人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

パーヴォ・ヤルヴィ+NHK交響楽団でモーツアルト「ドン・ジョヴァンニ」を聴く~充実した歌手陣:NHK音楽祭2017

2017年09月10日 08時05分12秒 | 日記

10日(日).わが家に来てから今日で1075日目を迎え,北朝鮮が9日建国記念日を迎えたが,日米韓の3か国は追加の挑発行動をとる恐れがあるとして引き続き警戒を続ける というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                    最後は 先日訪朝したアントニオ猪木さんに 場外乱闘で決めてもらうしかないか

                    金正恩の暴挙を止めるように説得出来たら「アントキノ猪木」とヒーローになる

 

                                           

 

昨日,NHKホールで「NHK音楽祭2017」の初日公演,モーツアルトの歌劇「ドン・ジョバン二」(演奏会形式)を聴きました    

 

     

 

出演は,ドン・ジョヴァンニ=ヴィート・プリアンテ(バリトン),騎士長=アレクサンドル・ツィムバリュク(バス),ドンナ・アンナ=ジョージア・ジャーマン(ソプラノ),ドン・オッタ―ヴォ=ベルナール・リヒター(テノール),ドンナ・エルヴィーラ=ローレン・フェイガン(ソプラノ),レポレッロ=カイル・ケテルセン(バス・バリトン),マゼット=久保和範(バリトン),ツェルリーナ=三宅理恵(ソプラノ),管弦楽=NHK交響楽団,合唱=東京オペラシンガーズ,指揮=パーヴォ・ヤルヴィです

 

     

 

自席は1階R7-8番,右ブロック右から3つ目です.会場は9割方入っているでしょうか.相当人気があります   午後3時の開演に先立って,2時半から作曲家・西村朗氏によるプレトークがありました   同氏はオペラ「ドン・ジョヴァンニ」の特徴として,①第2幕でドン・ジョバンニが歌うカンツォネッタの伴奏で弾かれるマンドリンは,当時のオペラでは珍しい使用例だった,②第2幕終盤で騎士長がドン・ジョバンニを追い詰めていく時にトロンボーンが響き渡るが,トロンボーンは神を象徴する楽器であり オペラでの使用は稀だった,③第1幕フィナーレのドン・ジョバンニ邸での宴の場面で,ダンスのために舞曲が演奏されるが,楽師たちは3つの楽団に分かれて舞台に上がり,まったく別の舞曲を同時に演奏するという離れ業を披露する,の3つを挙げました   モーツアルトはいつでも時代の先端を走っています

ステージ上にはオケの手前に長いベンチが2脚並べられています.これを小道具として演技をするようです   オケの並びは,左奥にコントラバス,前に左から第1ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,第2ヴァイオリンという対向配置をとります   コンマスはマロこと篠崎史紀氏,その隣は伊藤亮太郎氏です.ここで1000円で購入した音楽祭の総合プログラムでN響のメンバー表を見たら,チェロ首席の向山佳絵子さんの名前がありません.どうしたんでしょう

パーヴォ・ヤルヴィが登場しタクトを振り下ろします.それと同時に会場の照明がパッと消え,指揮者にスポットライトが当てられます   これは佐藤美晴さんによる演出ですが,デモーニッシュな開始の「序曲」の演奏にドラマティックな効果を与えました   どうやら佐藤さんは照明によっていろいろと仕掛けてくるようです

序曲が終わり,レポレッロ役のカイル・ケテルセン(アメリカ出身)がカジュアルなスタイルで登場,人使いの荒い主人ドン・ジョバンニへの不満を歌います   どうやら登場人物は現代の衣装で出てくるようです   そこに,ドンナ・アンナを誘惑しようとして抵抗にあって失敗したドン・ジョバンニが 追われて逃げ出してきます   ここでレポレッロとの三重唱になりますが,この音楽は最高です  

ところで,この時ドンナ・アンナ役のジョージア・ジャーマン(アメリカ出身)はワイン・レッドの派手な衣装で登場しましたが,これは演奏会形式だから許される色で,本物のオペラだったらあり得ないことです   騎士長である父親が刺殺される立場にある娘役が赤い派手な衣装を身に着けて登場することは演出上あり得ません.一方,主人公ドン・ジョバンニ役のヴィート・プリアンテ(イタリア出身)は同じ現代の衣装でも 如何にも貴族といったセレブの衣装を身に着けています

第1幕でレポレッロが「カタログの歌」を歌う時,オーソドックスな演出では小さな手帳のようなものを持って歌いますが,ケテルセンが持っていたカタログは黄色のタブレットでした   そして,ドンナ・エルヴィーラ役のローレン・フェイガン(オーストラリア出身)が歌い出すとスマホで写メしていました   いかにも現代的な演出で,思わず笑ってしまいます

正式なオペラと演奏会形式との一番の違いは,正式なオペラでは奥の舞台で歌手が歌い,手前のオーケストラ・ピットでオケが演奏する形を取るのに対し,演奏会形式では,オケが舞台に上がり奥で演奏し,その手前の客席に近いスペースで歌手が歌う形を取ることです   指揮者の立場からみると,正式なオペラは歌手とオケを目の前にしながら指揮をすることが出来るのに対し,演奏会形式では,オケは目の前なのに歌手は後ろで歌うので,前後に目配りしながら指揮をしなければならなくなります.ヤルヴィの責任重大です

 

     

 

今回の公演に出演した歌手で名前を知っているのはマゼット役の久保和範(バリトン)とツェルリーナ役の三宅理恵(ソプラノ)だけで,先に挙げたヴィート・プリアンテ,ジョージア・ジャーマン,ローレン・フェイガン,カイル・ケテルセンをはじめ,ドン・オッタ―ヴォ役のベルナール・リヒター,騎士長役のアレクサンドル・ツィムバリュクを含めた全員が初めて聴く歌手たちでした   この公演のチケットを購入するに当たり,全く知らない歌手陣を聴くことに一抹の不安がありましたが,「ヤルヴィが連れてくる歌手だから間違いないだろう」と思い,「清水の舞台から飛び降りる」思いで買いましたが,結果的には大正解でした

タイトルロールを歌ったヴィート・プリアンテをはじめ,出演者全員が演技を伴った見事な歌唱力で,素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました   特に印象に残った歌手を一人だけ挙げるとすれば,ドン・オッタ―ヴォを歌ったベルナール・リヒターです   第1幕,第2幕の両方で歌われるアリアを美しくも力強いテノールで立派に歌い上げました   改めてプログラムで彼のプロフィールを見たら今年5~6月にヤルヴィ指揮ミラノ・スカラ座公演でこの役を歌っていました

演奏会形式の良い点は舞台転換がないので,テンポよくストーリーが進み,弛緩なく歌が歌われ 音楽が演奏されることです   ヤルヴィのメリハリのあるタクトさばきによりN響は終始引き締まった演奏を展開しました 最後に,色とりどりの光の演出で舞台を盛り上げた佐藤美晴さんに拍手を送ります

 

     

コメント (2)
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