

ストルツマンと小菅優さんが登場します   ストルツマンは椅子をおもむろに持ち上げ,小菅さんの椅子に近づけました   小菅さんが「おっ,きた」と一瞬身を引いたように思いました   気のせいだと思います   第1楽章に入り,ストルツマンの憂いに満ちたクラリネットが会場を満たします   この曲でも小菅さんのピアノが圧倒します   この曲は第2楽章が良いですね.まさに今,秋の夜にピッタリの曲です

 

     

 

プログラム後半の1曲目はブラームス「ヴィオラ・ソナタ第2番変ホ長調」です   この曲はブラームスの「クラリネット・ソナタ第2番」をヴィオラ用に編曲したものです   第1楽章「アレグロ・アマービレ」,第2楽章「アレグロ・アパッショナート」,第3楽章「アンダンテ・コン・モート」の3楽章から成ります

磯村氏と小菅さんが登場し演奏に入ります   この二人の演奏で聴くと,まるで最初からヴィオラとピアノのために作曲された曲のように感じます   クラリネットとヴィオラは相関関係があるのかもしれません.この曲も名曲です

最後の曲はブルッフ「8つの小品」から第2曲,第3曲,第6曲,第4曲です   ストルツマン,磯村氏,小菅さんが登場し,さっそく演奏に入ります   最初に演奏された「第2曲」を聴いた時,「2017年9月,ドイツでブラームスの作曲による作品が新しく発見されました」と言われても信じてしまうくらいブラームスっぽい曲だと思いました   ブルッフ(1838-1920)はブラームスとほぼ同じ時代に活躍した作曲家ですが,ブラームスとは友人でありライバルでもあったと言われています   ロマン溢れる「ヴァイオリン協奏曲」が有名ですね   

この作品でも小菅さんのパワフルなピアノがストルツマンと磯村氏を煽るように激しく掻き立てます   仕掛けられた二人も「若い者には負けん   熟年パワーを目に物見せてくれるわ」とばかりに熱演を繰り広げ,さながら年金原資の配分をめぐる世代間の代理戦争の様相を呈してきました   「音楽は国境を超える」とともに「音楽は歳の差も超える」ことを演奏で証明してみせました   愛があれば歳の差なんて・・・・どこまで脱線するか

この日の演奏は,秋の夜に相応しいプログラミングで十分楽しむことが出来ましたが,このコンサートのタイトルは「ストルツマンと仲間たち」というよりも「小菅優とシニアの仲間たち」の方が相応しいのではないかと思いました

 

     

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「サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン」の「室内楽アカデミー マルシェ ワンコイン コンサート」を聴く

2017年09月24日 07時57分18秒 | 日記

24日(日)その1.わが家に来てから今日で1089日目を迎え,「亀田の柿の種」を前に何やらブツブツ言っているモコタロです

 

     

       ご主人は「柿の種」が大好物です とうとう今回は「話の種」に登場させたよ 

 

                                           

 

娘が釣ってきたマグロを自分で捌いて刺身にしてくれたので,私はあら汁を作りました   刺身は見た目が見た通りですが,新鮮で美味しかったです

 

     

 

                                            

 

昨日午後12時30分からサントリーホール「ブルーローズ」で「サントリーホール  チェンバーミュージック・ガーデン」の「室内楽アカデミー ワンコイン コンサート」を,午後7時から同「ストルツマンと日本の仲間たち」公演を聴きました   ここでは「室内楽アカデミー  ワンコイン コンサート」について書きます

サントリーホール室内楽アカデミーは,2010年10月に開講されました   プログラム冊子の解説によると「フェロー(受講生)たちは国内外の第一線で活躍する音楽家とともに,世代を超えて室内楽の喜びと神髄を分かち合い,ファカルティと共に取り組む毎月の定例ワークショップでは,演奏技術からアンサンブルをする上でのコミュニケーションの取り方まで広い視野でプロの室内楽奏者としての基礎を固めていく」とのことで,ファカルティは原田幸一郎,池田菊衛,磯村和英,毛利伯郎,練木繁夫,花田和加子の各氏です

プログラムと演奏者は①モーツアルト「弦楽四重奏曲第23番ヘ長調”プロイセン四重奏曲”K.590」から第1楽章(アミクス弦楽四重奏団),②シューベルト「弦楽四重奏曲第13番イ短調“ロザムンデ”」から第2楽章(アルネア・カルテット),③メンデルスゾーン「ピアノ三重奏曲第2番ハ短調」から第1楽章(トリオ・デルアルテ),④ドビュッシー「弦楽四重奏曲ト短調」から第1・2楽章(石倉瑤子,竹本百合子,樹神有紀,北坦彩),⑤ラヴェル「ピアノ三重奏曲イ短調」から第2・4楽章(レイア・トリオ),⑥ショスタコーヴィチ「ピアノ三重奏曲第2番ホ短調」から第4楽章(白井麻衣,秋津瑞貴,高橋里奈),⑦ブラームス「ピアノ五重奏曲ヘ短調」から第1楽章(へーデンボルク・トリオ,内野祐佳子,川上拓人)です

 

     

 

全自由席です.開場10分前の11:50分に着いたらホールの入口からカラヤン広場の中央まで長蛇の列になっていました   何とかセンターブロック右通路側のC7列12番を押さえました

