29日(金).わが家に来てから今日で1094日目を迎え,民進党の前原代表が28日の役員会で,新党「希望の党」に事実上合流して衆院選に臨む意向を表明し,一方「希望の党」と「日本維新の会」が衆院選で候補者調整を進める方向で最終調整に入った というニュースを見て感想を述べるモコタロです
野党側のドラスティックな動きを見て 安倍首相は今頃 解散宣言を後悔してない?
昨日,夕食に「豚バラ大根」「生野菜サラダ」「ニラ玉」を作りました 「ニラ玉」は生卵に液体出汁を少し入れてかき混ぜ,小型フライパンに入れ,ニラを散らして,少し多めのサラダ油と水を少量入れて蒸し焼きにします.超簡単料理ですが美味しいです
新宿タワーレコードで,いまクラシック界で話題の若林暢のCD「魂のヴァイオリニスト~ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集」を買い求めました このCDは,無料クラシック音楽情報誌「ぶらあぼ」や新聞広告などを見て,以前から気になっていたものです
若林暢(のぶ)は1957年8月30日生まれ.東京藝大大学院を経てジュリアード音楽院を卒業.1995年「音楽に登場する悪魔」の論文で博士号を取得しています ヴィエニャフスキコンコール第2位など入賞歴多数です 1987年カーネギーホールでのリサイタルは,ニューヨーク・タイムズ紙で高い評価を受け,その後 世界各地で演奏活動を行いましたが,2016年6月8日ガンのため死去,享年58歳でした
CDに収録されているのはブラームス「ヴァイオリン・ソナタ第1番~第3番」で,ピアノ伴奏はキャスロン・スタロック,1991年7月18~19日の録音です
第1番「雨の歌」第1楽章から聴き始めましたが,何という優しく包容力のある演奏でしょうか 第3番まで全て聴いて感じたのは,どの曲も第2楽章(アダージョ,アンダンテ)が特に素晴らしいということです 中でも第3番の第2楽章「アダージョ」を聴いた時,深い感動で身動き出来ない自分に気が付きました そしてその第4楽章のほとばしる情熱 このCDの演奏では 伴奏を担当するキャスロン・スタロックというピアニストが,若林暢のヴァイオリンにピッタリと寄り添っているのが大きいと思います
家に帰って3回ほど繰り返し聴きましたが,聴けば聴くほど じわっと感動が押し寄せてくる演奏です 私の愛聴盤の一つに加わることになりそうです
伊坂幸太郎著「アイネクライネナハトムジーク」(幻冬舎文庫)を読み終わりました 伊坂幸太郎の作品はこのブログでも何冊もご紹介してきました 1971年千葉県生まれ.2000年「オーデュボンの祈り」で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー.その後も数々の文学賞を受賞しています
この小説は「アイネクライネ」「ライトヘビー」「ドクメンタ」「ルックスライク」「メイクアップ」「ナハトムジーク」の6編から成る短編小説集です タイトルの「アイネクライネナハトムジーク」というのはモーツアルトの超有名な曲(K.525)のことです 最初の短編「アイネクライネ」の中に次のように登場します(会話部分を中心に抜粋)
「小さく聞こえてくる,夜の音楽みたいに?」
「そうそう」織田由美には,気の利いたことを言おう,という気負いのようなものはまるでなくて,だからなのか,すっと僕の耳に入ってくる.
「そういえば,小夜曲(さよきょく)ってなかったっけ?モーツアルトの」僕は言う.「あの,超有名な」
「アイネ・クライネ・ナハトムジーク?」織田由美が言う.
ドイツ語で「ある,小さな,夜の曲」だから,小夜曲,とはそのまんまじゃないか,と僕は子供の頃に思ったものだが,まあ,そのまんま翻訳しないでいったいどうするのだ,と言われればそりゃそうに違いなかった.
「あんな,能天気な曲,夜に聞こえたらうざくてしょうがねえじゃん」織田一真は口に出す.
「まあ,確かに」
この会話で「あんな,能天気な曲」と言われているのは,第1楽章「アレグロ」の有名なテーマのことです.筆者はそれを念頭にこの会話を書いています 会話の冒頭の「小さく聞こえてくる,夜の音楽みたい」ということで言えば,第2楽章「ロマンツェ:アンダンテ」が相応しいでしょう
筆者は「あとがき」の中で,この作品を書くことになったきっかけと経緯について概要次のように書いています
「最初の『アイネクライネ』は,ミュージシャンの斎藤和義氏から『恋愛をテーマにしたアルバムを作るので”出会い”にあたる曲の歌詞を書いてほしい』と依頼されたのがきっかけだった 『作詞は出来ないので小説を書くことならば』と返事して書いた小説だ.正直に言えば『恋愛もの』と分類されるものにはあまり興味がないが,斎藤氏の大ファンなので引き受けた 斎藤氏は,この短編の文章を使う形で『ベリーベリーストロング~アイネクライネ~』なる曲を作ってくれた 2曲目の『ライトヘビー』は,『べリーベリーストロング~アイネクライネ~』がシングルカットされることになり,その初回限定盤の付録用に書き下ろしたものだ それ以降はこの2作から派生した作品として書いた.成り立ちがそうであったため,収録した作品の大半が恋愛にまつわる話になった.裏を返すと,自分の作品にしては珍しく,泥棒や強盗,殺し屋や超能力,恐ろしい犯人,特徴的な人物や奇妙な設定などがほとんど出てこない本になった」
上の「あとがき」にある通り,収録された作品は,いつもの伊坂氏の小説とはテイストが異なり,妻に出て行かれたサラリーマン,声しか知らない相手に恋する美容師,元いじめっ子と再会したOLといった,どちらかというと頼りなさが漂う主人公たちが恋愛がらみの小さな奇跡を起こしていくという内容になっています
ところで,「ルックスライク」の中で高校の英語の授業風景が出てきますが,先生と生徒の間にこんな会話があります
「He looks like his father.
He is just like his father.
この2つの違いは何でしょう?」
「彼は父親に似ています」
「じゃあ,2つ目の意味は?」
「彼は父親が好きです,って何だか禁断の要素が複数絡み合ってるぞ」
「1つ目は『彼は父親と外見が似ています』,2つ目は『彼は父親そっくりです』つまり性格が似ている,ってことだね」
まさか伊坂幸太郎の小説で高校の英語の復習をするとは思ってもみませんでした
今までの伊坂幸太郎の作品とは一味違うテイストの小説ですが,彼特有の軽妙な語り口は健在です.お薦めします