23日(土)その2.よい子は「その1」から見てね モコタロはそちらに出演しています
昨日の日経朝刊に「慣用句誤用が定着」という記事が載っていました.超訳すると
「『存続するか滅亡するかの重大な局面』を意味する慣用句として『存亡の危機』を使う人が83%に上ることが,文化庁の2016年度の『国語に関する世論調査』で分かった 本来の言い方とされる『存亡の機』を使う人は7%にとどまった 同様に,『話のさわり』の意味を聞いたところ,正しい『話の要点』が36%だったのに対し『話の最初の部分』が53%だった また『ぞっとしない』の意味では,正しい『面白くない』が23%だったのに対し『恐ろしくない』が56%だった」
皆さん,ご存知でしたか? 足元をすくわれましたか? これも正しくは「足をすくわれる」らしいですよ
昨夕,NHKホールでN響第1865回定期演奏会(Cプログラム)を聴きました N響は9月から新シーズンに入りました 今までは1階左ブロック9列9番だったのですが,センターブロック左側に移りました.列はもっと後ろですが,今度の方が良いと思います
プログラムは①グリンカ「幻想的ワルツ」,②ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第4番ト短調」,③スクリャービン「交響曲第2番ハ短調」です ②のピアノ独奏はデニス・コジュヒン,指揮はN響首席指揮者として3シーズン目を迎えたパーヴォ・ヤルヴィです
オケはいつものN響の配置です.コンマスはマロこと篠崎史紀氏です オケを見渡すと,右手のヴィオラ・セクションの首席の席に都響のソロ・ヴィオラ奏者,双紙正哉氏がスタンバイしています.N響はまたレンタルしましたね
1曲目はグリンカ「幻想的ワルツ」です グリンカ(1804-1857)は,1835年にマリアという女性と結婚したものの,すぐに破綻してしまったとのことです まるで同じロシアのチャイコフスキーのようです そんな中,彼は1839年のある日,エカテリーナ・ケルンという女性と知り合いになり,しばらくいい線を行っていたようです この曲はそんな幸せ絶頂の中で作曲されました 最初にピアノ曲として作曲し,後で管弦楽用に編曲しました.プログラムノートによると,ロシアの高名な音楽評論家が「ロシアのワルツはすべてグリンカの『幻想的ワルツ』に含まれている」と述べたそうですが,実際に聴いてみると,まさにその通りで,チャイコフスキーのワルツを彷彿とさせるところもあります 10分弱の短い曲ですが,洒脱な演奏が楽しめました
金管楽器が追加され,ピアノがセンターに運ばれます そして鍵盤に向けてテレビカメラが設置され,マイクがセッティングされます いずれNHKーTVで放映されるのでしょう
2曲目はラフマニノフ「ピアノ協奏曲第4番ト短調」です ラフマニノフ(1873-1943)はピアノ協奏曲を4曲作曲していますが,これは最後の曲で1926年に完成させ作曲家のメトネルに献呈しています 第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」,第2楽章「ラルゴ」,第3楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります
ヤルヴィとともに,ピアノ独奏のデニス・コジュヒンが颯爽と登場します 彼は1986年ロシア生まれの31歳です.2010年にエリーザベト王妃国際音楽コンクール優勝ほか数々の国際コンクールに入賞しています
ヤルヴィの指揮で第1楽章が開始されますが,どうもピアノとオケとがしっくりいかないように感じます 曲自体がそういう曲想なのか,演奏がそうなのか,よく分かりません しかし,それも最初のうちだけで,演奏が進むにつれて溶け合ってきました 演奏を聴く限り,第2番や第3番のようなロマン溢れる曲想というよりも,劇的な表現や力強いリズムなどの方が前面に出た曲のように思いました コジュヒンの演奏はパワフルで,まさにそうした劇的効果を狙った演奏のように思いました
会場いっぱいの拍手に,コジュヒンはスクリャービン「3つの小品」から第1番「練習曲嬰ハ短調」をロマンティックに演奏しいっそう大きな拍手を受けました
プログラム後半はスクリャービン「交響曲第2番ハ短調」です これはスクリャービン(1872-1915)が29歳の年=1901年に作曲した作品です 調性の「ハ短調」はベートーヴェンの交響曲第5番ハ短調”運命”を想起させます 第1楽章「アンダンテ」,第2楽章「アレグロ」,第3楽章「アンダンテ」,第4楽章「テンペストーソ」,第5楽章「マエストーソ」の5楽章から成りますが,第1楽章と第2楽章,第4楽章と第5楽章は続けて演奏されます
ヤルヴィの指揮で第1楽章に入ります.冒頭,クラリネットが主題を奏でますが,この主題は後の楽章にも現れます 一番印象に残るのは第3楽章「アンダンテ」です.フルートが小鳥のさえずりのように奏でられ,ヴァイオリンのソロが美しい主題を演奏します 全曲を「ハ短調」が覆っている中で,この楽章を聴くとホッとします 第4楽章に移ると,一転して激しい嵐の音楽が展開します.そして第5楽章に入ると堂々たる輝かしい音楽が奏でられ,感動的なフィナーレを迎えます
聴き終わって思ったのは,演奏時間にして約50分の大曲は,しかも生まれて初めて聴く交響曲は,予習しておかないとまるで歯が立たない,ということです 多分,この曲は何度かCDで繰り返して聴けば好きになる作品だと思います
大迫力で演奏を終えたので大きな拍手を送りましたが,必ずしも曲そのものを十分に理解したうえで拍手をしたわけではないので,内心忸怩たる思いがあります まだまだ予習・復習が足りないことを実感する今日この頃です