1曲目はアミクス弦楽四重奏団によるモーツアルト「弦楽四重奏曲第23番ヘ長調”プロイセン四重奏曲”K.590」から第1楽章です   アミクス弦楽四重奏団は,第1ヴァイオリン=宮川奈々,第2ヴァイオリン=宮本有里,ヴィオラ=山本周,チェロ=松本亜優というメンバーです   第1ヴァイオリンの宮川さんはどこかで見たことがあると思ってプログラム冊子のプロフィールを見るとN響の第1ヴァイオリン奏者でした 

この曲はモーツアルトの最後の弦楽四重奏曲ですが,宮川さんのリードで,ヘ長調の調性どおり明るく軽快に演奏しました

演奏後,チェロの松本さんが「室内楽アカデミー」について説明し,次の出演者「アルネア・カルテット」を紹介しました   ペーパーを見ながらでしたが,非常に落ち着いていて好感が持てました

2曲目はアルネア・カルテットによるシューベルト「弦楽四重奏曲第13番イ短調“ロザムンデ”」から第2楽章です   アルネア・カルテットは,第1ヴァイオリン=山縣郁音,第2ヴァイオリン=今高友香,ヴィオラ=川上拓人,チェロ=清水唯史というメンバーです

4人は同じメロディーが繰り返されるシューベルト特有の音楽をニュアンス豊かに演奏しました

3曲目はトリオ・デルアルテによるメンデルスゾーン「ピアノ三重奏曲第2番ハ短調」から第1楽章です   トリオ・デルアルテは,ヴァイオリン=内野佑佳子,チェロ=金子遙亮,ピアノ=久保山菜摘というメンバーです  メンデルスゾーンの室内楽は大好きで,この曲などは もっとコンサートで取り上げて欲しいと思っていたので期待が高まります   ハ短調の調性の通りデモーニッシュな曲想ですが,3人は期待通りの深みのある演奏を展開しメンデルスゾーンの短調の魅力を最大限に引き出していました

ここで休憩に入りました

 

     

 

4曲目はドビュッシー「弦楽四重奏曲ト短調」から第1・2楽章です   演奏は第1ヴァイオリン=石倉瑤子,第2ヴァイオリン=竹本百合子,ヴィオラ=樹神有紀,チェロ=北坦彩というメンバーです  この曲はドビュッシーが31歳の時の作品です.前半の3曲を聴いた上でこの曲を聴くと,まるで世界が違っていることに気が付きます.色彩感に溢れ,目先がクルクルと変わります.第2楽章はピッツィカートの魅力が全開です.素晴らしい演奏でした

5曲目はレイア・トリオによるラヴェル「ピアノ三重奏曲イ短調」から第2・4楽章です   レイア・トリオは,ヴァイオリン=小川響子,チェロ=加藤陽子,ピアノ=稲生亜沙紀というメンバーです   ヴァイオリンの小川さんは東京藝大大学院生ですが,藝大フィルハーモニア管弦楽団のモーニング・コンサートなどで演奏する姿を見かけます   ラヴェルはドビュッシーと同じ時代に活躍したフランスの作曲家ですが,この曲はドビュッシーのクァルテットよりも鋭角的な曲想だと感じます   ラヴェルは「管弦楽の魔術師」と言われていますが,この三重奏曲でも色彩感溢れる特色が良く出ています   3人の演奏は緊張感に満ちた鋭角的な演奏で,聴きごたえのあるアンサンブルでした

6曲目はショスタコーヴィチ「ピアノ三重奏曲第2番ホ短調」から第4楽章です   演奏はヴァイオリン=白井麻衣,チェロ=秋津瑞貴,ピアノ=高橋里奈というメンバーです   1944年の作曲ということなので,まさに第二次世界大戦の真っ最中に作られた作品です   3人は,ショスタコーヴィチらしい皮肉に満ちた曲想をアイロニカルに,本当は高らかに演奏したいのに 時代の制約から内緒話のように囁かざるを得ない曲想をもどかし気に演奏,ショスタコーヴィチの神髄に迫りました

最後の7曲目はブラームス「ピアノ五重奏曲ヘ短調」から第1楽章です   演奏は,第1ヴァイオリン=ヘーデンボルク・和樹,第2ヴァイオリン=内野祐佳子,ヴィオラ=川上拓人,チェロ=へーデンボルク・直樹,ピアノ=ヘーデンボルク・洋というメンバーです   へーデンボルクの3人はザルツブルク出身の兄弟で,トリオを組んでいます 長男の和樹(ヴァイオリン)と次男の直樹(チェロ)はウィーン・フィルの正団員です.三男の洋(ピアノ)は6歳でモーツアルテウム音楽大学に最年少で合格,12歳でウィーン国立大学に入学したという神童です   どうでもいいことですが,この3人まったく似ていません   長男はゲルギエフのような髭面,次男は白髪,三男は坊主頭,3人の顔はまるで別人28号です

この曲は,当初1862年に「弦楽五重奏曲」として作曲されましたが,周囲の批判をうけて1864年に「2台のピアノのためのソナタ」として編曲され,同じ年にピアノと弦楽四重奏のための「ピアノ五重奏曲」として作り直され,1865年に出版されました

ヘーデンボルク・和樹のリードによる演奏は,ブラームスの流れるような音楽を大切にした流麗な演奏で,日本人2人を含めたアンサンブルは音が美しく見事のひと言でした

最後に,この日演奏された室内楽アカデミーの受講生の皆さんにもう一度拍手を送るとともに,今後の活躍を期待したいと思います

 

     

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